ポルシェの流儀がもたらすダイレクトなハンドリング
当然、もう1台の同行モデルとなるマカンSなら刺激の度合いは高くなる。ターボのエンジンとは仕様が異なる3LのV型6気筒を積んでシングルターボをホットインサイドし、最高出力は354psを発揮。アクセルを踏み続けることに緊張を強いられるほどではないにせよ、高速道路の本線合流では一瞬で100km/hを超えようとする。2速の守備範囲は90km/hプラスなので、デュアルクラッチ式7速PDKが3速にスパッとシフトアップされる電光石火の応答性が同時に確かめられる。
ただ、素のマカンが搭載するエンジンに対して102psが上乗せされている実感があるかといえばそうでもない。単独試乗をすれば間違いなく一段とパワフルだが、レブリミットに達する前にパワーの盛り上がり感が頭打ちになることを含め2Lの直列4気筒エンジンをヒイキしたくなる。
オプションで装備されていたアクティブエアサスペンションは、基本設定が素のマカンよりもさらに硬くモードがノーマルでもガシッと引き締まった乗り味となる。路面の継ぎ目を通過する際には、タイヤがドスッという感じの発するほど。
ところが、その衝撃を体に突き上げとして伝えないあたりは流儀のなせるワザだ。モードがスポーツ+なら、ステアリングの手応えが重くなり与える舵角や操舵速度に対して正確にノーズが向きを変える。素のマカンの軽快さは望めないが、Sのダイレクト感あるハンドリングはポルシェらしさとまさに直結する。