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【繊細かつ豪奢】世界に1台だけのロールス・ロイス「ファントム・ダンテル」が発表…中東の顧客によるビスポークは「クチュールレース」がモチーフ

精巧なハンドメイドレースへのオマージュ

ロールス・ロイスは、中東の顧客の依頼による“世界にひとつだけのファントム”、「ファントム・ダンテル」を発表した。この顧客が父親への贈り物として注文した非常にパーソナルなプロジェクトは、ロールス・ロイスのプライベートオフィス・ドバイを通じてキュレートされたものだ。見る者を圧倒せんばかりのゴージャスさと、工芸品の繊細さを併せ持つその世界を、すこしだけお見せしよう。

【画像10枚】せめてオーナーになった気持ちで! ビスポークのファントムを堪能する

この依頼のインスピレーションの元となったのは、一枚のオートクチュールレースである(ダンテル:Dentelleとはレース細工の意)。希少な「リーバーズ織機」を用いて織り上げられた繊細なレース生地は、立体的な花柄と柔らかな真珠のようなディテールを特徴とする。その質感と優しい色合いが、ファントムの内外装の装飾をクリエイトするにあたっての基盤になったというのである。

ロールス・ロイスのプライベートオフィス・ドバイのデザイナー、ミシェル・ラスビー氏は次のように説明する。
「私たちはいつも、自動車の依頼のインスピレーションはどこにでもあると言っていますが、20年以上経った今、私たちのクライアントはこれがどれほど真実であるかを常に証明しています。

プライベートオフィス・ドバイを通して依頼されたこの素晴らしいファントム・ダンテルは、世界有数のオートクチュール・アトリエで使用されている精巧なハンドメイドレースへのオマージュです。刺繍という媒体を使用することで、この繊細な素材を最高傑作へと昇華させました。そのユニークさ、美しさ、そして職人技は、オートクチュールの真の表現と見なすことができます」

インテリア・スイート:レースからのインスパイア

ファントムのフェイシアは、ビスポークのアートワークを見せつけるための特別なギャラリーとも言える。この1台限りのフェイシアのために、ビスポークのデザイナーはクチュールレースにインスパイアされた花のコンポジションを作成した。刺繍は、複数のステッチ技法や糸の密度、色調のブレンド(ローズゴールドやサンライズ、オートミールなど)を重ね、花びらやシダ、レース細工の質感を想起させるよう仕上がっている。

フィリグリーレースのようなベースはトリプルランステッチを使用して形成され、細かいメッシュ構造を作り出している。その上に、サテンステッチが柔らかくシルクのような光沢を持って花を形作り、隆起したアクセントがパールのようなディテールとしてちりばめられている。この繊細な刺繍を構成するステッチは、なんと16万以上におよぶというのである。

後部座席の間のウォーターフォールセクションにも、フェイシアにおけるギャラリーで示された植物のディテールが反復され、約7万ステッチを要する繊細な刺繍が施されている。この刺繡のトーンを引き立てるのは、ローズゴールド仕上げのスピーカーグリルだ。

インテリア全体はサンライズホワイトとグレースホワイトのレザーで仕立てられ、フロントとリアのヘッドレストに刺繍された「RR」モノグラムや、ピアノホワイトの化粧板でフィニッシュされている。

エクステリア:ビスポークの色合いとハンドペイントの華やかさ

一方、エクステリアはビスポークとしてツートーンカラーで仕上げられており、ボディ下部はアークティックホワイト、ボディ上部はパレ・ナマスカー・ドーン、いずれもクリスタルのオーバーコートが施されている。パレ・ナマスカー・ドーンはこの車両、つまりこの顧客専用に用意されたカラーだ。

ダブルコーチラインには、パールの実をつけ葉を茂らせた枝がアクセントとしてハンドペイントで描かれ、インテリアのテーマを車体外側にも反映している。またこの車両は、フルポリッシュ仕上げの22インチ・ディスクホイールを装着しているが、その中央にはボディ同色のセンターホイールが取り付けられ、アークティックホワイトでセンターピンストライプが施されている。ポリッシュ仕上げのフロントグリルにはローズゴールドのスピリット・オブ・エクスタシーがあしらわれており、ビスポークの刻印入りトレッドプレートにもローズゴールドが使用されている。

……所有することはおろか、ゲストとして乗員となる機会すら、ほとんどの者にはまず訪れないであろうビスポークのファントム。こうしてその仕上げのディテールを垣間見るだけでも溜め息しきりである。

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LE VOLANT web編集部

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