自動車業界全体が電動化へとシフトしつつある現在から遡ること5年以上前、欧州でいち早く登場したBEVがi3。一方、メルセデスらしく満を持した格好で2019年に市場導入されたEQC。完成度の高さだけでなく、各々の個性に触れてみる。
i3は駆けぬける歓び、EQCは圧倒的な快適性
永遠のライバルであるメルセデス・ベンツとBMWだが、EQCが登場したことでBEV対決もできるようになった。ただし、i3は2014年発売だから5年も差があるうえ、こちらはシティヴィークルというコンセプト。SUVタイプのEQCとはずいぶんと違うが、何はともあれ比較してみたい。
BEVのメリットのひとつはエンジン車のように低速域での燃費悪化が少ないことだから、シティヴィークルというコンセプトは実に理に叶っている。さらに、i3はバッテリーによって重くなりがちな車両重量に対応するためボディにカーボンなどを採用する意欲作。ゼロ発進でアクセルを強めに踏み込んでみると、いきなり最大トルクを発生するモーター特有の力強さとボディの軽さ、そしてリア駆動の特性が相まって、i3は元気いっぱいに飛び出していく。クルマ自体が“走るのが楽しくて仕方がない”というようにさえ感じるほど快活な性格なのだ。
意欲的なのはタイヤにも表れている。大径幅狭な専用タイヤは転がり抵抗低減効果が高く、空力も有利だから燃費向上に効く。運動性能も想像するよりずっと高く、ノーズの軽いRR車のメリットも活かされて軽快なハンドリングを楽しませてくれる。ただし、転がり抵抗低減と引き換えにノイズは相応に大きく、軽量化のためなのか遮音効果があまりないようで、ロードノイズは気になってしまう。