確実に進化を遂げたハイパフォーマー!
メルセデスAMGを代表するスポーツモデル、AMG GTクーペ/ロードスターがマイナーチェンジを実施した。2015年の登場以来、初となる改良ではパフォーマンスよりむしろエクステリアやインテリアのデザイン変更、インフォテイメント系の充実が図られていた。ドイツ本国からの第一報をお届けしよう。

ニュルブルクリンク北コースで7分04秒621と、メルセデスAMGの中で最速タイムを出した「GT R PRO」。国内での販売は20台限定で2900万円。ステアリング位置は左のみとなる。
試乗のスタート地点はドイツ・アファルターバッハのAMG本社。細部のリファインでアップデートされたメルセデスAMG GTの実力を一般道、そしてサーキットで検証してきた。
レースシーンでの活躍も後押しして、登場からわずか5年でスポーツカーとしての揺るぎない地位を確立したAMG GTだけに、今回の変更は小規模に留まる。すでにAMGパナメリカーナグリルを得ていたフロントマスクは、今回バンパー形状が変更され、GT4ドアと共通のアロー形状のポジショニングライト&ウインカーを組み込んだLEDハイパフォーマンスヘッドライトを採用。LEDテールライトも新デザインとされ、さらにリアバンパー、ディフューザー、テールパイプの形状も見直されている。解る人には解るが、従来型オーナーが悲しむこともない。そんな按配の変更である。

AMG GTは、4L V8ツインターボエンジン「M178」を搭載。アルミ製クランクケースに鍛造アルミ製ピストンを組み合わせることで、軽量かつ高強度を両立。
むしろインテリアの方が変化は大きい。メーターはデジタル化され、ダッシュボード中央のマルチメディアディスプレイも10.25インチへと大型化された。ただし、MBUXの採用は見送られている。
さらにセンターコンソールには、TFT液晶を用いたディスプレイボタンが採用されているが、それより目をひくのは、ステアリングに備えられた、各種モード設定を手元で行える“AMGドライブコントロールスイッチ”だ。右側のダイヤルでは走行モードの切り替えが可能。そして左側のスイッチではトランスミッション、ダンパー、エキゾーストサウンド、ESPなどの個別設定、そしてE-デフ、ブレーキによるトルクベクタリング、後輪操舵のパラメータを変更し、安定性と俊敏性の好みのバランスを設定できるAMGダイナミクスの調整ができる。非常に多くの機能を簡便に呼び出せるよう考えられているのである。

リアデザインは刷新され、GT、GT S、GT Cにブラックのディフューザーを装備。エキゾーストエンドは2つの円形のデュアルツインエキゾーストエンドを採用する。
改良型は最新のデジタルコックピットを採用
さて走りはと言えば、変更箇所は特にアナウンスされておらず、実際に走らせても目に見える違いは感じられない。それでも、V型8気筒4Lツインターボエンジンの低回転域から湧き上がるトルクと鋭いレスポンスに、トランスアクスルレイアウトの7速DCTの組み合わせによる動力性能は相変わらず刺激的のひと言だ。
ベーシックなクーペのAMG GTは、優れたライドコンフォートと適度な軽快感のバランスが上々。AMG GT Sのフットワークはシャープな一方、やや落ち着いた感じに乏しく、また乗り心地も快適とは言い難いと感じた。これも従来と同様だ。そして個人的に惹かれたのがAMG GT Cコンバーチブル。ワイドトレッド+後輪操舵でコーナリングは迫力があるし、乗り心地も引き締まってはいるが悪くないのである。

アロー形状のポジショニングライトとウインカーに3つのリフレクターのハイ/ロービームにLEDを採用。明るくクリアな視界を確保sする。
もう1台、最注目の存在がAMG GT R PROだ。先に登場したGT Rと同スペックとなる最高出力585ps、最大トルク700Nmを発揮するエンジンを搭載し、CFRP製のエアロパーツやルーフ、鍛造ホイールにロールケージ、そして調整式サスペンションなどを備えたサーキットスペックのモデルで、ホッケンハイムでの全開走行では、さながらレーシングマシンを操っているかのような緊張感と高揚感に浸らせてくれた。
この新型AMG GTはすでに日本でも発表済みである。AMG GT R PROについては限定20台の導入となるので、興味を持たれた方は決断、お早めに。

新型には、高精細12.3インチのコックピットディスプレイと10.25インチのマルチファンクションディスプレイをセンターコンソールに標準装備。このコックピットディスプレイは、AMG独自の「クラシック」「スポーツ」「スーパースポーツ」の3種類の中から設定することができる。
【SPECIFICATION】メルセデスAMG GT
■車両本体価格(税込)=16,450,000円
■全長×全幅×全高=4544×1939×1287mm
■ホイールベース=2630mm
■トレッド=前1680、後1650mm
■車両重量=1680kg
■エンジン型式/種類=M178/V8DOHC32V+ツインターボ
■内径×外径=83.0×92.0mm
■総排気量=3982cc
■圧縮比=10.5
■最高出力=476ps(350kW)/6000rpm
■最大トルク=630Nm(64.2kg-m)/1900-5000rpm
■燃料タンク容量=75L(プレミアム)
■燃費=9.3km/L(JC08)
■トランスミッション形式=7速DCT
■サスペンション形式=前後Wウイッシュボーン/コイル
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前255/35R19、後295/35R19

日本での販売価格も見直され、ベースモデルは1645万円、GT Sが1993万円、GT Cが2202万円、GT Rが2382万円、GTロードスターは1788万円から。
【問い合わせ】
メルセデス・ベンツ日本 0120-190-610