
今後は各種イベントを行うスペースとして活用
東京高速道路(KK線)の廃止に伴い、KK線リボーンセレモニーが開催された。KK線は、1966年の全線併用を開始した有料道路で、新橋、銀座、京橋などをつないできた。利用者にとっては、首都高速道路の一部という認識があったと思うが、運用する企業は東京高速道路株式会社という別会社となる。そんなKK線がなぜいま、廃止されたのか。
理由は、現在工事が進んでいる首都高速道路の日本橋区間地下化の影響によるものだ。これにより、地下に新京橋連結路が新設されることになり、KK線の必要性がなくなる。KK線の特徴は、通行料金が無料であったこと。なぜ無料にできるかといえば、道路の維持運営にかかるコストを、KK線の下にある店舗や事務所などの賃貸収入で賄っていたからだ。
一般的に商業施設の屋上部分を、駐車場スペースとして利用する事例は全国各地にあるが、有料道路化という発想は開業した60年代当時のみならず、近年でも稀はビジネスモデルだといえる。KK線での自動車の通行は4月5日午後8時に終了し、今後については人が歩いたり、また各種イベントを行うスペースとして活用する。
今回のセレモニーでは、そうした「クルマから人」へのバトンタッチを演出した。クルマの代表としては、60年代から90年代の旧車がパレード。マツダ「ロータリークーペ」、日産「スカイライン(ケンメリ)」、トヨタ「MR2」など多彩なラインアップによって昭和を感じる瞬間であった。これら車両は、個人の所有車とメーカー各社が自社管理するヒストリックカーだ。セレモニーの締めくくりとして挨拶した、小池百合子東京都知事は「東京に来たら、KK線に言ってみようと、世界に向けた観光の拠点にしたい」と、次世代KK線の可能性に期待を寄せた。
東京都都市整備局と東京高速道路株式会社は今後、まちづくりの観点でKK線を活用した様々なアイディアを具体化させていくという。
そうしてKK線の再生に取組むプロジェクトを「Roof Park Project」と命名。KK線の下部の商業施設だけではなく、新橋、銀座、京橋周辺の店舗や企業とも連携した、地域が一体化した連携を目指す。
すでに、各種協議会では様々なアイディアが出ているようだ。今回のようなヒストリックカーのみならず、東京都が推進しているEVや燃料電池車などに関するイベント会場としても、KK線が使われることもあるだろう。次世代KK線の多様性に期待したい。