魅惑の自動車カタログ

5ドア・ハッチバックの存在感は珍無類!「R30スカイライン」後編【魅惑の自動車カタログ・レミニセンス】第22回

セダンでは飽き足りない人たちのために?

当連載「魅惑の自動車カタログ・レミニセンス」の第21回では六代目・日産スカイライン(R30型系)のカタログから主にセダンと2ドアのGT系の部分をご覧いただいた(下の「関連記事」参照のこと)が、今回はその後半、5ドア・ハッチバックとRSの部分をご紹介しよう。

【画像32枚】5ドアやRS、そして装備一覧など、R30の詳細をさらに見る!

R30では、二代目以降ラインナップされ続けてきたワゴンが設定されず、その代わりという意味も含めて用意されたのが5ドア・ハッチバックであった。フルモデルチェンジとなった1981年8月18日時点で5ドアも発売されていたが、この時点ではバンは存在していない。バンの追加は、RSの登場と同時の、同年10月22日のことであったが、以前にはワゴンに使用されていた「エステート」を名乗っているのも興味深い点である。RSについては前編で触れたので、ここでは5ドアについてすこし述べておこう。

5ドア・ハッチバックが設定されたのは無論この時が初めてのことで、その意図は今もよく分からないのだが、日産では「ユーティリティと走りの良さを高い次元で両立させた日本最上級5ドアハッチバック」「セダンでは飽き足りない、ワンボックスでは走りに満足しない。そんな人たちのために」と謳っていた。また、のちのスカイラインクロスオーバーの、ある意味先駆けとしても捉えることはできるだろう。

R381とのリアエンドの類似を語る小ネタ部分。「なるほどな」と思うか、「そんなバカな!」と思うか、あなたはどっち?

ハッチバックのスタイリングは、セダンのそれをベースにCピラー上部とリアデッキ後端を結ぶ形でDピラーをそのまま設けたようなものであった。バリエーションにはGTとTIの両方があり、GTでは丸テール、TIでは横三段のテールと、その作り分けもセダンやハードトップ同様である。もちろん後席のシートバックは可倒式で、乗車人数を3名あるいは2名と割り切れば、ラゲッジスペースを広く活用することも可能であった。

雑誌的な感覚の小ネタコラム集ページに注目!
ここでお見せしているカタログは、前編でもすでに述べた通り、RSは追加されたがそのターボ仕様はまだ登場していない時期のもの、具体的には1982年(昭和57年)9月発行と思われる1冊である。サイズは299×255mm(縦×横)、表紙を含めて全48ページ。

あらためてカタログを見ると「おや?」と思わされるのは、5ドアのみポール・ニューマンとのツーショット写真がないことだ(2ドアはターボのGT、4ドアはRSでの写真がある)。これは何か意図があってのことか、あるいは登場初期のカタログにはそうした写真も使われていたのが、RSの追加などで全体の構成を改めたために落とされたのか、どちらかは不明だ。

後半にはこの5ドア・ハッチバックとRSの紹介だけでなく、透視図や、技術的な部分のさらに深い紹介、カタログらしからぬ小ネタコラム集のページなどもあって、なかなか面白い。そのあたりは、画像をじっくりご覧いただくとよいだろう。

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