ルノー

フランスを代表するホットハッチがシュペール5(サンク)GTターボ【旧車ビギナーは要注意!100万円でドロ沼に陥る!?】

カー・マガジン編集部員がこれは!と思った趣味グルマを紹介する“100万円でドロ沼に陥る!?”。今回はフランス製ホットハッチの定番モデルといえるルノー5GTターボと、その対象ともいえるマッタリ系タテ置き5の2台。あなたのお好みは?

ルノー・シュペール・サンクとは?

1984年に登場した2代目サンクは、先代と差別化するためシュペール・サンクと命名された。内外装のデザインはマルチェロ・ガンディーニが手がけている。1980年代のトレンドといえるフラッシュサーフェス・ボディは今見ても斬新だ。走りに特化したGTターボや豪華な内装をもつバカラ。さらにサンクをベースとしたエクスプレスなど、多彩なラインアップを誇った。

ロケット発射準備OK

ルノー、いやフランスを代表するホットハッチとしてシュペール5(サンク)GTターボの名を上げる人は多いだろう。このモデルは、初代サンク・シリーズの中で、最も刺激的なスペックを持ったサンク・アルピーヌ・ターボの後継モデルとして1983年に登場した。

ぎっしり詰まったエンジンルーム:横置き直列4気筒OHVユニットは排気量1397ccで、ターボチャージャーが組み合わされ、最高出力は120HPを発揮。補機類などが追加されてNAモデルよりはスペースに余裕がないため、ヒート対策は万全にしておきたい。

シュペール・サンクの内外装デザインは、イタリア人デザイナーのマルチェロ・ガンディーニが手がけており、1980年代のトレンドといえるフラッシュサーフェスを取り入れたスタイルは、今見ても魅力的だ。ドアハンドルをボディプレスの裏に隠すなど極力段差をなくし、フラッシュサーフェスを具現化したシュペール・サンクだが、GTターボではそんなコンセプトに逆らうかのように、前後に張り出したオーバーフェンダーを装着。しかし、意外にもデザインとのマッチングは良好で、ベースモデルとは一線を画す存在感を手に入れた。

実用性の高さは初代からの美点:シートは座り心地が良く、ロングドライブが苦になることはなさそうだ。フロントシートは年式相応にやれているが、リアのコンディションは非常に良かった。天張りの状態も良好で、擦れや垂れはない。リアのシートは、ダブルフォールディング機構を採用し、荷室との段差を極力なくし、より多く収納できるように工夫されている。

夏の暑さがひと一段落し“熱さが恋しくなる季節にオススメのGTターボ

フロントに横置きされた水冷直列4気筒OHVユニットは、排気量1397ccでターボチャージャーの過給により前期モデルで115HP、今回取り上げる後期モデルでは120HPを発揮する。同時代にラインアップされていた、本革張りのシートなどで上質を売りとしたサンク・バカラが1.7Lで73HPだったことを考えると、いかにハイスペックか想像できるだろう。しかも車重は、現行のダイハツ・コペンのマニュアルモデルと同じ850kg(オートマモデルは870kg)だ。そのトレードオフ(?)として、タービンやファン、補機類などが追加されたGTターボのエンジンルームはぎっしり詰まっており、夏場の渋滞などでは水温計の針の行方を気にする必要が出てくるだろう。

ドライバー前方に集約されたメーター類の視認性は高く、レブカウンター内にはターボモデルらしくブースト計が備わる。

ドライバーの左ひざ前方には、キャブエンジンということでチョークレバーが付く。

ベースとなるシュペール・サンクは、コンパクトで実用性の高いクルマとしてフランス本国のみならず、ヨーロッパでベストセラーを記録している。その美点はGTターボへもしっかりと受け継がれているため、日常使用でも活躍してくれるはずだ。大振りのシートはホールド性がありつつも、ルノーらしく素晴らしい座り心地を持つ。取材車では擦れやすいショルダー部分に傷みがあったが、部分加修で対応できそうだ。リアシートについては使用感はあまりなく良好なコンディションが保たれていた。ちなみにリアシートは60:40の分割可倒式で、ラゲッジスペースを広くとることもできる。

トランスミッションは5速M/T。シフトレバー前方にパワーウインドーのスイッチを設置。

手裏剣の様なデザインのスピードライン製ホイールには、175/60R13サイズのタイヤが組み合わされる。

フレンチ・ホットハッチとして、本誌の誌面を幾度となく飾ってきたシュペール・サンクGTターボ。その魅力を実際に体感するチャンスは、個体の減少に併せて減る一方だ。比較的高年式、キャブエンジン、ターボ、マニュアルとなれば、さらにその選択肢は減るだろう。夏の暑さがひと一段落し、“熱さ”が恋しくなる季節にオススメのクルマとして、GTターボを挙げたい。

1990 RENAULT 5 GT Turbo

価格●890,000円
レア度 ★★
フレンチロケット度 ★★★★★
ドロ沼度 ★★★★

GTターボは、比較的高年式のキャブエンジン+ターボ+マニュアルをお探しであれば必見のモデルといえる。エンジンルームにはあまり余裕がないため熱に強いとは言い難いが、これからは涼しくなる季節だけに、ホットハッチの購入を検討するなら一見の価値あり。

【SHOP INFORMATION】
Alfa Station
住所:〒190-0022 東京都立川市錦町5-10-17
電話:042-523-9984
営業時間:10:00-20:00
定休日:年中無休
URL:http://www.alfastation.jp/

1982 RENAULT 5 Automatic

車両本体価格●1,080,000円

タテ置き派にはコチラ:サンクと言えば、プレーンなデザインの初代が好き!という方にお勧めなのがこちらの1982年式サンク・オートマチック。前オーナーが永く乗ることを決意して、パーツを調達して日常でも乗れるように仕上げたものの、諸事情で泣く泣く手放している。次のオーナーにはとっては非常に嬉しい個体だ。ペイントはもちろん、樹脂バンパーのヤレも僅か。

年式相応にヤレてはいるが、エンジンは好調でトラブルの兆候はない。オルタネーター、ブレーキマスターなどは新品に交換済み。経年変化で傷みそうな個所はしっかりと整備されている。

右ハンドルでクーラー付きとあって、構えず毎日乗れること間違いなし。インパネ下には水温計が追加され、さらに電動ファンスイッチも装着されている。配線は引き直されているため、旧車にありがちな電気のトラブル対策も万全だ。シートはフロント、リア共に緑の起毛生地で貼りなおされている。ボディ色とのマッチングは上々だ。

【SHOP INFORMATION】
アウトレーヴ
住所:〒146-0093 東京都大田区矢口3-3-15
電話:03-6427-5820
営業時間:10:00-19:00
定休日:火曜日
URL:http://autoreve.jp/

Text:中本健二/Kenji NAKAMOTO Photo:内藤敬仁/Takahito NAITO カー・マガジン448号(2015年10月号)より転載

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