
4月4日~6日、「フェラーリ・チャレンジ・トロフェオ・ピレリ・ジャパン2025」が開幕した。3年目となるフェラーリ・チャレンジ・ジャパン・シリーズは、これまでの「488 チャレンジ Evo」から、最新モデルとなる「296チャレンジ」にマシンをスイッチ。今回はF1日本グランプリのサポートレースとして開催され、29台ものマシンがエントリーした。
レース1は盤石の走りで小山美姫がポール・トゥ・ウィン!
このフェラーリ・チャレンジ・シリーズは、フェラーリが顧客やオーナーのために開催するワンメイクレースシリーズで、ドライバーは年齢や経験、ラップタイムをもとに、トロフェオ・ピレリと同AM(アマチュア)、コッパ・シェルと同AMクラス分けされている。これに今年で最後となる488 チャレンジ Evoを使用するトロフェオ・ピレリ 488クラスの5カテゴリーがあるが、今回は296チャレンジのみの4カテゴリーでの実施となった。
【画像24枚】「フェラーリ・チャレンジ・トロフェオ・ピレリ・ジャパン2025」開幕戦のフォトギャラリーを見る
4月4日の金曜日に行われた予選では、土曜日のレース1、日曜日のレース2のグリッドがトップタイムとセカンドタイムにより決定される。つまり、予選中に2回アタックを行う必要があるわけだ。ここで総合のポールポジションを獲得したのはトロフェオ・ピレリクラスにスポット参戦した#88小山美姫。同AMクラスは#55 磯崎元彦、コッパ・シェルは#107 Phil KIM、同AMクラスは#127齊藤龍太郎が各クラスのトップタイムをマークしている。
迎えた土曜日のレース1は、30分+1周のスケジュールで、晴天のこの時期ならではの桜が満開のなかドライコンディションでスタートした。ローリングでのスタートでは、ポールポジションの#88小山美姫が順当な走りだしでトップの座をキープするが、2番手の#3猪爪杏奈はタイミングを逸しポジションを落としてしまう。ここで3番手スタートの#16植松忠雄はトップ#88小山美姫の後方にピッタリとつけるが、なかなかオーバーテイクには至らない。
一方スタートで出遅れた#3猪爪杏奈は、持ち前のスピードで4番まで順位を挽回することに成功したが、中盤になったタイミングで#138 大塚真弘がヘアピンでクラッシュ。これで残り13分となったところでセーフティカー(SC)が導入された。その後レースは、残り5分30秒あまりのタイミングで再開。ここで#4 今田信宏と#3猪爪杏奈のテール・トゥ・ノーズ、時にはバンパー・トゥ・バンパーのバトルが繰り広げられ、観衆も大いに盛り上がる。
#3猪爪杏奈は、最終ラップの西ストレートで#4 今田信宏とマシンを接触しながら3番手に浮上しチェッカーを受けたが、これがスチュアードから危険行為とみなされ5秒のペナルティが加算、結局4位でレース1を終えることとなった。また、スタートから盤石の走りを見せていた#88小山美姫は、2位の#16植松忠雄に7秒以上の差をつけてフィニッシュ。女性ドライバー初のフェラーリチャレンジウィナーとなった。トロフェオ・ピレリAMでは#51 矢倉完治、コッパ・シェルは#107 Phil KIM、コッパ・シェルAMは#181芝田典和がそれぞれクラス優勝を獲得した。
総合優勝を獲得した#88小山美姫は「今回のレースはSCが出ることを想定して、スタートから序盤ではタイヤを温存しつつ後続との距離をコントロールしていました。それが功を奏して終盤ではペースアップし、ファステストラップも出すことができました。フェラーリ296チャレンジのレースは初めてでしたが、とてもコントロールしやすいマシンという印象ですね。とにかく優勝できたのは嬉しいです」とコメントしていた。
ウェットコンディションとなったレース2も小山美姫が制す
明けて日曜日、スタート前には雨が小康状態になったものの、前日からの降雨により路面は完全にウェットコンディションとなったレース2は、全車がウェットタイヤを装着しSCによるスタート進行となった。レース1と同じく30周+1周というスケジュールの中、SCが解除となってスタートが切られたのは残り17分30秒、ここからレースの火ぶたが切って落とされた。
ポールポジションからのスタートとなった#88小山美姫は、ここでも順当にスタートを決め、序盤から2番手の#3猪爪杏奈に2秒以上の差をつける。その後、#4 今田信宏がトラブルでスローダウンしたこともあり、セクター2ではイエローフラッグが提示された。今回、全ドライバーが296チャレンジで初のウェットレースであったが、終盤に#139Alex FOXがヘアピンでスピンをした以外は、大きなクラッシュもなくレースが進行。これはもちろん各ドライバーのテクニックもあるだろうが、296チャレンジのウェットでの扱いやすさと、ABSやトラクションコントロールをはじめとした制御が巧みなことの表れであろう。
終盤には2番手の#3猪爪杏奈がトップの#88小山美姫との差を詰めてきたが、ここでも#88小山美姫は冷静な走りを見せ、見事2戦連続のポール・トゥ・ウィンを飾った。開幕2戦を完勝で追えた#88小山美姫は「ウェットコンディションはちょっと緊張しましたが、ピレリのウェットタイヤはグリップも高かったですね。レース1に続いてレース2も後続との距離をうまくコントロールできたと思います。とにかく優勝できたのはよかったですね」と語った。
今シーズン5戦で争われる「フェラーリ・チャレンジ・トロフェオ・ピレリ・ジャパン2025」は、次戦オートポリスで5月23日~25日に開催される。