続々とラインアップを充実させる英国の老舗ブランドが電気自動車のSUVをリリース。プレミアムカー市場を狙い撃ちしたかのように登場したこの「シビれる電気ジャガー」は、果たして、BEVに対して懐疑的な舌の肥えたユーザー層を取り込んでいけるのか?
上品かつスポーティなジャガーらしさがある
今年から来年にかけて欧州プレミアムブランドから新規のBEVが続々と登場する予定だが、その口火を切ったのがジャガーのIペイス。BEVはエンジン車に対して低速域での効率がいいこと、クルマからは排気ガスを出さないので交通が集中する都市部の環境対策にいいことなど、シティコミューターとして向いており、A〜Cセグあたりがもっとも適しているともいえるが、その一方でテスラが開拓したハイパフォーマンスなモデルは一定以上の人気が見込めることから、欧州プレミアム勢が虎視眈々と狙っているわけだ。
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キャブフォワードなフォルムがスポーツカーに匹敵するエアロダイナミクス性能(Cd値0.29)を実現。0→100km/h加速は4.8秒だ。
Iペイスのバッテリーは90kW/hと大容量。これだけあれば大型SUVでも航続距離は438km(WLTC)となりひとまずの課題はクリアできる。バッテリーが大きければとうぜん充電にも時間がかかり、現在主流の50kWの急速充電器でも1時間あたり最大270km分しか入らない計算だが、今後は充電器の大出力化が見込まれているので利便性は徐々にに高まるだろう。
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普通/急速充電ともに対応するエネルギー密度の高いパウチセル型90kWhリチウムイオン電池をフロアに敷き詰め、前後アクスルそれぞれに200psの自社製電気モーターを搭載。
モーターを前後にふたつ搭載したAWDで最高出力400ps、最大トルク696Nm。0→100km/h加速は4.8秒と俊足だ。テスラのハイパフォーマンスバージョンほどではないにせよ、アクセルを踏み込めばのけぞるほどの力強い発進加速が味わえる。しかもトルク特性が心地良く、上品で伸びやかなフィーリングなところがジャガーらしい。サスペンションはしなやかで、乗り心地が快適でありながら低重心ゆえのハンドリングの良さがある。
航続距離やコストでBEVに二の足を踏む人もいるだろうが、Iペイスのように走りの魅力も大きければ、踏み出す勇気も湧くってもんだ。