モーターショー

ベントレーの限定車、「ナンバー9エディション」とは?

創業100周年を記念した世界100台の限定モデル

ベントレーはこのほど、1919年の創業から100周年を記念して、コンチネンタルGTをベースにした世界100台の限定モデル「コンチネンタルGTナンバー9エディション・バイ・マリナー」を発表した。

このモデルには、1920年代から1930年代にかけてベントレー・ボーイズとして活躍したヘンリー・ラルフ・スタンレー“ティム”バーキン卿へのオマージュが込められている。ベントレーの顧客であると同時に投資家やレーシングドライバーとしての顔も持っていたバーキン卿は起業精神と野心に溢れた人物だった。そんな彼が勝利を確信して製作したマシンが4 1/2リッターの「ブロワー」だった。

「ブロワー」は1930年にバーキン卿がル・マン24時間レースに参戦したときのマシンで、カーナンバーは「No.9」だった。スーパーチャージャーを搭載したことによって、エンジンの最高出力はそれまでの約110psから175psへと増大。圧倒的な存在感を放ったグリーンのマシンは、戦前のレーシング・ベントレーを代表する名車となったのである。

そんな背景から誕生した今回の限定モデル、フロントグリルで目を引くのは「No.9」のバッジと、そのバッジにマッチした大胆なグラフィック。ボディカラーはビリジアングリーンとベルーガブラックの2色が設定され、22インチ・マリナー・ドライビングスペシフィケーションホイールもボディカラーと同じ2色から選択できる。また、ブラックラインスペシフィケーションやカーボンボディキットも用意されている。

インテリアを彩る伝統的なレザーハイドは、カンブリアグリーンとベルーガの2種類。シートやインナードアパネルなどの光沢が一段とアップしている。ヘッドレストとドアパネルには、1930年式「ブロワー」のドアパッドのデザインに倣い、「B」の文字がデボス加工(凹ませて目立たせる加工方法)される。

センターコンソールには「エンジンスピン」と呼ばれる模様があしらわれた。この模様は「ターンドアルミニウム」と呼ばれ、光の反射を抑える効果があることから、1920年~1930年代にかけてレーシングマシンや航空機によく用いられたものだ。一方、英国イエーガー製のメーターも特徴的だ。このメーターは往年のNo.9「ブロワー」のメーターからインスピレーションを得てマリナーとイエーガー社が共同開発したもの。当時レーシングカーに採用されていたメーターと同じ伝統的な製造方法が用いられている。

センターパネル上部に配置される画期的なローテーションディスプレイには、「ブロワー」から受け継いだ大切なものが実際に組み込まれている。それは1930年にバーキン卿とともにル・マンを走ったNo.9のレストアの際、運転席から回収された木片。樹脂で覆われた木片はローテーションディスプレイ中央にライトで浮かび上がるように配置されており、歴史の片鱗を感じさせる。貴重なアイテムがこの限定モデルに華を添えた格好だ。

そのほかにも、No.9 「ブロワー」のオルガンストップをイメージした18Kゴールドコーティングのオルガンストップ、さらに「1 of 100」と記されたトレッドプレートもあしらわれる。

注目の記事
注目の記事

RANKING