BMW

荷物も積んでどこまでも駆けぬける! ハイパフォーマンス・ツーリング降臨!「BMW M5ツーリング」

公道とサーキットでの傑出したダイナミクスと、日常の仕事、レジャー活動、遠出などさまざまな用途に使える荷室スペースを兼ね備えたM5ツーリングが復活した。まずは日本初となる正規導入を前に、そのパフォーマンスの第一報をお届けしよう。

2代目と4代目以来のM5ツーリングが復活

スポーツサルーンというカテゴリーで大きな存在感を示し続けてきたM5。その登場から間もなく40年の時が経つ。
現在のBMW M社の前身となるM GmbHが手掛けた初代は、E28系5シリーズをベースに、同社にとって初のフルオリジナルモデルであるM1用に開発したM88型3.5L直6をアレンジして搭載。それに合わせるかたちでミッションや足回りも最適化するなど、市販車ベースのチューニングコンプリートという現在のM銘柄のあり方を切り拓いた。

彫刻的なフロントエンドは、大型のエアインテークと新設計のBMW Mキドニーグリルによって形作られており、BMWアイコニックグロー(輪郭照明)が標準装備される。

その後、E34系〜G30系と、時々の5シリーズをベースに開発されてきたM5は、この新型で7代目となる。型式は前型のF90型との繋がりを匂わせるG90型となった。そして大きなトピックとなるのが、2代目と4代目に設定されていたツーリングの復活だ。こちらの型式はG99型となり、初めて日本でも正規導入される。

ドライバーオリエンテッドなコクピットは基本的にM5セダンと共通。

これに並ぶトピックといえば、パワートレインのPHEV化だ。搭載するのはS68型4.4L・V8ツインスクロール・ツインターボ……といえば、お気づきの方も多いだろう。新型M5のパワートレインは、M銘柄として第二のフルオリジナルモデルとなったXMのそれを受け継いでいる。が、調律はもちろんM5専用となっており、システム総合出力は727psと、XMの最上位グレードであるレーベルの748psには僅かに及んでいない。一方で総合トルクは1000Nmとピタリ同じだ。

Mモデル専用のMマルチファンクションシートなどM専用装備品を随所に採用することにより、室内においてもMモデルであることを主張する。

エンジンと8速ATの間に挟み込まれるモーターの出力は197ps/280Nmだが、BMWが独自に開発、特許を取得したプリギアリング機構によって一時的に450Nmまでトルクが高められる。このモーターと18.6kWhの駆動用バッテリーの組み合わせによるBEV走行可能距離はWLTCモードで約70kmに及ぶという。そして最高速は140km/hと、日本を含めた世界の高速道路の法定速度はすべてカバーしている。

M5の0→100km/h加速がセダンで3.5秒、ツーリングで3.6秒だ。最高速はMパフォーマンスパッケージ装着時で共に305km/hと大台を突破している。が、これは先代のM5コンペティションに比べると最高速は同じながら0→100km/h加速は僅かながら劣ることとなっている。理由はお察しの通り、電動化により重量が足枷となったがゆえだ。2.7トン越のXMほどではないが、2.4トン級の車重は先代比でざっと500kgほど重い。この性能領域のコンマ1秒に一喜一憂する向きは少ないだろうが、何より気になるのはその重さが運動性能の側にどのような影響を及ぼしいているかという点だ。

M xDrive4WDシステムは、リアアクスルの電子制御式アクティブMディファレンシャルと同様に、Mハイブリッド駆動システムのパフォーマンス特性に合わせてチューンされる。デフォルトの4WD設定以外にも、FRモードを選択することも可能だ。

このマスを巧く御するべく、後輪左右の差動を電子制御でコントロールするMアクティブデファレンシャルの採用に加え、最大1.5度の後輪操舵システムを採用するなど、新しいM5は後軸周りの旋回アシスト的要素がさらに強化された。併せて、ドライブモードをMダイナミックモードに設定すれば、駆動力配分が後輪側へと振られるだけでなく前輪側の駆動アシストも旋回重視の設定となるほか、100%後輪駆動の2WDモードも用意されるなど、先代の機能をきっちりリファインしながら継承している。

剛と柔の両面によるBMWらしい繊細も魅力

M5の全幅は1970mm。ベースモデルに対してトレッドの拡幅も含めて70mmの幅広となる。その佇まいは明らかに高圧的だが、只ならなさはセダンよりもツーリングの側でより顕著だ。爆速ワゴンのカテゴリーでは唯我独尊の存在感を示してきたアウディRS6とがっぷり四つのライバルとなることは想像に難くない。

ラゲッジ容量は500L〜最大1630Lまで拡大。標準装備のコンフォートアクセスと自動テールゲート操作により、荷物の積み下ろしがスムーズに行なえる。

瞬間的には4L越えのトルクを発することもあってか、M5のモーター走行は高速利用も含めて日常を充分に賄ってくれる力強さが感じられる。そこからM5らしい加速を得たい時はドライブモードを切り替えるもありだし、アクセルを大きく踏み込むだけでもいい。一寸の待ちから無尽蔵に湧き上がるかのごときパワーが、その隙間も埋めんがばかりに車体を蹴り飛ばす。変速時も回転落ちによる加速のドロップは感じない。どころか、変速のたびに力感がぐいぐいと増すような感覚のまま、アウトバーンの無制限区間では一気に290km/h付近まで達してしまった。電気で押して内燃機で伸ばす、お互いの長所を活かした加速は、今までの常識とはその質がちょっと異なる感がある。

この猛烈な火力を受け止めるシャシーは、様々な電子デバイスの連携が予想以上に自然に仕上がっていた。加減速や操舵による車体の動きも定常的で姿勢変化も予想しやすい。ブレーキやステアリンクの操作によるリアクションも強面な印象の割には緻密で、じんわりと曲がり停める操作も苦にならない。このリニアリティが規格外のパフォーマンスを操るに安心感として作用している。

4.4L・V8エンジンと電気モーターを組み合わせたMハイブリッドドライブシステムを搭載。最大で61〜67 kmの電気のみでの走行も可能となる。

結果的に、新しいM5はファーストコンタクトから思い切りワインディングを走り込める、それほどフレンドリーな一面をみせてくれた。さすがに軽快とまでは言わないが、剛と柔の両面によって織りなされる旋回フィーリングからは、圧倒的な新しさばかりでなく、連綿と連なるBMWらしい繊細さがみてとれたのも確かだ。

駆けぬける歓びのヒストリーを探る。歴代M5に一気乗り!

新型M5の試乗会場には、過去6代に渡る歴々のM5も用意されていた。しかも初代〜4代目は短時間の試乗もOKだという。
この4代に共通していたのは、シャシーセッティングの軽やかさだ。E39系の3代目やE60系の4代目は現役当時、もっとガツガツした路面とのコンタクト感があったように記憶していたが、バネ下のマスやタイヤサイズが大きく異なる現代のスポーツモデルに慣れた身には、その動きのしなやかさに驚かされる。E34系やE28系に至ってはディメンジョンや全体重量も根本的に違うこともあり、その感触はライトウェイトの趣だ。
この間、直6からV8、そしてV10へと搭載エンジンの形式も推移してきたわけだが、その緻密な回転フィールと官能的なサウンドは共通した美点だ。M5はもはやその繊細さにクラシック的な価値が充分見いだせる、そんな領域に達していると思った。

1985〜 E28 M5

初代M5は1985年にM635 CSiと同じ排気量3.5Lの高性能直列6気筒エンジンが搭載され、最高出力286psを達成。BMW M社によって手作業で製造されていた。

1988〜 E34 M5/M5 TOURING

先代モデルよりボディサイズが大型化され、排気量3.8Lの直列6 気筒エンジンを搭載したM5は、最高出力340psを達成。初のツーリングモデルもラインナップ。

1998〜 E39 M5

M5がV8エンジンを搭載した初めてのモデル。排気量は4941ccで6速MTと組み合わされ最高出力400psを発揮。0→100km/h加速は5.3秒をマークした。

2004〜 E60 M5

2005年初頭にデビューしたBMW M5は、F1技術をフィードバックした5LのV10エンジンと7速SMGを搭載。最高出力507psという当時では桁外れのパワーを発揮。

【SPECIFICATION】BMW M5 TOURING
■全長×全幅×全高=5096×1970×1516mm
■ホイールベース=3006mm
■トレッド=前:1684、後:1660mm
■車両重量=2475kg
■エンジン形式/種類=V8DOHC32V+ツインターボ
■内径×行程=89.0×88.3mm
■総排気量=4395cc
■最高出力=585ps(430kW)/5600-6500rpm
■最大トルク=750Nm(76.5kg-m)/4800-5400rpm
■モーター形式/種類=─/交流同期電動機
■モーター最高出力=197ps(145kW)/6000rpm
■モーター最大トルク=280Nm(28.5kg-m)/1000-5000rpm
■バッテリー容量=18.6kWh
■燃料タンク容量=60L(プレミアム)
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前285/40ZR20、後:295/35R21
問い合わせ先=BMWジャパン TEL0120-269-437

 

フォト=BMWジャパン ルボラン2025年1月号より転載

AUTHOR

愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?

複数社を比較して、最高値で売却しよう!

車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。

手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!

一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業不特定多数の業者からの大量電話をなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!

【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>

注目の記事
注目の記事

RANKING