国内試乗

【国内試乗】追加されたPHEV仕様は好バランスの走りが魅力!「トヨタ・クラウン スポーツRS」

新種のクラウンスポーツにプラグインHVが追加された。すでにハイブリッドの発表時からその存在が明らかにされていたモデルだが、その出来映えは果たして?

ハイブリッドとは異なる走りのキャラクター

走りにまつわるスペックに限定すると、PHEVがハイブリッドと異なる部分は以下の通り。まず、2.5Lガソリン+2モーターで構成されるパワートレインの総出力はPHEVがハイブリッドを72ps上回る。エンジン単体こそ前者のアウトプットは後者より控え目となるが、PHEVのフロント用モーターはパワー、トルクともに大幅に強化されている(リア用モーターは同スペック)。

サイドウインドーのモールがブラックになり(ハイブリッドはシルバー)、ホイールもマットブラックになるなど(同グロスブラック)、PHEVの外観はハイブリッドよりスポーティな仕立てに。

また、ボディはPHEV化にともないフロアトンネルなどを強化して剛性を最適化。車重はハイブリッド比で220kgも増えたが、足回りはダンパーの減衰力を4輪独立で制御するAVS。あるいは6ポッドキャリパーを奢った20インチのフロントブレーキで重量増に対応している。

2.5Lガソリンエンジンは、ハイブリッド比でパワー&トルクが9ps&3Nm控えめとなるが、フロントモーターは62ps&68Nm強化。

なお、EV走行時の航続可能距離はWLTCモードで90km。日常使い限定なら、BEV気分を満喫できるアシの長さが確保される。

フロントブレーキは、20インチディスクと対向6ポッドキャリパーの組み合わせ。キャリパーのカラーは前後ともレッドに。

となれば、気になるのは実際の走りだが感覚面では少し意外なほどハイブリッドとは異なる仕上がりだった。まず、72ps増の効能は速さより上質なBEV感覚の演出に貢献している模様。踏めば確かに速さも実感できるのだが、日常域ではエンジンが黒子に徹するのでPHEVは静かさと加速の滑らかさが際立つ。この点、走る場面によってはクラウンらしからぬ部分もあるハイブリッドに対し、こちらの方がより“それらしい”。

センターコンソールを含む助手席側や、ステアリングのステッチなどをレッド仕立てとしてスポーティな風情を演出するインテリア。

そんな印象は、足回りでも変わらない。硬めでもスッキリとしたライド感で快適性を担保するハイブリッドに対し、PHEVは路面を踏みしめるような安定感や車重が裏打ちする重厚感が印象的。どちらもスポーツを名乗るに相応しい操縦性を実現していることは間違いないが、「新種のクラウン」としてどちらを魅力的に感じるかは乗り手によって好みが分かれるところかもしれない。

荷室容量は、全モデル共通の397L。

【Specification】トヨタ・クラウン スポーツRS
■車両本体価格(税込)=7,650,000円
■全長×全幅×全高=4720×1880×1570mm
■ホイールベース=2770mm
■トレッド=前:1605、後:1615mm
■車両重量=2030mm
■エンジン型式/種類=A25A-FXS /直4DOHC16V
■内径×行程=87.5×103.4mm
■総排気量=2487cc
■最高出力=177ps(130kW)/6000rpm
■最大トルク=219Nm(22.3kg-m)/3600rpm
■モーター形式/種類=5NM:4NM /交流同期電動機
■モーター最高出力=前:182ps(134kW)/—、後:53ps(40kW)/—
■モーター最大トルク=前:270Nm(27.5kg-m)/—、後:121Nm(12.3kg-m)/—
■燃料タンク容量=55L(レギュラー)
■燃費(WLTC)=20.3km/L
■トランスミッション形式=電気式無段変速機
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:235/45R21
問い合わせ先=トヨタ自動車 TEL0800-700-7700

フォト=小林俊樹 ル・ボラン2024年5月号より転載

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