5年後に販売規模10倍を目指すヒョンデ 約13年ぶりに日本市場に再上陸した韓国ヒョンデ、また中国メーカーとして初めて日本に本格参入したBYD。 どちらのブランドも当初は「いったいどんなクルマなんだ?」とか「品質や補償はどうなのか?」といった懐疑的な見方をするユーザーが少なくなかった。ところが、蓋をあけてみるとヒョンデもBYDも日本市場に徐々に馴染んできている印象がある。販売も堅調だ。 例えば、ヒョンデは11月上旬、フラッグシップの「IONIQ 5」の進化版を発売した。バッテリー容量を84kWhとして、満充電での航続距離を703kmまで伸ばした。その発表の場で中長期の事業戦略を公表したが、大胆な内容に筆者を含めた報道陣は少し驚いた。「あと5年で販売規模を10倍達成を目指す」というのだから。 現在、ヒョンデは日本で年間約500台を販売しており、内訳はIONIQ 5と「KONA」が半分ずつ。IONIQ 5の改良を進め、またKONAには日本専用仕様としてアウトドアイメージを強調する「KONA Mauna Loa」を限定50台発売する。さらに、販売規模10倍の最大要因となるであろう小型EV「INSTER」を来春に日本導入することも明らかになった。 こうした販売拡大路線を敷く中、従来通り「オンライン販売」専業ブランドという戦略を維持するという。ICONIQ 5はグローバルで累計34万台の人気EVではあるが、日本ではあえてハードルの高いオンライン販売に注力し続ける。 日本市場参入以来、ヒョンデは一貫して「世界で最もユーザーの目が厳しい日本市場で成功することが、グローバル戦略で大きな意味を持つ」と主張している。 こうした主張は、BYDも同じだ。グローバルで見れば、2024年2月時点でEVとPHEV合わせて累計販売台数650万台を誇る電動車メーカーのトップクラスランナー。 主力の中国市場では近年、エンジンを発電機として使うレンジエクステンダーが売れている。BYDも戦略的な価格設定で市場シェアを獲得しているところだ。日本市場でもPHEVやレンジエクステンダーの導入余地はあるはずだが、当面はEV専業で勝負するという。 世界で最もユーザーに、BYDのEVを認知してもらうことがグローバル市場におけるBYD商品の信頼につながるという考え方だ。BYDは2025年末までに国内100店舗展開を目指す。 ヒョンデとBYD、ともに日本市場に対して自ら厳しい目標を立てて挑む。果たしてユーザーはこれからどう反応するのか、その動向を追っていきたい。 全文を読む フォト=桃田健史 K.Momota