タイヤカタログ2022-2023冬

様々な路面で安定したグリップ性能を発揮! ヨコハマ最新スタッドレスの「アイスガード7」を試す

氷上&雪上性能を両立し、ライフも長い

本格的なウィンターシーズン直前のこの時期。そこに向けての冬支度を始めなければと考える人にとって欠かせないアイテムのひとつがスタッドレスタイヤだ。最近では各社のタイヤ開発技術が惜しみなく注ぎ込まれた高性能スタッドレスが多く登場しているが、そのなかの有力候補のひとつとしてお勧めしたいのが、横浜ゴム「ice GUARD 7(アイスガード セブン)」(以下、IG7)である。2021年に発売されたこのスタッドレスタイヤは、4期目を迎えた今シーズンも「氷に効く・雪に効く・永く効く」を3本柱に、氷雪路面での安心感を提供していくという。

【画像29枚】横浜ゴムの最新スタッドレス「アイスガード7」を様々なコンディションで試乗

横浜ゴムのスタッドレスタイヤ、アイスガードシリーズの7世代目となるアイスガード7。最新モデルでは、最大の接地面積とブロック剛性を獲得することで「氷に効く」性能が大幅に向上しているのが最大の特徴。さらに50%磨耗時のサイプを太くし、優れた氷上性能を永く維持することが可能となっている。

そしてもうひとつ、横浜ゴムには同じアイスガード・ブランドでSUV向けの「ice GUARD SUV G075(アイスガード エスユーブイ ジーゼロナナゴ)」(以下、G075)というモデルがラインナップされているのをご存じだろうか。こちらはIG7よりも以前に登場しているスタッドレスタイヤではあるものの、SUV車への装着を前提とした造りが、特にSUVユーザーにとっては魅力的に映るはずだ。IG7にもSUVサイズのタイヤが用意されているが、価格的にはG075がリーズナブルな面もあり、頭を悩ませる人も多いだろう。今回はそんな両者の違いを知ってほしいと比較試乗の機会が用意されたので、その模様をお届けする。

そのリポートの前に、まずはIG7の特徴をおさらいしておく。2021年に登場したこのモデルは、先述のとおり3つのテーマを軸に「よりちゃんと曲がり、止まる、安心感」を提供することを目的として開発された。それらを実現するために盛り込まれたのが、IG7専用のウルトラ吸水ゴムの採用、接地面積/エッジ量の最大化、オレンジオイルSの配合やクワトロピラミッドグロウンサイプの配置という要素である。

実際、ウルトラ吸水ゴムはスリップの原因となる水膜を吸水する性能が向上し、先代のアイスガード6に比べて吸水率は7%高まった。さらに踏面内側の幅広のパワーコンタクトリブEXや、中央部分に配置されたマルチベルトブロックEX、その周囲に施されたマルチダイアゴナルグルーブやトリプルライトニンググルーブによって排水と排雪、ひっかき効果が高まり、IG6比の制動距離は氷上で14%、雪上でも3%短縮できたという。つまりは氷上性能と雪上性能の両立を図ることに成功しているのである。

オレンジオイルSは経年による性能の低下代を少なくする目的で配合するものだが、多く入れれば良いというものではなく、配合バランスを間違えると氷上性能の低下にもつながるという。その難しいラインをクリアするとともに、磨耗時にサイプが太くなる“クワトロピラミッドグロウンサイプ”との相乗効果で4年後もしっかりと性能を発揮できるように耐久性が高められた。

氷上制動性能では、アイスガード7は従来のアイスガード6と比べ14%向上。アイスガードSUVとの比較でも食いつきが増し制動距離も短縮していた。

一方のG075はというと、こちらもスーパー吸水ゴムなどの採用によって氷雪性能を追求したモデルであり、登場から8年経ったいまでもSUV用スタッドレスとして高い評価を受け続けている実力派商品である。

氷上性能が大幅に進化しているアイスガード7だが、雪上性能もしっかりと確保されているのが特筆すべき点。溝の面積を最適化することで、優れた雪中せん断力を獲得し高いグリップ力を発揮している。

今回の試乗は、横浜ゴムが北海道に持つテストコース内で実施された。試乗のメインメニューは雪上と氷上での制動テストと、氷上での旋回テストである。これらはいずれもトヨタRAV4に225/65R17 102Qを履かせての試乗を実施。つまりはIG7とG075ともにこのサイズが用意されているということだ。

国内最大規模の屋内氷盤旋回試験場でコーナリング性能を試したが、ステアリングを深く切り込んだ際にも挙動が安定していた。

まず、IG7とG075のパターンを見比べると、IG7は溝が狭く浅い印象があるのに対し、G075はより太く深い溝を持っていた。IG7のほうがサイプやエッジの量は多く繊細な印象だ。そんな見た目の違いは何より、氷上での性能向上を狙った結果ともいえる。実際に氷上で走らせてみると、IG7は路面に吸い付くようなグリップ感が強く、制動テストでは明らかにG075より短い距離で止まることができた。

また旋回試験では、G075は一定の速度で弧を描いて周回していても修正舵を必要とする、つまりアンダーステア傾向に陥る場面が多い一方で、IG7は同じ速度で走っても安定したグリップを保ちながら旋回でき、速度を上げてようやくG075と同じようにアンダーが顔を出すという具合だった。

ハンドリング試験路ではBMWのX1も試したが、アイスガード7は高いグリップ力を発揮してくれた。総合圧雪試験場では、ポルシェ・マカンでスラロームを実施したが、軽快なハンドリング性能を披露してくれた。

それは重量級のSUVを使った単独の雪上走行でも同様だった。IG7を履いたポルシェ・マカンやBEVのBMW iX1を試したシーンでは、コントロール性の高さもさることながら、特に足下のしっかりとした安心感が際立っていた。スタッドレスというと路面をしっかりと掻けるようにある程度の柔らかさが必要で、それが大きく重いSUVの場合は腰砕け感を助長するが、IG7ではそのようなマナーは見せず、旋回や加減速でも安定した走行をキープし続けてくれた。

もっとも、だからといってG075がIG7に劣るかといえば、決してそんなことはない。先述のような氷上性能の比較では多少の差がつくのは事実だが、こと雪上、それも深雪の路面では、G075はしっかりと雪を掴んでいるのがわかりやすく、このシーンに限っては個人的にはIG7よりもG075のほうがコントローラブルに感じた。

そんな両者の実力を知るとますます選択の悩みが増えるかもしれないが、それはやはりタイヤの使用環境を第一に考えてチョイスするのが一番だ。まず、適正サイズを選ぶことを大前提として、セダンやスポーツカーに適したスタッドレスならば迷わずIG7を装着すれば良い。SUVに乗る人でもオールマイティな性能を求めるならばやはりIG7を選ぶべきだと思う。しかし、雪道の走行が年に数回程度のレジャーユースであればG075を選んでも間違いなく、コストパフォーマンスの良さを実感できるだろう。いずれにしても安心感が得られる選択肢が多いというのはありがたいところ。自身のウィンターモータリングライフにマッチする賢いチョイスをしてほしい。

アイスガード7の詳細はコチラ

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