横浜ゴムの技術とノウハウがぎっしり詰まっている
「雪に強いオールシーズンタイヤ」をキャッチコピーに登場したのが、横浜ゴムのオールシーズンタイヤ「ブルーアース4S」だ。横浜ゴムではオールシーズンタイヤと言えども雪道での安全性を重視しており、オールシーズンタイヤの中では雪上性能重視のキャラクターに仕上げたという。
トレッドデザインは、V字ダイバージェントグルーブと名付けられた、オールシーズンタイヤのトレンドでもあるⅤ字溝タイプだが、クロスグルーブというⅤ字溝とクロスする溝が追加されているのが特徴だ。雪柱せん断力は、溝の交差点を作ることで作り出すことができる。クロスグルーブは溝を多くして雪柱せん断力を作り出す役割を担っている。スタッドレスタイヤの開発で得たノウハウを生かしたトレッドデザインとなっているわけだ。またショルダー部には大型ブロックを配置することで、ドライ路面での操縦性を高めている。
コンパウンドは、雪道やウエット路面に力を入れており、粒径の小さなマイクロシリカを末端変性ポリマーによって効率よく分散配合。低温時のゴムの柔軟性を高め、スノーグリップポリマーとウエットグリップポリマーをバランスよく配合することで、ウエット性能と雪上性能をバランスさせている。
試乗して印象的なのは、雪上のブレーキの効きの強さ。前後左右のグリップバランスでいうと、横方向よりトラクション方向のほうがしっかり力が伝わる印象なのだが、それ以上にブレーキの効きが強く出る。
雪上におけるオールシーズンタイヤの役割は、バランスのいい操縦性ではなく、エマージェンシーとしての安全性。雪上ブレーキ性能の高さは、制御が難しい下り坂での安心感に直結するので、雪道での大きな安全マージンになるし、安心感につながる。ブルーアース4Sは、その点をしっかりと抑えている点が好ましい。しっかり前に進めるトラクシション性能があり、それ以上に強く効くブレーキ性能の良さは大きな特長といっていい。
ツルツルに磨かれた雪の路面や氷上では、サマータイヤほどではないがグリップ性能はあまり期待できない。ただ、サイプが施されたトレッドが効いているのか、あるいはコンパウンド自体もある程度グリップが出ているのだろう。氷盤路で、という但し書きは付くが、案外氷の路面に爪を立てているようなグリップ感が感じられ、ハンドル操作やアクセル操作に反応してくれるのだ。
さすが「雪に強いオールシーズンタイヤ」を謳うだけのことはある。雪寄りのコンパウンドの低温での柔軟性が、氷の路面でも繰りプを発揮しているということなのだろう。限られた条件の中であらゆる要素からグリップ性能を引き出そうとする、横浜ゴムの技術とノウハウがぎっしり詰まったタイヤ、そんな印象を受ける。
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