トルクフルであって欲しいアウディのエンジン
前回のテスト(【清水和夫のDST】#73)では、FFのA4がFRのジャガーに対して苦戦したが、2トン級SUVのQ7は善戦している。きっと相手がメルセデスやBMWでもQ7の優位性は変わらないかもしれない。残念なのは、日本ではディーゼルの設定がないこと。しかも2Lなんてケチなことをいわないで、48Vを使ったモーターチャージャー付き3L V6ディーゼルで日本にアウディ旋風を巻き起こしてほしい。
ところで先代のQ7は、ポルシェ・カイエンとVWトゥアレグのプラットフォームで開発されたが、後出しのため3列シートにして被らないように配慮した。アウディとしてはここまでSUVが流行るとは思っていなかったようで、元祖クワトロがありながら、商品戦略は失敗していた。振り返れば、高性能SUVの世界を切り拓いたのはBMW、そしてそれにポルシェが続いた。そう、それまではスポーツカーメーカーのほうがSUVの開発に熱心だったのだ。
完全に出遅れたSUVを盛り上げるには、アウディ独自の技術が必要。FRベースのAWDでなく、次世代のクワトロを視野に入れて開発するには、進化したA4のプラットフォーム「MLBevo」を使いたいと考えたのだ。A4とQ7は重量もサイズも異なるが、モジュール化のマジックで見事に新型Q7を作り上げた。まさにアウディの非凡さといえるだろう
おそらくモアトルクのQ7(HVのディーゼルを熱望する)が登場すると、メルセデスやBMWもうかうかできないし、同門のポルシェを脅かすかもしれない。