ロータス初のピュアエレクトリックSUVであるエレトレの国際試乗会がノルウェー・オスロで開催された。ロータス史上最も先進的なモデルであるというエレトレは、他国のプレミアム勢を脅かすほどの高い完成度を誇っていた!
ドイツプレミアム勢に引けを取らない完成度
ジーリー傘下となって劇的な変貌を遂げつつあるロータスのなかでも、今後の中核を担うモデルがBEVのSUVであるエレトレだ。全長5103mm、全幅2135mm、全高2231mmとサイズはBMW iXよりも大きい立派な体躯で、最上級モデルのエレトレRならば0→100km/h加速は3.95秒と超絶にハイパフォーマンス。インフォテインメントやオーディオなども非常に先進的で、従来のロータスのイメージであるスポーティをベースとしながらも、ドイツ勢が幅を効かせるプレミアムの世界に殴り込みをかけた感がある。
元のイギリス・ヘッセルは製品企画的な立ち位置となり、エンジニアリングはプレミアムカーに必要なサプライヤーが多いドイツ・ラウンハイムに拠点をおき、エンジニアはイギリス系が多いものの世界中から集結しているという。
エレトレおよびエレトレSは前後とも225kWのモーターを搭載した4WDでシステム合計出力は450kW、0→100km/h加速は4.5秒。エレトレRはフロントモーターこそ共通だが、リアモーターが450kWとなってシステム総合出力は675kWにも及ぶ。
今回はEV先進国であるノルウェーでの試乗会に参加したのだが、試乗発着場で、空力性能が高められたアグレッシブなエクステリアと、従来のロータスのイメージを覆す上質なインテリアをチェックしたのだが、想像以上にプレミアム感が強く、エリーゼなどプリミティブなスポーツカーの雰囲気は微塵もない。
エレトレSでさっそく走り始めると、高いボディ剛性やスムーズにストロークするサスペンション、ステアリング操作に対するリニアで自然な感触など、従来のロータスとはまったく違うモデルであることを実感する。一般的にBEVは低・中速域のトルクが図太い反面、高速域の伸びは頭打ち感が出てくるものだが、エレトレSは低・中速域では素直で扱いやすく、いざアクセルを踏み込めば活気が増していくような伸びがある。ドライバーが気持ち良く感じる加速感を造り込んでいるのだ。そのことをエンジニアに尋ねると「まさにそこにこだわった」と我が意を得たりという顔で答えてくれた。
プラットフォームは新開発のEPA(エレクトリック・プレミアム・アーキテクチャー)で、アルミニウムを始めとした高度な素材を組み合わせ軽量・高剛性に仕立てあげている。エレトレ、エレトレSはデュアルチャンバー式エアスプリングと電子制御ダンピング、エレトレRではさらにアクティブアンチロールコントロールとアクティブリアホイールステアリングが採用される。
エレトレSでワインディングロードを走らせると、いやな硬さは全くなく、ストロークを活かして接地性を確保していく特性だった。これは従来のロータスのライド&ハンドリングと同様のもので、スポーティだが乗り心地もいい。エレトレRで高速スラロームも試したが、コーナーではより安定した姿勢を保ちながらクイックなハンドリングを披露する。エレトレRの全開加速は強烈なうえに、リアモーターが2段ギアになっているおかげで、高速域の伸び感がさらに上乗せされていた。
従来のロータスとはまったくかけ離れたモデルだが、ハンドリングや加速感などにロータスのDNAを感じさせるエレトレ。名だたるプレミアムブランドを震え上げさせる実力があるのは確かだ。