
季節の移ろいを楽しめる信州のワインディングロードにドライブに行きたくなる
筆者(黒木美珠)は、30歳を迎えるまでに憧れの輸入車を手に入れたいという夢を持っています。本連載では、そんな夢に向けてさまざまなモデルに触れ、その魅力を確かめながら、「心を奪われる一台」と出会うまでの道のりを綴っています。第7回となる今回は、ドイツが誇るプレミアムブランド・アウディの「A5アバント」を取り上げます。
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細部に至るまで丁寧に仕立てられた造形美
今回試乗したアウディA5アバントTFSIクワトロ150kW S lineは、SUVが主流の今となっては、希少な存在になりつつあるステーションワゴンです。とはいえ、ただの実用車ではありません。美しくスポーティなプロポーションに、アウディらしい高い質感、そして十分な積載力。この一台には、移動時間を“上質な体験”へと昇華させてくれる要素が詰まっています。
ボディサイズは全長4835mm×全幅1860mm×全高1470mm。実用性や利便性を備えながら、見た目の上質さを損なわない、低く長いスタイルが印象的です。伸びやかなサイドビューとクーペライクなルーフラインが、ひと目でA5 アバントの存在感を印象づけます。
ホイールベースは2895mmと長く、車格にダイナミックさを与えると同時に、低重心な設計によって走行時の安定感や満足度も高められています。細部に至るまで丁寧に仕立てられた造形美は、まさにプレミアムワゴンの理想形といえるでしょう。
フロントフェイスでは、鮮やかなライティングがひときわ目を引きます。特筆すべきは、デジタルデイタイムランニングライトのギミックです。8種類の点灯パターンから好みのシグネチャーを選択でき、自分らしさを表現する楽しみが広がります。夜間の乗車時には、点灯後につい車外に出て、その光の造形美を眺めたくなってしまうほどです。
さらに、リアにはデジタルOLEDライトを搭載。こちらも同様に8種類のパターンからカスタマイズが可能で、立体的なボディ造形と美しく融合し、リアビューにインテリジェントな輝きを与えます。なんと合計364個ものセグメントに分かれたOLEDパネルが専用アルゴリズムによって多彩なシグネチャーを瞬時に生成します。操作はタッチディスプレイから行え、先進性と遊び心を両立した設計です。
試乗車のボディカラーは「ホライズンブルーメタリック」。光の当たり方によって深みが変化し、存在感を主張します。上品さとかっこよさのバランスが取れており、個人的には非常に気に入りました。
プレミアムモデルならではの先進感
インテリアに乗り込んでまず感じたのは、「インパネ全体がディスプレイになっているのでは?」と思うほどの先進感でした。なんと、助手席の前方にまでディスプレイが設置されているのです。全体としては、素材の上質さに包まれた空間。乗員すべてが心地よく過ごせるよう細部まで配慮された、プレミアムモデルならではの仕立てです。
すべてのインテリアコンポーネントは、ひとつの世界観で統一されており、見た目の美しさと使いやすさがバランスしています。メーターとセンターの「MMIタッチディスプレイ」ともシームレスにつながっています。これらは視認性に優れた曲面ディスプレイを採用していて、目に自然になじみ、情報も見やすく表示されます。実際に乗ってみると、まるで運転席全体がひとつの大きなスクリーンに囲まれているような没入感があり、まさに“未来のコクピット”といった印象を受けました。
さらに、ディスプレイには有機EL(OLED)を採用しており、表示は非常に鮮明です。太陽が真上にあるような時間帯でも、画面の隅々までクリアに見える視認性の高さに驚きました。日中の強い光の中でも“白けて見える”ことがなく、情報がしっかりと目に入ってくるため、安心してドライブに集中できます。
助手席側には、オプションの「MMIパッセンジャーディスプレイ」を装備。ディスプレイは座席の真正面に配置されており、自然な姿勢のまま目線を向けられるため快適に操作できます。表示できるのは音楽や映像などのコンテンツに加え、ナビゲーションの案内も可能。ドライバーをサポートしながら、助手席に座る人も自分のスタイルで情報にアクセスできる点が印象的でした。運転席と助手席、それぞれの役割が機能的に連携していることが、このクルマの先進性を物語っています。
ふと天井を見上げると、広がっていたのは車内全体に明るさと開放感をもたらす「スマートパノラマガラスルーフ」です。このルーフには、PDLC技術(ポリマー分散液晶)というものが採用されており、透明度を自由に切り替えることができます。A5アバントでは、天井のガラスルーフを9つのセグメントに分けて、部分的に遮光モードへ変更することも可能なので、気分に合わせて調整したくなります。さらに、熱線を低減する構造によって、直射日光の強い日でも快適な室内温度を保ちながら、自然光をやわらかく取り込んでくれます。エンジンを停止すると自動的に不透明モードへと切り替わり、再始動時には最後に設定した状態を記憶して再現。機能性と快適性、そして未来感のあるギミックが見事に融合した装備です。
トリムのカラーは「ブラック(スチールグレーステッチ)」。シンプルかつ落ち着きのあるトーンが、室内全体に静けさと上質感をもたらします。シートはスポーティな形状ながら、ホールド性とクッション性のバランスが良く、長距離ドライブでも疲れにくそうな座り心地でした。
ラゲッジスペースは通常で476Lと、日常使いには十分な容量を確保しています。さらに後席を倒せば最大1424Lまで拡大が可能。アウトドア用品やスーツケースを積み込むシーンでも、積載力に不足を感じることはありません。それでいて後席の足元スペースも広く取られており、大人4人が快適に移動できる空間が用意されています。
「手が届くラグジュアリー」として現実的な選択肢
そして、実際に走り出して強く感じたのは「落ち着き」でした。シャシーのしなやかさ、ボディ全体の剛性感、静粛性の高さが組み合わされることで、どの路面状況でもフラットで安心感のある走行フィールを生み出しています。日常を丁寧に過ごす人に寄り添う――、まさにそんな印象を受ける一台でした。
試乗車の価格は車両本体価格706万円(税込)。高額に感じられるかもしれませんが、この質感、走り、スタイルを体験すると、むしろ「手が届くラグジュアリー」として現実的な選択肢に映ってきます。
美しさと実用性、そして静かなるスポーティさを併せ持ったアウディA5アバントは、「所有する歓び」と「日常にを優雅に彩る」を高次元で融合。SUV人気が続く中でも、ワゴンという選択肢が“個性”を表現する手段になり得ると感じさせてくれた今回の体験。筆者にとって、また一歩「輸入車デビュー」の現実味が増した一台でした。
筆者がこのクルマで行きたいのは、季節の移ろいを楽しめる信州のワインディングロードや、湖畔沿いの静かなドライブコース。風景に溶け込むように走るアウディを想像すると、自然と心が躍ります。
【5段階評価】
美しさ:⭐⭐⭐⭐
個性:⭐⭐⭐
デザイン:⭐⭐⭐⭐⭐
サイズ感:⭐⭐
価格:⭐⭐
走り:⭐⭐⭐⭐
将来の購入可能性は……75%。心が傾きつつある今、あとは背中を押してくれる何かが現れるのを待っているような気持ちです。
「輸入車デビューへの道」はまだまだ続きます。
今回は、ステーションワゴンという選択肢に光を当てながら、アウディA5アバントが持つ“美しさと実用性の融合”を体感しました。皆さんが気になっている輸入車、または「こんな視点で乗ってほしい!」というモデルがあれば、ぜひX(旧Twitter)で「#輸入車デビューへの道」をつけて教えてください。
それでは、また次のクルマでお会いしましょう。
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【Specification】アウディA5アバントTFSIクワトロ150kW S line
■車両本体価格(税込)=7,060,000円
■全長×全幅×全高=4835×1860×1470mm
■ホイールベース=2895mm
■車両重量=1820kg
■エンジン種類=直4 DOHC 16V+ターボ
■総排気量=1984cc
■最高出力=150ps(204kW)/4300-6000rpm
■最大トルク=340Nm(34.7kg-m)/2000-4000rpm
■トランスミッション形式=7速Sトロニック
■サスペンション形式=前:5リンク/コイル、後:5リンク/コイル
■ブレーキ=前:Vディスク、後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:245/35R20
公式HP=https://www.audi.co.jp/ja/models/a5/a5_avant/