ドイツ国内の新車販売台数増加にも貢献。’18年だけで7万台が代替
フォルクスワーゲングループ(VW)が’17年8月に始めた買い換え補助金(環境インセンティブ)を今年3月まで延長すると発表。ディーゼル排ガス不正の後、ドイツ政府と自動車メーカーが取り決めた補助金のユーザーへの支給は当面’17年12月までとされていたが、延長によりさらにユーザーのディーゼル離れが進むことになりそうだ。
フォルクスワーゲンブランドは、’20年までに10万台のEV販売を計画。’25年までの期間では100万台のEV販売を目指している
この補助金はユーロ4以前の排ガス規制車からの買い換えを条件としたもので、’09年前後のモデルからの買い換えを対象に2000〜1万ユーロ(約27〜136万円)もの金額が新車購入ユーザーへ支給されてきた。これに政府からのインセンティブも加わり、VWだけで約7万台分が支給され、おかげでドイツ国内の新車販売台数は10月以降はプラスを維持。新車マーケット全体の伸びを後押しする一方でディーゼル車の販売比率は下がり、’17年11月はハイブリッド車を含むガソリン車の比率は6割を超えている。
VWの補助金延長もそうした流れを持続させようというもので、プラグインハイブリッドや電気自動車(EV)への乗り換えにはより手厚い補助金を支給。VWによると、EV(主にe–ゴルフ)への乗り換えは全体の8%程度とまだ多くはないが、従来の4倍に増えているという。それにともないVWはe–ゴルフの生産体制を強化し、今年3月からは1日当たりの生産台数をそれまでの倍の70台に増やす計画だ。
こうした環境インセンティブは他のメーカーも導入しており、かつての日本でのエコカー補助金に似た形で新車販売増に貢献していると思われる。日本の補助金は全額政府が負担していたことで、その予算を使い切った時点で終了となったが、自動車メーカーが原資を提供するドイツの施策はどこまで続くのか興味深いところでもある。一応、3月までとされているのでそこで打ち切られるのか、それとも反動による急激な販売減を抑えるため、何らかのソフトランディング政策がとられるのか。両刃の剣にもなりうる補助金だけに、その動きを注意深く見守りたい。