
清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number81(SEASON.8):操る楽しさ再確認したEセグ・ドライバーズカーの決定戦
BMW・540i Mスポーツ vs ジャガー・XF ポートフォリオ/Test02:ウェット旋回ブレーキテスト
●テストの「方法」と「狙い」:ドライ路面からウェット路面に100km/h(±2%)で進入、半径40Rのカーブをフルブレーキングしながら曲がる。路面はハイドロプレーニングよりもウェットグリップが問われる水深5mmに設定。ABSやタイヤを含めたクルマの総合的なブレーキ性能と、シャシーの旋回性能(ラインが外に膨らむクルマは危険)をみる。
ジャガー XF ポートフォリオ VS BMW 540i M スポーツ(ウェット旋回ブレーキ編)
タイヤコンデション
JAGUAR XF PORTFOLIO
グッドイヤー・イーグルF1アシンメトリコ(前後245/40R19)で9分山。ウェットの制動距離ではBMWに負けたが、タイヤではなくブレーキ性能に難があったから。ウェット性能は決して悪くない。
BMW 540i M SPORT
ミシュラン・プライマシー3 Z(前245/40R19、後275/35R19)で9分山。ランフラットタイヤで、乗り心地に若干硬さを感じたが、M スポーツとして見ると納得。ウェット性能は期待値よりも低い。
ブレーキの効きよりもタイヤそのものの、ウェット性能を考えさせる結果となった
JAGUAR XF PORTFOLIO
●制動距離:53.5m(★★★★)
100km/hで半径40mの円に沿って進入し、ステアリングとブレーキを同時に操作。タイヤには十分なウェットグリップ力があるのだが、クルマ側のブレーキの効きが少し鈍い。挙動はリアが少し流れ気味だが、スピンするほどではない。そのまま4輪ドリフトで外側の走行ラインとなる。ここからはステアリングを切り込んでも、ヨーモーメントは発生しないので、40Rのラインには戻れない。アンダーは徐々に変化するので、ドライバーがびっくりするとこもないだろう。2回目はステアリングやや先行させてABSの誤判定をチェックするが、同じデータだったので、ABSのロバスト性は非常に高く優秀だという結論。
BMW 540i M SPORT
●制動距離:52.0m(★★★☆)
ミシュランなのでウェットは問題ないと思っていたが、BMWが採用したプライマシー3のウェットグリップは少し低いようだ。濡れた路面に入った瞬間にステアリングの手応えで接地感が薄くなることが手のひらで感じられた。データ的にはジャガーと同じだが、明らかにウェットグリップが不足している。しかし、クルマ側のブレーキが効くので、停止距離は短かった。実はいま、ヨーロッパでは車外通過騒音とCO2規制が厳しいので、この規制をクリアするためにタイヤのウェット性能が犠牲にされやすいのだ。そんな理由もあって、今回テストしたプライマシー3のウェット性能は少し期待外れだった。