最大後続可能距離は322kmを達成
エンジンと電気モーターを搭載しているのは一般的なハイブリッドカーと同じながら、エンジンは基本的に発電のみに活用される「レンジエクステンダーEV」という触れ込みで登場したにもかかわらず、発売後にエンジンが走行用としても機能することが発覚、だったらEVではなくてハイブリッドじゃないかと議論になった初代シボレー・ヴォルト。日本には未導入ながら、そんな話題を耳にした記憶をお持ちの方も少なくないだろう。でもそんな議論もこれでおしまいか? 今回CES=コンシューマー エレクトロニクス ショーで登場したヴォルト(VOLT)の弟分、ボルト(BOLT)は純EVなのだ。
ちょっとややこしいが、GMは1年前の北米国際自動車ショー=デトロイト・ショーで、2代目となる新型「ヴォルト」とこのよりコンパクトな「ボルト」のコンセプトモデル2台を公開。今回CESで公開されたのは後者の市販版というわけだ。デトロイトでの公約どおり200マイル(約322km)の航続距離を公称し、日産リーフの現行モデルのカタログ値である280kmを大きく上回っている。
最新の電気自動車らしく、相互通信技術も充実している。モバイル端末用アプリ技術を活用できるようデザインされたそれは、カーシェアリング用途での管理やアップ・トゥ・デートなGPSナビ、ゲーム画面を思わせるようなインターフェイスなどが簡単に活用できるという。専用に開発された低電力Bluetoothによってクルマに近づくだけでシームレスにスマートフォンとの相互通信が確立されるなど、スマートフォンとの連携も万全だ。その際にはOnStarと呼ばれるGMの4G LTE車両通信技術をバックグラウンドに、ボルトEV自身がWi-Fiスポットとして機能する。
ボルトEVは、2016年内に2017年モデルとして発売される予定とのことだが、2017年には日産も2代目リーフを投入するものと目されている。新型バッテリーを採用して航続距離300kmを目指しているとも伝え聞くが、このボルトEVの出現で状況が変化するのは必至だろう。充電装置の規格が完全に世界共通とはなっていないこともあり、ボルトEVが日本に正規導入されるかは未定だが、リーフとの競合がEVの一般化を加速してくれるのは間違いないだろう。