清水和夫のDST

ポルシェ・マカン vs レクサスRX200t、両車のブレーキ意思が明確に!?【清水和夫のDST】#66-3

曲げるマカンと止めるRX。両車のブレーキ意思が明確に。

 

 

PORSCHE MACAN
●制動距離:47.0m(★★★★)

宇宙一利くブレーキを持つポルシェでもウェットの旋回ブレーキは油断できないテストだ。結果的にはライントレース性を重視したために、制動距離はRXよりも若干長くなってしまった。止まる性能を優先するか、ステアリングのライントレース性を優先するか──これは自動車メーカーの哲学が問われる。911やケイマンなら、その両立を狙えるが、基本設計がアウディQ5なので、どこまでポルシェの哲学を貫けるか、私も不安だった。結果は前述のとおりライントレース重視となった。制動距離が長くなっても、ステアリングの利きを重視した。直線制動ではRXよりも大きな制動力を示していたが、旋回ブレーキでは制動力を控えめにし、残ったタイヤのグリップ力を曲がるほうに振り分けている。1回目と2回目のロバスト性は合格だ。

LEXUS RX200t
●制動距離:44.5m(★★★☆)

背が高いSUVのプライオリティは横転事故などを起こさないダイナミクス性能。そのために先代までのRXはステアリングをきると舵が利かない方向にジオメトリーを設定していた。安定性とダイナミクスの両立が今までのRXではできていなかった。しかし、今回はエンジンマウントの位置をエンジンの重心近くで支持するように設計変更、シャシー性能が大幅に見直された。その結果、舵の利きと止まる性能がバランスよくなった。結果はマカンよりも一車線外側のラインをトレースしたが、重量のハンデを考慮すればやむを得ない。それよりも制動距離がマカンよりも短かったのは評価できる。ダイナミクスが確実に進化したと判断できるが、1回目と2回目のロバスト性では課題が残った。ステアリングを先行させると約20%制動距離が低下したのだ。

ル・ボラン 2016年2月号より転載
CARSMEET web編集部

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