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時間とともに進化していくモデル
ボルボの新型モデルES90のデビューが近づいている(2025年3月5日)が、その詳細の一端が明らかにされた。同車は、ソフトウェア・デファインド・カー(Software-Defined Car=納車後にもソフトウェアがアップデートされ、性能を向上させていく自動車)に対するボルボのアプローチをさらに具現化したものになるという。
つまりES90は、コアコンピューティング技術、常時接続、データの活用などにより、継続的に進化し、改善していくように設計されており、そのため、毎日安全で快適な移動を楽しめるようにつくられたクルマなのだとボルボでは説明している。同車はボルボとして初めてデュアルNVIDIA DRIVE AGX Orinコンフィギュレーションを搭載したモデルで、コアコンピューティングの能力では、同社がこれまでに開発した中で最もパワフルなクルマになるという。
DRIVE AGX Orinは、NVIDIAによるインテリジェントカー用コアコンピュータであり、車内の重要なシステムやプロセスを超高速で統合、制御。毎秒約508兆回の演算(TOPS)という高レベルの演算能力を持ち、AIベースの最先端のアクティブセーフティ機能、車両センサー、効率的なバッテリーマネージメントなどの機能を管理するとのこと。Orinを搭載したメイン・コアコンピュータは、その前身であるDRIVE AGX Xavier搭載モデルと比較して、AIコンピューティング性能を8倍向上させており、ディープラーニングモデルとニューラルネットワークのサイズを4,000万パラメータから2億パラメータへと徐々に拡大することを可能にしているという。
時間とともに進化する、真のソフトウェア・デファインド・カー
ES90はボルボのSPA2アーキテクチャーをベースに開発されているが、同時に、EX90に続くボルボのスーパーセット・テックスタックを採用した2車種目となる。スーパーセット・テックスタックとは、今後発売される同社の全EVの基盤となるもので、統合型のハードウェアとソフトウェアのモジュールとシステムで構成されている。
これは、ソフトウェアの開発と使用方法における根本的な変革もたらし、ライフサイクル全体を通じて、クルマの安全性、テクノロジー、総合的なパフォーマンスを向上させるものだという。スーパーセット~によって、こうした改善をより効率的におこなうことができ、同時にそれは無線アップデート(OTA)によって、ベースを同じくする全車に迅速に展開することができるとのことだ。
こうしたアップデートには、新しいコネクティビティ機能、安全性、特定の運転状況におけるバッテリー航続距離のような、クルマの性能を向上させる機能強化が期待できるという。OTAによる継続的改善は、今やボルボ車の標準装備である。
また、スーパーセット~が今後発売されるボルボ全EVの基盤になるということは、ボルボがラインナップするEVの性能を同時に向上させることができる、ということでもあるという。つまり、ES90のユーザーはEX90のソフトウェアアップグレードの恩恵を受け、その逆も真、という訳である。
セーフ・スペース・テクノロジー
ES90は周囲の状況をきわめて正確に把握する高度なセンサー群を搭載、LiDAR 1個、レーダー5個、カメラ8個、超音波センサー12個に加え、車内には高度にドライバーの状況を把握し理解するシステムも搭載されるという。これらの安全システムは、暗闇でも障害物を検知し、衝突回避などのプロアクティブな安全機能を作動させることで、安全を確保――これをボルボはセーフ・スペース・テクノロジーと呼ぶという。
同社がクルマに搭載しているものは全て、クルマの中や周囲にいる全ての人々にとって安全な空間を作り出すためのものであり、テクノロジーはその実現をサポートしているとのことだ。セーフ・スペース・テクノロジーは、道路上の事故や危険を回避し、毎日の移動をより安全で快適なものにするために設計されていると、ボルボは説明している。
既存のユーザーへの導入予定
デュアルNVIDIA DRIVE AGX OrinコンフィギュレーションはEX90にも換装され、DRIVE AGX OrinとDRIVE AGX Xavierで構成される現行搭載バージョンからアップグレードされるという。これが、スーパーセット~によって新技術導入の際にはクルマのハードウェアをアップグレードできることを示す、一例なのだそうだ。既存ユーザーのEX90は無償でアップグレードされるとのことである。