ボルボ

ソフトウェアを熟成させたことで安全性能が大幅進化! ボルボらしさが凝縮されたフラッグシップBEV「ボルボEX90」に試乗

電動化を推し進めるボルボのBEV第3弾となる「EX90」に、北米はロサンゼルス郊外で試乗する機会を得た。国内には先だって導入されたEX30と共通のデザインテイストながらも、堂々とした風格が与えられたフラッグシップSUVは、果たしてどんな実力を披露してくれたのか? そのファーストインプレッションをお届けしよう。

運転支援&安全装備の充実が最大のトピック

ボルボはこれまで、2030年にすべての新車をBEVにすることを公言していた。しかし今回、このEX90の国際試乗会が開催されている最中にその方針を撤回。完全なEVメーカーになるという将来のコミットメントは維持しつつも、2030年までの世界販売の90〜100%をBEV、そしてPHEVにするという新たな計画を発表したのだ。これは現行モデルにも影響を及ぼしており、同じタイミングでXC90の大幅改良モデルを発表したことで、もともとEX90はXC90の後継モデルと位置付けられていたが、こちらも方向転換したことになる。

【画像62枚】ボルボのフラッグシップSUV「EX90」のフォトギャラリーを見る

5m超の全長が与えられたその佇まいは、スポーティなフルサイズSUVといった印象。Cd値は0.29とクラストップレベルの数値を誇る。

そんなEX90のアウトラインを紹介すると、ボルボのSPA2と呼ばれるBEV専用プラットフォームが用いられたボディは、スリーサイズが全長5037×全幅1964×全高1747mmと、XC90より全長と全幅を延長、全高は低められており、全体的にスタイリッシュな印象を受ける。今回試乗したのは3列シートの7人乗り仕様だが、他にも2列シートの4/5人乗り、3列シートの6人乗りも用意されている。

22インチの大径ホイールを装着しながらも、エアサスペンションの効果もあり乗り心地は良好。道幅の狭いワインディングでも、大柄なボディサイズを感じさせることなく快適にドライブを堪能することができた。

エクステリアは、フロントのピクセルドットのトールハンマーランプや、コの字型のリアのコンビネーションランプなど、すでに国内に導入されているEX30と同様のアイコンを採用する。しかしこれらは実は2022年11月に発表されたEX90のほうが先であるのだ。このようにEX90の量産モデルの生産がこの時期まで遅れたのは、ソフトウェアの開発に時間がかかったからだという。

コクピットは、ダッシュセンターに14.5インチのインフォメーションディスプレイが装着されるとともに、ステアリング奥にもモニターとHUDも装備。

そんな経緯もあり、コクピットはEX30ほどシンプルさは追求されていない。ダッシュセンターには14.5インチのマルチディスプレイが備わるが、ステアリング奥にはメーターを兼ねたモニターとヘッドアップディスプレイが設置されており、このあたりは他のモデルから乗り換えた際にも、さほど戸惑うことはないであろう。一方シート表皮には、再生ペットボトルなどから生成された合成皮革の「Nordico」を採用するなど、サスティナビリティに配慮しているのはいかにもボルボらしい部分だ。ほかにもBowers&Wilkinsのオーディオシステムには、25個ものスピーカーによるドルビーアトモスをボルボ車として初搭載。車内全体で臨場感あふれるサウンドを味わえる、フラッグシップSUVらしい装備が採用されている。

シート表皮には、再生ペットボトルなどから生成された合成皮革の「Nordico」を採用している。

パワートレインはツインモータ—のAWDのみで、最もパワフルなグレードである「パフォーマンス」の最高出力は517ps、最大トルクは900Nmを発生、0→100km/h加速は4.9秒を誇る。フロアの下に敷き詰められたリチウムイオンバッテリーは、111kWの容量で、1充電あたりWLTPモードで614kmの航続距離を実現。250kWの急速充電に対応しており、30分で10%から80%へ充電することが可能だという。

一方で、最大の見どころといえるのは、ボルボがこだわり続けてきた安全装備の進化にほかならない。ルーフには、250m先の路面の状況をクルマが把握し、走行支援システムと連動させるLiDARを設置。さらに5つのレーダーと8つのカメラにより車両の周囲360度を常にセンシングしてくれるのだ。

抜群の乗り心地と静粛性安定したハンドリングが◎

車両に近づくだけで解錠し、運転席に乗り込めば自動的にシステムが起動するEX90で、走り始めてまず驚かされたのが乗り心地の良さだ。試乗ルートではロサンゼルスの市街地をはじめ、ハイウェイやワインディングなど、さまざまな路面状況で試すことができたが、舗装が悪い箇所や大小の凹凸も、ボルボが「セミアクティブ」と称する、デュアルチャンバーのエアスプリングに電子制御ダンパーを組み合わせたサスペンションシステムのおかげで、22インチの大径タイヤを履いていることを感じさせないほどの快適な乗り味だった。また、静粛性も極めて高レベル。もともとBEVは静かだが、それでもモーターやインバーターなどによる多少の騒音が出るもの。しかしEX90では、剛性の高いボディや制振材などにより、これらが見事に抑え込まれていた。ただ舗装状況が特に悪かったハイウェイなどでは、ロードノイズが多少気になったが、これは致し方のないことであろう。

ツインモーターのAWDシステムが与えられたパワートレインは、最高出力517ps、最大トルク900Nmを発生。床下に敷き詰められたリチウムイオンバッテリーは、111kWの容量で1充電あたり614km(WLTPモード)の航続距離を実現している。

また想定外だったのが、ハンドリングの良さだ。大柄なボディゆえ、ワンディングでの走りはあまり期待していなかったのだが、いい意味で裏切られた。さすがにタイヤを鳴らすほどハードに攻めることはないものの、それなりにスピード域を上げた際のライントレース性も良好、適度なロールアングルでコーナーをクリアしていくことができる。このあたりは前述のセミアクティブサスペンションに加え、リアに搭載されているトルクベクタリングも効いているのだろう。もちろんスポーティな走りを求めるキャラクターではないが、道幅が狭い箇所でも特段気を使うことなく走れたのは、EX90の大きなセールスポイントになりえると思った。

空力特性が考慮されたデザインの22インチホイールには、ピレリのBEV向けタイヤ、スコーピオン・エレクトが組み合わされる。

このEX90、国内への導入は2024年の後半を予定しているというが、気になる価格は今回試乗した上級グレードで換算すると、1000万円台後半あたりになりそうだ。XC90からは大幅にアップしているが、BEVならではのトルクフルで静粛性の高さ、そしてトルクベクタリングによる安定した走りを求めるユーザーなら、選んでもその期待を裏切ることはないだろう。

新世代ボルボのデザインアイコンであるフロントのトールハンマーには、EX30同様のピクセルドットを採用。

コの字型のリアのコンビネーションランプもシンプルなデザインで、スタイリッシュなイメージが強調される。

ラゲッジスペースは7人乗りの状態で324Lの容量、電動機能付きのサードシートを倒すと669Lまで増え、最大1288Lまで拡大が可能。

フロントにも46L収納スペースが備わる。

コラムタイプのシフトレバーには、「D」からもう1段下げるとACCが作動する機能を装備。

モニターには3タイプの表示機能が与えられている。

Bowers&Wilkinsのオーディオのスピーカー数は何と25個! だ。

【SPECIFICATION】ボルボEX90ツインモーター・パフォーマンス
■全長×全幅×全高=5037×1964×1747mm
■ホイールベース=2985mm
■トレッド =前:1672、後:1666mm
■車両重量=2504kg
■モーター形式/種類=─/永久磁石同期電動機
■モーター最高出力=前」517ps(380kW)/4200-6000rpm
■モーター最大トルク=前:910Nm(92.7kg-m)/0-4000rpm
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■バッテリー容量=111kWh
■一充電航続可能距離(WLTP)=614km
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/エア、後:マルチリンク/エア
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ=前後:265/40R22
問い合わせ先=ボルボ・カー・ジャパン TEL0120-55-8500

 

フォト=ボルボ・カー・ジャパン ル・ボラン2024年11月号より転載
相澤隆之

AUTHOR

愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?

複数社を比較して、最高値で売却しよう!

車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。

手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!

一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業不特定多数の業者からの大量電話をなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!

【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>

注目の記事
注目の記事

RANKING