
1969年に発表された小型シティカーのEVコンセプト
ゼネラルモーターズ(GM)は2024年のEV販売台数で前年比50%アップの約11万4000台を記録し、米国でテスラに次ぐEVメーカーへと躍進。GM初の量産EVは1996年デビューの「EV1」だが、それよりはるか前、1969年に登場した小さなEVコンセプトカー「XP 512E」をご存知だろうか。
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全長約2.2メートル、車重137キロ、最高速は48キロ
1969年5月、GMの未来を示す車両展示会「プログレス・オブ・パワー」においてお披露目された「512E」(正式名称:512 Electric Experimental=電動実験車)は、ホイールベース1320mm、全長2192mm×全幅1422mmというマイクロサイズの2人乗りEV。グラスファイバー製のボディにスチール製のフロアパンを備え、車重は約137kgだった。
軽量84Vの鉛バッテリーとリアアクスルに搭載された直流電気モーターにより、512Eは時速25マイル(約40km/h)で58マイル(約93km)、最高速度の時速30マイル(約48km/h)で47マイル(約76km)の走行が可能だった。時速0-30マイル(約48km/h)の加速は12秒という遅さであり、“スピードの鬼”とは真逆の乗り物だった。
キャノピーを取り外してオープンカーとしても使える
512Eのバッテリーは、一般的な115Vの家庭用コンセントを使って、満充電まで約7時間。また、充電器は車載の12Vバッテリーを補うもので、ヒーター、デフロスター、ヘッドランプ、テールランプ、ウインカー、ワイパー、ホーンなどの車載機器に電力を供給した。
ベンチシート、通常のアクセルとブレーキ、ステアリングホイール、そして灰皿が乗員を迎えた。GMが発表した当時のプレスリリースによると、512Eは、天気の良い日にはキャノピー前方を持ち上げてドライブできるように設計されており、「ユニークなコンバーチブルの外観」を実現していた。また、キャノピーは取り外し可能で、小さな電動ロードスターに変身させることもできた。
プラグインハイブリッド仕様も存在した
512Eは、GMがミシガン州にあるウォーレン・テクニカル・センターで開催した「プログレス・オブ・パワー」において展示した3台の「512シティカー・コンセプト」のうちの1台である。他の2台には、燃費のよい12psの2気筒エンジンを搭載したガソリンエンジンのロードスターモデルと、フル電動またはハイブリッドモードで運転できるプラグインハイブリッドモデルがあった。このプラグインハイブリッド仕様は、燃料タンクとバッテリーを満タンにした状態で最大150マイル(約241km)走行可能で、走行中に消費するガソリンはわずか3ガロン(約13.6L)だった。