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【国内試乗】「メルセデスAMG A35 4マチック」心得のあるストリートファイター

新たな走りのテイストを提案する存在としての説得力は十二分

適度な軽さという表現は、足回りの味付けにもピッタリあてはまる。構成はフロントがストラット、リアはマルチリンクで、スプリングやサブフレーム、セッティングなどはA35専用。スポーツモデルということでそのライド感は当然硬めだが、入力をスッキリと1発で収めつつフラットな姿勢を保つので乗り心地は快適。試乗車は特別仕様のエディション1で、タイヤは標準よりロープロファイルな19インチだったが、入力自体に妙なピークがない点も好印象だ。

エンジンは2LのM260型。「ワンマン・ワンエンジン」ではないのでエンジンルームに例のプレートは存在しないが、スペックはもちろん一線級。

そして、ハンドリングは前述した通り適度に軽快。4WDということもあって挙動自体は終始安定、かつてのFFホットハッチのようにリアを振り出すような走らせ方には向いていないが、各種操作に対して正確に反応するのでワインディングでは扱いやすい。今回の試乗ステージはエスケープゾーンが皆無に近い環境だったので限界域の挙動までは試せなかったが、エンジンと同じくここでも乗り手に使い切れる、あるいは使い切れそうな気分にさせる味付けは確かにメルセデスがいう気持ちよいドライビングに繋がっている。

AMGパフォーマンスステアリングでは、その特性を手元で最適化できる。

とはいえ、ロードカーにおけるスポーツ性の一要素である操る楽しさ、「過程」の表現は基本的にメルセデスの流儀から離れたものではなく理性的だ。その意味では、A35をいわゆる「ホットハッチ」と表現するには多少の抵抗がある。だが、メルセデスAMGの入門編にして新たな走りのテイストを提案する存在としての説得力は十二分。また、すべてにソツがないメルセデスらしさを愉しみたいというニーズには、むしろ伝統的AMGモデルより適任かもしれない。

フォト=小林俊樹/T.Kobayashi ル・ボラン2019年12月号より転載
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小野泰治

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