試乗記

新型「プレリュード」や「ヴェゼル」仮装の実験車に試乗! ホンダ次世代「e:HEV」強化の詳細が明らかに

新技術の「Honda S+ Shift」はスポーティな走りの世界観を提供

ホンダが2025年から随時市場導入する、次世代e:HEVの詳細を公開した。e:HEVはホンダ独自の2モーターハイブリッドシステムだ。
基本システムをおさらいすると、大きく3つの駆動パターンがある。1つ目は、「EV ドライブ」モードで、エンジンは停止しバッテリーからの電力で走行用モーターを使う駆動。2つ目は、エンジンを作動させ発電用モーターを連動し、走行用モーターでの駆動。そして3つ目が、高速道路でのクルージングはエンジンと駆動軸をクラッチを介して直結させるのがホンダの独自性として知られている。

ホンダの次世代小型eHEVシステム

次世代e:HEVでも、基本的な作動パターンはこれまでのe:HEVを継承した上で、さらなる進化を遂げた。進化のキーワードは「五感に響く移動の喜び」だ。
具体的には、熱効率と燃費を向上させた2つのエンジンを新開発した。「フィット」や「ヴェゼル」など、グローバル市場のBセグメントであるモデル向けに、1.5L直噴アトキンソンエンジンを採用する。

ホンダの次世代中型eHEVシステム

ボディサイズの大きい「CR-V」などグローバル市場でのC/Dセグメント向けには2.0Lエンジンで対応する。四輪駆動については、後輪を出力50kWモーターで駆動する電動AWD化を採用する。また、C/Dセグメント用に新型プラットフォームも投入する。

次世代中型プラットフォーム

実際、現行「ヴェゼル」に1.5L新型ユニットを搭載した電動AWD実験車両と、現行ヴェゼルを比較試乗したが、加速時にEVで走行する時間が長い。また、エンジン始動時の振動が少なく、またエンジン音も静かさを増しているのが分かる。旋回時の後輪の追従性も明らかに速い。

さらに、新開発の「Honda S+ Shift」を試した。これは2020年のフィットe:HEVから採用しているリニアシフトコントロールを進化させたもの。加速時や減速時のエンジン回転数と同期したシフトサウンドを、実際のエンジン音に加えてアクティブサウンドコントロールで音を演出した。走行中、走りの気持ちよさがかなり上がった。

このHonda S+ Shifit搭載の、新型「プレリュード プロトタイプ」にも試乗できた。クルマのベースは、なんと現行「シビックタイプR」。これを「乗り味(が良い方向)に振った」という基本設定で、ここに現行「シビック e:HEV」を改良して搭載した。その出来栄えに驚愕した。
コンフォート、GT、スポーツと3つのドライブモードそれぞれに対して、Honda S+ Shiftをオン・オフできる。例えば、スポーツモードでは、減速時にアクセルをブリッピングしたようなシフトダウンがかかり、さらにアクセルレスポンスとハンドリングが見事にシンクロする。ホンダの次世代e:HEV、実に奥が深い。

この記事を書いた人

桃田健史

専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。日本自動車ジャーナリスト協会会員。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。

桃田健史

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