自動車型録美術館

アルファロメオGTA/それは遥か彼方のまぼろしのような憧れの存在【自動車型録美術館】第33回

ALFAROMEO GTA/アルファロメオGTA

前回に続くイタリア車。今回は、個人的に憧れていたアルファロメオのGTAを選びました。

アルファロメオ vs BMW

1970年代初頭、高校生のわたしは、余暇はいつもアルファロメオ1750とBMW2002を比較していました。DOHCエンジンで4輪ディスクブレーキのアルファロメオか、SOHCながら4輪独立懸架のBMWか。スペック的にBMWはやや不利でしたが、ポール・フレール氏が選んだのはアルピナチューンのBMW、わたしは妄想のなかで大いに悩んだものです。

GTA

今の若い人は、アルファロメオのGTAときくと、147や156を思い浮かべるようです。

1970年代の前半に免許を取得した身にとって、GTAは105系として燦然と輝く名前。アルミボディ、DOHCツインプラグエンジン、フロントグリル下に2箇所設けられた長楕円のスリット、簡易なドアハンドル、等々、興味のない人にとっては、通常モデルに対してほんの僅かな差かもしれません。アルファロメオというだけでやや遠い存在だったので、GTAとなると、それは遥か彼方のまぼろしのようでした。

1970年代東京青山

1970年代当時、どうしても忘れられない光景があります。それは105系のコルサモデル、すなわちバリバリのレーシング仕様が東京は青山墓地のあたりにとまっていたのです。はちきれんばかりのオーバーフェンダー、図太いタイヤ。いまだに解けないミステリーです。

アルミボディにDOHCツインプラグエンジン、憧れました

GTAのAはご存知のようにイタリア語で軽量化を表すalleggeritaの頭文字です。まず1965年に1570ccのジュリアの派生モデルとして追加され、その後1968年には、1290ccの1300ジュニアにも設定されまました。GTA1300の生産は、ジュリアGTAが終了した1969年以降も1970年代まで続いています。

アルミボディ、マグネシウムホイール、一部のウィンドを樹脂に、ドアハンドルや内装も極力シンプルにして徹底した軽量化を図り、740kgという車重を達成しています。走りの為のダイエットはライザップの比ではなさそうです、まさにスパルタン。思えば初代GT-Rもヒータすらオプションでした。尚、姉妹誌モデル・カーズの自動車博物記では今月GTAのエンジンモデルを紹介しています。

●ジュリア/サイズ(縦×横)220mm×278mm ●全22ページ

1300ジュニア

イタリアには軟派なイメージを抱きがちです。ところがミラノなどの北イタリアに出かけると、人々の勤勉な様子に認識を新たにします。同様に、アルファロメオには洒脱な印象が先行しますが、GTAは実に硬派です。わたしが知る限り、残念ながら105系のGTAに専用カタログはないようです。

今回は105系のGTAとして先に世に出たジュリアと、その後にGTAが追加された1300ジュニア、それぞれのカタログです。この他に1750にも、1750GTAmについて数ページを割いた総合カタログがあり、折をみてとりあげる予定です。

●1300ジュニア/サイズ(縦×横)220mm×278mm  ●全24ページ

 

Text:板谷熊太郎 /Kumataro ITAYA カー・マガジン485号(2018年11月号)より転載

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