エンジンへのこだわりもポルシェの流儀なのだ
ターボが搭載するV型6気筒エンジンの違いは、Sと比べてターボがシングルかツインだけではない。排気量を3Lではなく2.9Lとしているのは、シリンダーのボアを変えずにストロークを3mmショートにしているからだ。その目的は、高回転域特性の改善。こうしたこだわりに、流儀の真価を感じずにはいられない。
こだわりは見事に具現化され、アクセルを踏み続けると瞬間移動する勢いで加速。低いギアではタコメーターに視線を飛ばす余裕さえなく、6800rpmで作動するレブリミッターを介入させてしまうことさえある。サウンドは、モードをスポーツにすると変化し、クォーッという感じの吸気音に爆発圧力の大きさを知らしめるようにビートを刻む排気音が重なる。そして、高回転域ではコォーンという感じでサウンドがクリアになるだけに刺激の度合いがドラマチックに演出されているのだ。
サスペンションは、Sと同仕様になるがターボのタイヤは一気にワイドになる。なおかつ、試乗車はオプションの21インチを履いていたのでタイヤのグリップ性能が大幅に向上している。サスペンションとの相性がよく、モードをスポーツ+にしても最適化されたロールを伴う。そのため、Sと変わらずダイレクト感あるハンドリングを確かめつつボディの動きによりリアルな実感が加わる。
それだけに、Sを含めオプションで装備していたリア左右輪駆動力配分を連続可変制御するデフ機能(PTVプラス)の機能も確かめやすい。ステアリングをゆっくり操作しコーナーの途中でグイッと切り増すと、その通りにノーズがグイッとインを刺すのだ。
いかがだろうか、流儀に従ったマカン。成り立ちを気にすることが無意味なほどポルシェ純度が見事に昇華していた。