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長年経っても魅力が色褪せないロングセラーモデル! ボルボのフラッグシップSUVがビッグマイナーチェンジ「ボルボXC90」

2016年に2代目が国内に導入されてから8年。ボルボのフラッグシップSUVであるXC90がビッグマイナーチェンジを受けた。見どころは内外装の刷新ではあるが、ボルボならではの安全性能に加え、その走りも大幅に進化していたのだ。

内外装を刷新し大幅にリフレッシュ

ボルボのフラッグシップSUVであるXC90がビッグマイナーチェンジを受けた。これを聞くとボルボってニューモデルは全てBEVにすると宣言していなかったっけ? と思う方もいるかもしれないが、今年9月にボルボは、2030年にすべての新車をBEVにすることを撤回。完全なEVメーカーになるという将来のコミットメントは維持しつつも、2030年までの世界販売の90〜100%をBEV、そしてPHEVにするという新たな計画を発表した。これは現行モデルにも関連しており、もともとXC90はBEVのEX90に受け継がれるとされていたが、こちらも方向転換したことになる。

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ヘッドライトはEX90と似たシンプルな造形となり、グリルもエンブレムをモチーフとした斜めのスリットに。

そもそも2代目となるXC90は、当時のボルボ最新アーキテクチャである「SPA1プラットフォーム」を採用した最初のモデルであるとともに、トールハンマーデザインのヘッドライトを搭載するなど、新世代のデザインを採用したことでも話題になったことは記憶に新しい。セールス的にも好調で、2014年の本国デビューから延べグローバルで累計100万台近くが販売されているという。

リアもコンビネーションランプの外側がブラックアウトされ、ワイド感が強調されている。

そんな新型XC90のハイライトは内外装の刷新だ。フロントではヘッドライトのトールハンマーデザインがEX90やEX30にも似たシンプルな造形に。そしてグリルもボルボのエンブレムをモチーフとした斜めのスリットとされており、ひと目見ても真新しさがわかる。また、リアではコンビネーションランプの外側がブラックアウトされたことで、ワイド感を強調したデザインとされているのもトピックとなっている。

街中やワインディング、高速道路でも終始快適な乗り味を披露してくれたXC90。並みいるライバルと比較してもその存在感は健在だ。

一方で大幅にアップデートされたのがコクピット周りのインフォテイメントシステムで、ダッシュボードセンターのディスプレイは従来の9インチから11.2インチに拡大され、グーグルのソフトウェアもOTAによりアップデートすることが可能。シートは、PHEVモデルのT8グレードにはナッパレザーであるのに対し、B5には100%リサイクル素材のNordico(ノルディコ)を採用しているのがボルボらしいところだ。オーディオにはBowers&Wilkinsのサウンドシステムが搭載されている。

PHEVモデルのT8では、オプションのエアサスが搭載されていたこともあり、まるで高級サルーンのような乗り心地を味わうことができた。

パワートレインに関しては従来モデルと同様で、プラグインハイブリッド版のT8は最高出力310ps、最大トルク400Nmの2L直4ターボに同107kW&309Nmのモーターが組み合わされ、マイルドハイブリッド版のB5には最高出力260ps、最大トルク360Nmの2L直4ターボに10kW&40Nmのモーターとなる。

コクピット周りでは、インフォテイメントシステムが一新。

快適性を選ぶならエアサス、SUVらしさならメカサス

今回はデンマークのコペンハーゲン空港近くのホテルからボルボの母国であるスウェーデンのマルメ近隣のルートを、まずはトップグレードとなるプラグインハイブリッドのT8で試乗したが、走り出しから好印象だったのは乗り心地の良さだ。欧州特有の石畳の路面から大小のうねりや凹凸のある郊外の路面、そして高速道路まで終始快適な乗り味でストレスなく移動することができた。

ダッシュセンターのディスプレイは9インチから11.2インチに拡大され、GoogleのソフトウェアもOTAによりアップデートすることが可能となった。

これはオプションで装着されていたエアサスペンションの効果によるものが大きいだろうが、以前国内で試乗したXC90よりも制御が進化しているのか、様々な路面に対してもしなやかに追従してくれる感触で、これなら長距離ドライブも苦にならないと思えるほど。エンジニアに確認したところ、エアサスの制御も従来モデルより進化しているとのことだった。

またスウェーデンのマルメ周辺には、タイトなコーナーが続くワインディングロードもあり、ここでハンドリング性能を試す機会もあったが、ここでもXC90はそのボディの大きさを感じさせることもなく、スムーズに思った通りのラインをトレースすることができる。もちろん大柄なSUVゆえスポーティといえるほどではないものの、この卓越した安心感はXC90の美点のひとつといえよう。

オーディオにはBowers & Wilkinsのサウンドシステムが搭載されている。

このT8には効率を重視した「ハイブリッド」、スポーツ走行向けの「パワー」、EVのみの「ピュア」、悪路向けの「オフロード」、そして雪道で活躍する「AWD」の走行モードが備わっていたが、「パワー」モードでは、エンジンとモーターによるパワフルな加速性能を披露してくれたことも付け加えておきたい。

シートは、ナッパレザーのほか、100%リサイクル素材のNordico(ノルディコ)も採用。

その後乗り換えたマイルドハイブリッドのB5グレードは、いい意味でSUVらしさが感じられるモデルだ。通常のコイルサスペンションは、乗り心地こそエアサスのT8よりは劣るものの、ステアリングから伝わるフィーリングも気持ちよく、ドライビングそのものが楽しくなってくる印象。それゆえワインディングでも、エアサスを搭載したT8よりも積極的にコーナーを攻めたい気分になる。

そう考えてみると、今回マイナーチェンジを受けたXC90は、より快適性を求めたいならエアサスペンション搭載モデル、SUVらしいやや武骨さが好みならコイルサスペンション版を選ぶのが良いかと思う。

それにしても驚いたのは、本国デビューから10年余りたっているのに、XC90は最新のSUVと比べてもその魅力を失っていないというところだ。ボルボがこのモデルを大事に進化させていきたいと思う信念が、今回の試乗で正直垣間見られたような気がした。日本導入は2025年第一四半期を予定しているとのことである。

パワートレインはPHEVとMHEVの2種が用意。

エンジンは2L直4ターボで、PHEVのT8は最高出力310ps、最大トルク400Nmを発生し、107kW&309Nmのモーターが組み合わされ、モーターのみの航続距離は70kmとなる

一方MHEVのB5は260ps&360Nmと10kW&40Nmだ。

ラゲッジスペースは、7人乗りの状態で316L、3列目を倒せば995Lまで拡大し、2列目も格納すると最大1959Lの容量が確保される。

エアサス搭載モデルには車高調整機構も備わる。

試乗車にはT8が275/35サイズの22インチを装着。

5には275/40サイズの21インチが装着。

INTERVIEW

Thomas Broberg(トーマス・ブロバーグ)/ボルボの安全性能は進化し続けています

ボルボでは、現在も自動車事故における現場調査を行なっています。その理由は事故における様々なデータを集めることにあります。例えば衝突事故は、ダミーを用いたテストでもある程度想定できますが、それはあくまでも実験レベルですので、ボルボではあらゆる年齢や体形の方のデータを採集し、それを活かしています。同じ身長でも痩せている人と太っている人では、事故が発生した際の衝撃や損傷具合は異なりますからね。
また、日本ではあまり馴染みがないかと思いますが、スウェーデンではヘラジカとの衝突により’23年には9人の死亡事故が発生しています。ヘラジカは、体重が400 〜 500kgあり、衝突した際に細い足がバンパーにぶつかり、その勢いで胴体がフロントガラスを突き破って車内に侵入してきてしまうのです。この対策として、ピラーを含め、車体の剛性を高めています。こうしてボルボの安全性能は、日々進化しているのです。

【SPECIFICATION】ボルボ・XC90 B5 AWD
■全長×全幅×全高=4953×1923×1767mm
■ホイールベース=2984mm
■トレッド=前:1665、後:1667mm
■車両重量=2080kg
■エンジン型式/種類=─/直4DOHC16V+ターボ
■総排気量=1969cc
■エンジン最高出力=250ps(184kW)/5400-5700rpm
■エンジン最大トルク=360Nm(36.7kg-m)/2000-4500rpm
■モーター最高出力=10kW
■モーター最大トルク=40Nm
■燃料タンク容量=71L(プレミアム)
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:275/40R21

【SPECIFICATION】ボルボXC90 T8 AWD
■全長×全幅×全高=4953×1923×1767mm
■ホイールベース=2984mm
■トレッド=前:1665、後:1667mm
■車両重量=2297kg
■エンジン型式/種類=─/直4DOHC16V+ターボ+モーター
■総排気量=1969cc
■エンジン最高出力=310ps(228kW)/6000rpm
■エンジン最大トルク=400Nm(40.1kg-m)/3000-4800rpm
■モーター最高出力=107kW
■モーター最大トルク=309Nm
■燃料タンク容量=71L(プレミアム)
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/エア、後:マルチリンク/エア
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:275/35R22

問い合わせ先=ボルボ・カー・ジャパン TEL0120-55-8500

 

フォト=ボルボ・カー・ジャパン ル・ボラン2025年1月号より転載
相澤隆之

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