国内試乗

【比較試乗】「ルノー・ルーテシア vs プジョー 208 vs フォルクスワーゲン・ポロ」コンパクトハッチの新たなるベンチマークとなるのは? 欧州の実力派スモールを比較検証!【PR】

ルノー・ルーテシアが5代目へとフルモデルチェンジし、大幅な進化を遂げた。ここでは、クラストップレベルの完成度を誇るフォルクスワーゲン・ポロ、ライバルたちにはない魅力を備えたニューカマーのプジョー208と比較。最新の欧州Bセグメントカーの実力を徹底検討してみた。

5代目ルーテシアはかなりの力作である

日本では小粋なフレンチハッチを気取るルーテシアも、本場ヨーロッパでは累計1500万台を誇るBセグのスター選手。特に先代は、そのうち260万台をも売り上げたルノーの4番バッターだった。

左からRENAULT LUTECIA INTENS Tech Pack、PEUGEOT 208 Allure

そしてこの志を受け継いだ5代目ルーテシアが、日本でもようやく昨年末に導入となった。
ということで今回は、その実力を推し量るべく、2台の実力派を引っ張りだしての乗り比べとなった。むしろ日本ではルーテシアよりも安定した人気を誇るインポートBセグの顔、フォルクスワーゲン・ポロTSI Rラインと、ルーテシア以上にフランス車のイメージを牽引してきたプジョーの、208アリュールだ。この2台を相手に新型ルーテシアが、どれだけ魅力を放つのだろうか?

RENAULT LUTECIA INTENS Tech Pack/インテリアは乗員が触れる部分に高品質なソフト素材を採用するなど、従来モデルより全体の質感が向上している。「インテンス」と「インテンス テックパック」に標準のBoseサウンドシステム(9スピーカー)は、世界初の「Fresh Air Speaker」を搭載する。

さて新登場した5代目ルーテシア、いきなりだがこれはかなりの力作である。ルノーによれば先代がヨーロッパで人気を博した理由は主にデザインにあったというが、新型ルーテシアはクルマとしての素地がいい。もちろん“LOVE”を主題とするエモーショナルなデザインをBセグで実現したテイストは健在だ。

RENAULT LUTECIA INTENS Tech Pack

さらに兄貴分であるメガーヌと印象を揃えた巨大なLEDヘッドライトのアイメイクがパンチを効かせているのだが、何よりタイヤが転がり出した瞬間から感じられるそのシャキッとした乗り味に、新型「CMFーB」プラットフォームの出来映えの高さを感じ取ることができる。

RENAULT LUTECIA INTENS Tech Pack

さらにこの度6000kmほど距離を伸ばしてきたルーテシアは、その足さばきもきっちり馴染ませてきた。基本的なソリッドライドは保ったまま、フランス車らしいサスペンションの初期伸縮感を、わずかにだが確実に取り戻していたのである。まったり具体では後述するプジョー208の方が、依然としてフランス的ローカルテイストは強い。対してルーテシアは、ライトなルノー・スポールとでもいうべき、ちょっと引き締まったスポーティさが魅力だと言える。

RENAULT LUTECIA INTENS Tech Pack

積極的に走らせると予想以上に楽しい

こうしたシャシーに対するパワートレインのマッチングも絶妙だ。このセグメントは3気筒が主流だが、ルーテシアの1.3Lターボは4気筒を採用しており、まずその回転フィールが静かでスムーズ。小排気量ターボが苦手とする低速時の過給圧上昇も巧みに緩和され、変速時は湿式クラッチを使う7速EDCのミート感が、ギア比の小気味良さだけでなく上質感をももたらしてくれる。

RENAULT LUTECIA INTENS Tech Pack/パワーユニットは全グレードで、131ps/240Nmの1.3L直4ターボ+7速EDC。

だからルーテシアは、積極的に走らせると予想以上に楽しく、そしてちょっと驚くほど速い。リニアながらもクイック過ぎないハンドリングは、アクセルオフやブレーキングでフロント荷重を与えて行くほどに正確性を増し、グーッと力強く車体を曲げて行く。スポーツモードで跳ね上がったブースト、そのキック力はルノー・スポールモデルかと思うほど力強く、いつの間にか運転にのめり込む自分がいる。新型はACCが標準装備されたことも含めて、オンとオフのギャップがハッキリしているのもいい。

RENAULT LUTECIA INTENS Tech Pack

対してプジョー208は、はっきりと個性派だ。使いやすさよりも、カッコ良さ。実用性よりも、走りと個性! そう言い切れるなら断然、こちらを選ぶべき。そのラインナップに生活密着型のシトロエンを持つPSAグループだけに、プジョー(とDS)の割り切りは本物である。まずそのデザインが、内外装共にエッジが効いていてキレッキレ。牙を剥く子ライオンのルックスには、これだけでも惚れて買う価値がある。

PEUGEOT 208 Allure/運転席回りは新世代バージョンとして3次元表示となった3Di-Cockpitを採用。

1.2L直列3気筒エンジンも、実用エンジンである以上に愛らしい。街中では最大205Nmの実用トルクが小さなボディを快適に走らせるが、このエンジンには、思わず回したくなる楽しさがある。恥ずかしげもなく3気筒ターボのメカニカルサウンドをブーン! と響かせ(スポーツモードの疑似サウンドは余計だが)、最大でも105psしかないパワーを絞り出しながら走っていると、とても幸せな気持ちになれる。そして「どうしてMTがないんだ!」と思わず口走ってしまう。

PEUGEOT 208 Allure/アリュールのシートは長時間ドライブでも疲れにくいファブリックのコンフォートシートが標準となる。

208にネガティブがあるとすれば、それはiコクピットの独特なステアリングポジションだろう。これさえ慣れることができれば、208は素晴らしく趣味性の高いハッチバックである。
今回の3台を比べてみると、ポロの室内パッケージは本当に素晴らしい。やや直立気味に座るシートと相まって、前席の室内空間はすっきり広々としている。ホイールベースなどは後追いのルーテシアより15mmも短いのに、後席は頭上とひざ周りに十分なクリアランスがあり、シートの座り心地も一番いい。

PEUGEOT 208 Allure

ただ肝心な走りは、ちょっとばかり残念な印象だった。まず何よりダンパーの減衰力が高く、乗り心地が硬い。さらに電動パワステの制御が軽々しく、ゲームのような操作で手応えが得にくい。

PEUGEOT 208 Allure/試乗したのはガソリンモデルで、100ps/205Nmを発揮する1.2L直列3気筒ターボエンジンを搭載。136ps/260Nmを発揮するBEVも用意される。

3台中最も排気量が大きくパワフルな直列4気筒ターボは回せば気持ち良いのだが、低速時における7速DSGの制御と足まわりの硬さがリンクすると、ややギクシャク感も目立つ。同じポロでもGTIは可変ダンパーがしっとりとした乗り心地を実現し、DSG(6速の湿式だが)や電動パワステの制御も質感高くまとめているのだから、もう少しその乗り味に近づけて欲しい。飛ばすほどにフラットになる乗り心地と剛直なステアフィールを持つポロTSI Rラインだが、正直もう少し実用域の使い心地を考えるべきだろう。

VOLKSWAGEN POLO TSI R-Line/全長が4mを超え、かつてのゴルフⅢより大きくなった6代目は、Bセグメントでトップレベルの走りと実用性を備える。「TSI Rライン」は「TSIハイライン」と「GTI」の間に位置するグレードで、スポーティなキャラクターが特徴だ。外装には専用エアロパーツや「R-Line」のバッジ、専用アルミホイールなどを装備する。

とはいえこの完璧なまでのBセグパッケージングと、1.5TSIの力強さを味わったら、ポロを選ぶユーザーはやっぱり多いと思う。クルマ好きの目線で見れば、圧倒的に楽しいのはプジョー。

VOLKSWAGEN POLO TSI R-Line

対してルーテシアは、その両方を良いところ取りした上で、新しいルノー・テイストを表現できている。総合評価としてはトータルバランスに優れる新型ルーテシアに、今回の一等賞をあげたい。

VOLKSWAGEN POLO TSI R-Line

【Specification】RENAULT LUTECIA INTENS Tech Pack
■全長×全幅×全高=4075×1725×1470mm
■ホイールベース=2585mm
■車両重量=1200kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1333cc
■最高出力=131ps(96kW)/5000rpm
■最大トルク=240Nm(24.5kg-m)/1600rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション(F:R)=ストラット:トーションビーム
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=205/45R17:205/45R17
■車両本体価格(税込)=2,769,000円
お問い合わせ
ルノー・ジャポン 0120-676-365

【Specification】VOLKSWAGEN POLO TSI R-Line
■全長×全幅×全高=4075×1750×1450mm
■ホイールベース=2550mm
■車両重量=1210kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1497cc
■最高出力=150ps(110kW)/5000-6000rpm
■最大トルク=250Nm(25.5kg-m)/5000-6000rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション(F:R)=ストラット:4リンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=215/45R17:215/45R17
■車両本体価格(税込)=3,109,000円

お問い合わせ
フォルクスワーゲン・グループ・ジャパン 0120-993-199

【Specification】PEUGEOT 208 Allure
■全長×全幅×全高=4095×1745×1445mm
■ホイールベース=2540mm
■車両重量=1160kg
■エンジン種類/排気量=直3DOHC16V+ターボ/1199cc
■最高出力=100ps(74kW)/5500rpm
■最大トルク=205Nm(20.9kg-m)/1750rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:トーションビーム
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ(F:R)=195/55R16:195/55R16
■車両本体価格(税込)=2,599,000円

お問い合わせ
グループPSAジャパン 0120-840-240

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是非ご覧になって下さい。

フォト=郡 大二郎/D.Kori ルボラン2021年3月号より転載
山田弘樹

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