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ホンダが運営体制を大幅に変更

主要開発部門を本田技術研究所から本社へ移管。モビリティサービス専門の新会社も設立

ホンダ(本田技研工業)が事業の運営体制の大幅な刷新を敢行する。同社初の四輪車「ホンダS360/S500」を世に出す以前の1960年に設立された別会社「本田技術研究所」の最大の事業であった研究開発事業をホンダ本社へ移管。技術研究所にはデザイン部門など一部を残すが、今後は主にモビリティサービスやロボティクス、エネルギー分野などの先端部門研究へ特化することになる。創業者の本田宗一郎氏が「経営状況に左右されず、自由に研究開発ができるように」とホンダ本社から分離させた技術研究所だが、約60年を経てその体制が変わることになる。
すでに二輪部門は2019年4月に開発部門を本社に移管していたので、それに続いて四輪部門も、という形ではあるが、技術研究所に属していた多くのエンジニアがホンダ本社の所属となる。仕事の内容がいきなり大幅に変わるわけではないものの、栃木県の技術研究所R&Dセンターでは社内の大幅なレイアウト変更などが行なわれることになるという。また、日本および海外の生産設備などの開発や設置を手がけてきた子会社、ホンダエンジニアリングは研究開発の一部機能を技術研究所に移管したうえで、ホンダ本社へと吸収合併させる。

四輪車の商品開発を担うオートモービルセンター(写真は栃木芳賀郡)を本社に移管し、効率的な開発体制をつくるのが狙いだ。

さらにモビリティサービスに関して新たに「ホンダ・モビリティソリューションズ」という新会社を設立。日本でのモビリティサービスはこの新会社が担い、自動運転や新たな移動手段、コネクティッドなど具体的なサービスの提供や企画立案などを行なっていく構えだ。
本田宗一郎氏が技術研究所をホンダ本社から分離独立させたのは、柔軟かつ独創的なアイディアで激しい競争を勝ち抜かなければ、という思いからだった。それから60年を経て、電動化や自動運転、モビリティサービスなど次世代の新たな競争に臨むには研究開発と経営の一体化も必要という結論となったようだが、独自のスタンスでファンを増やし、他社にない特徴を持つグローバル企業であるホンダが、今回の改革でどう変わっていくのか。ホンダファンはもちろん、世界の企業や投資家がその動きを注視している。

ルボラン2020年5月号より転載
田畑修

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