マセラティ

【国内試乗】エンジンの咆哮を堪能しつつ比類なきオープンエアの世界を!「マセラティ・グランカブリオ」

マセラティのグランツーリスモのオープンモデル、グランカブリオが日本に上陸した。流麗なボディを纏い圧倒的なパワーを兼ね備えつつ、オープンエアを満喫できるスポーツカー。さて、アナタは乗りこなせるか!?

V6エンジンの雄叫びをオープンで味わう醍醐味

数あるラグジュアリーカーの中でもひと際、強い個性をもって惹きつけるマセラティ。その代表格として知られるグランツーリズモが15年ぶりに刷新したのと同時に開発されたのがオープンモデルのグランカブリオであることは言うまでもないものの、先代をベースに手を加えた新たなエクステリアデザインは新鮮さこそ希薄な一方で、あらためて秀逸であると、つくづく思い知らされる。“スポーツ&ラグジュアリー”というテーマに準じるどころか、ある意味でこの普遍的な“粋”に、見た瞬間からやられてしまう人は少なくないだろう。世の流行りには断じて従わない姿勢というか、そういう香りを全身から放っているようで、乗りたい! と思う前に“お前は着こなせるのか?”と問いかけられている気がしてならなかった。

オプションのブルーマリンソフトトップを纏ったスタイリング。やはりオープンカーにはソフトトップが似合う。50km/h以下なら走行中でも開閉が可能だ。

ピニンファリーナによるデザインをまとった先代からわずかにマッチョになったことで、そのパフォーマンスにも期待してしまうが、予め断言しておくと、基本的にGTの域を脱することはない。ただし、スポーツ性という面では先代とは比較にならないほどアップグレードされているのも間違いない。

試乗車はグランカブリオ・トロフェオで、最高出力550psを発生する3LV6ツインターボのネットゥーノエンジンを搭載。理想的な重量配分とターボチャージャーを搭載したグランドツアラーを実現するために、シャシーの中央に低く配置される。

基本構成は当然ながらグランツーリズモと同様、3L V型6気筒ツインターボのネットゥーノに8速ATを組み合わせ、駆動方式もAWDを採り、最高出力550ps、最大トルクは650Nmを出力するが、何よりも実用域における中間加速が俊敏になったことに進化の幅を感じられる。先代のV8自然吸気エンジンは今ひとつレスポンスに欠けていたから、これだけでもマセラティの株が上がったように思えてしまう。クーペ比で100kgほど重量の増加が見られるとはいえ、ターボの効果が活かされているだけに胸のすくような加速を味わえるし、他のカブリオレモデルと比較しても遜色ないどころか高い満足感が得られる。

ドライバーを中心にデザインされた上質なインテリア。オープンモデルならではの首元を温めるネックウォーマーやウインドストッパーを標準装備。後席は2+2のレイアウト。

もし、これで十分と思えないなら、やや乗り心地は硬くなってしまうがスポーツモードを多用すればいい。逆にあえて主張するなら、デフォルトのGTモードは街乗りに適した設定が基本だからコンフォート性能が優れている証しでもある。まさにデートに最適と言わんばかりの出来栄えだ。

そういう意味では、ソフトトップの採用も褒めるに値する。先代もそうだったが、カラーバリエーションを選べるのは、実にファッショナブルで好ましく、このクルマを選択するオーナーの心をくすぐるだろう。今のところ5色から選べるようだが、いずれ増える可能性もありそうだ。肝心のオープン〜クローズドに要する時間は14秒。50km/hまでなら走行中でも開閉可能──と、お決まりの台詞が並べられるが、2+2シートをもつオープンモデルゆえにルーフ面積から考えれば比較的早いと言える。走行中もサイドウインドーさえ上げていれば、街乗りでは風の巻き込みがほとんどないうえ、ネックウォーマーまで標準装備されているため、所有期間におけるルーフのオープン率は自ずと高くなりそうだ。

もちろん、先にも触れたように、スポーツ性能が上がっているのは確かだが、オイル臭い技術解説や実力ばかりを語るのはこのクルマに相応しくないから避けたいところだが、ひとつだけ軽く触れるなら、コルサモードの加速力とハンドリングは病みつきになるほどマセラティの本気を感じる部分。もし、グランカブリオを手に入れてワインディングを走る機会があれば、躊躇なく使用することをお薦めする。フェラーリほど官能的ではないものの、マセラティらしいエモーショナルで野性的なV6の雄叫びをオープンにして味わえるのは、グランカブリオの醍醐味。その時こそ、充実した所有感で心が満たされるはずだ。

オープンモデルゆえ、ラゲッジはご覧の通りだが、1泊2日程度の荷物は積載可能。

【Specification】マセラティ・グランカブリオ・トロフェオ
■車両本体価格(税込)=31,200,000円
■全長×全幅×全高=4960×1950×1380mm
■ホイールベース=2929mm
■車両重量=1970kg
■エンジン型式/種類=—/V6DOHC24V+ツインターボ
■内径×行程=88.0×82.0mm
■圧縮比=11.1
■総排気量=2992cc
■最高出力=550ps(404kW)/6500rpm
■最大トルク=650Nm(66.3kg-m)/3000rpm
■燃料タンク容量=70L(プレミアム)
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/エア、後:マルチリンク/エア
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:265/30ZR20、後:295/30ZR21
問い合わせ先=マセラティジャパン TEL0120-965-120

フォト=宮門秀行 ルボラン2025年1月号より転載

この記事を書いた人

野口優

1967年生まれ。東京都出身。小学生の頃に経験した70年代のスーパーカーブームをきっかけにクルマが好きになり、いつかは自動車雑誌に携わりたいと想い、1993年に輸入車専門誌の編集者としてキャリアをスタート。経験を重ねて1999年には三栄書房に転職、GENROQ編集部に勤務。2008年から同誌の編集長に就任し、2018年にはGENROQ Webを立ち上げた。その後、2020年に独立。フリーランスとしてモータージャーナリスト及びプロデューサーとして活動している。

野口優

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