カー・マガジン編集部員がこれは! と思った趣味グルマを紹介する『100万円でドロ沼に陥る!? 』。今回はルノー21ターボ。良好な個体は、いつの間にやら少なくなっているようで。
ファミリーも満足の刺激的なターボセダン

21のデザインは、ジウジアーロが率いるイタルデザインが手がけており、前モデルの18が曲線を基調としていたのとは対照的に直線と面で構成されている。トランクリッド上に装着されたリアスポイラーが、スポーツ・セダンであることを主張する。
今回紹介するルノー21ターボを見つけたショップは、東京都立川市にある『アルファステーション』。その名前から想像するに、下取りでたまたま入ったクルマ? と思われるかもしれない。しかし事実は異なり、同店ではイタリア車だけでなくフランス車も積極的に仕入れているそうで、シトロエンCXやアルピーヌA310、プジョー505といったモデルも多数ストックしている。ショップの方に話をきいたところ、オリジナルで良好なコンディションを持っている個体は積極的に仕入れているのだとか。


縦置きされた4気筒SOHCエンジンの排気量は1995cc。そこにギャレット製ターボチャージャーを架装し、さらにF1テクノロジーを受け継いだ2基の空冷式インタークーラーを装着することで最高出力175ps、最大トルクは27.5kg-mを誇った。最高速は227km/hをマークする。
たしかに取材した車両は、ホイールこそスピードライン製に変更されているが、それ以外はオリジナルを保っており内外装ともに美しい。生産終了となった1993年から早くも20年以上が経過しているため、クリアが剥がれてボディはカサカサ、なんて個体をよく見るが取材車にはそんな言葉はあてはまらない。

外観同様、インストルメントパネルのデザインも直線を基調としてシンプルにまとめられている。スピードメーターは260km/hスケールとなり、レブカウンターは6000rpmからレッドゾーンとなる。ダッシュにひび割れなどはなく総じて良好なコンディションが保たれている。
21ターボでは過給エンジンならではの興奮と刺激を体感できる
それは外観だけでなく内装にも当てはまり、紫外線によるダメージを受けやすいダッシュに割れはなく、天井の内張りも垂れておらず”みすぼらしさ”とは無縁。特に秀逸なのがシートで、ドライバーズシートに収まるとフッカリしたタッチの中に芯が通り、また適度にサイドサポートが立っているため、緊張感のないだらりとした姿勢になることはない。モケットの感触も良い。オプションでレザーを選択できたが、取材車のようにモケットがオススメだ。

トランスミッションは5速M/Tだ。小気味よくシフトチェンジを決めて、操る楽しさを体感したくなる。ちなみに21ターボは、マニュアルのみの設定であった。
今回は試乗する機会がなかったため、向かいに座る編集部員にその乗り味を聞いたところ「今では考えられないほどのどっかんターボ。効き始めを身構えて待てるくらいにラグがあるから」とのことだった。現代のクルマでは”本当にターボが働いてる?”と疑問に感じるほど低速から滑らかに過給がかかるが、21ターボでは過給エンジンならではの興奮と刺激を存分に体感できるようだ。ちなみに現役当時は、BMW・M3(E30)やメルセデス・ベンツ190E2.3-16の向こうを張るスポーツ・セダンであった、と言えばその性格が想像できるだろう。

ホイールは定番のスピードライン製に交換されている。組み合わされるタイヤサイズは205/45/R16。取材車は、ミシュランのパイロットスポーツ3を履いていた。
刺激の源泉となるエンジンはフロントに縦置きされている。4気筒SOHCにギャレット製ターボチャージャーを架装し、さらに空冷式インタークーラーを装着することで、最高出力175ps、最大トルク27.5kg-mを発生させている。

モケットシートはフロント、リアともにコンディションは良い。クッションが効いたドライバーズシートに座れば、これぞルノーと言いたくなるはずだ。また後席についても座面長がたっぷりと取られているため、大人でも快適な空間といえる。ドアや天井の内張りについても垂れは見られない。トランクスペースは奥行き、高さともにたっぷりで、家族旅行のような大荷物でも、収容スペースに不満が出ることはなさそうだ。
取材車のエンジンの吹け上がりやシフトの感触をお伝えすることはできないが、アルファステーションでは自社工場を持っているためしっかり整備して乗り出すことが出来るだろう。現代車にはない刺激を体感したいなら、間違いなく乗っておきたいモデルのひとつだ。
1992 RENAULT 21 Turbo
価格●890,000 円
レア度★★
パーツ入手度★★★
ドロ沼度★★★

生産終了となった1993年から20年以上が経過し、もはや希少種となった21ターボ。という訳で、程度の良い個体に乗るならそろそろ動き出したい。スポーツモデルだけに、オーナーによって手が加えられている個体が多いが、取材車は概ねオリジナルを残していた。
【SHOP INFORMATION】
Alfa Station East
住所:〒190-0022 東京都立川市錦町5-10-17
電話:042-523-9984
営業時間:10:00-20:00
定休日:年中無休
URL:http://www.alfastation.jp/