コラム

あなたは覚えてる? ヤングタイマー車で「カセットテープとCD」。懐かしのカーオーディオを愉しむ

時代を彩ったカーオーディオたち。
複数枚のCDを自動的に入れ替えて再生できるCDチェンジャー。お気に入りのアルバムCDを何枚もセットして、気分に合わせて曲を再生できた。
SFチックかつサイバー感がマシマシのソニー「WX-7700MDX」。バックライトカラーは最大728色もあり、車内の雰囲気に合わせて好みの色を選べる。
ホンダが1981年に発売した世界初のカーナビゲーションシステム。搭載されたジャイロセンサーと距離センサーを用いて車の位置を割り出す。地図は入れ替え式というアナログっぷり。
1968年にクラリオンが発売した日本初のカセットカーステレオデッキ。それまでの車内の娯楽といえばラジオで、このカセットデッキの誕生が、運転中に好きな音楽を聴くという新たな娯楽を生んだ。
お気に入りの曲をカセットに入れて、ドライブデートで流すのがヤングタイマー世代の常識。ここ一番の時はハイポジやメタルテープにダビングして、インレタでタイトルを入れて……なんて作業も今は昔。
カセットデッキしか装備されていないクルマのために後付けでCDプレーヤーを装着できる 「CarDiscman」がソニーから登場。
GPSを用いた位置測位が可能になるとカーナビは一気に実用的に。各社もこぞってナビゲーションユニットを販売。この頃からカーオーディオはオーディオ以外の機能も担うように。
ケンウッドのオーディオデッキはとにかくカラフル。派手なグラフィックイコライザーやスペクトラムアナライザで、ナイトドライブの車内を豪華に演出した。
変わり種としてカーディスクマンと接続してカラオケが楽しめるユニットも存在した。BYDなどに搭載される車内カラオケアプリのご先祖か?
1982年に発売されたCDも1980年代後半には一般的な音楽の視聴手段として普及。1984年にはパイオニアが世界初の車載CDデッキCDX-1を市場に投入。車載オーディオにもデジタル化の波が到来した。
振動による音飛びを防ぐため、長いアームの先に設置されたDiscmanがぽよんぽよんと跳ねる様子が印象的だった。
当時はセダンタイプのクルマが一般的だったことからリアシェルフに追加のスピーカーを設置するのがトレンドに。
なんと筐体内に真空管アンプを搭載してしまったパナソニックの「CQ-TX550Dt」。アナログメーターも装備し、家庭用高級オーディオ機器のような雰囲気を纏った唯一無二の機種。
家庭用AV機器でも高い人気を誇っていたパイオニアのカーオーディオブランドが「カロッツェリア」。家庭用オーディオに負けない多彩な機能で当時の人々を魅了した。
時代を彩ったカーオーディオたち。
グリーンのイルミネーションと四角い6連ボタンが印象的なアルパイン。他社よりも高級志向を売りにしており、極限まで音質にこだわった「juba」シリーズなどを展開。
スピーカーのブランドロゴがウインカーやブレーキランプと連動して光るタイプもあり、法規上の物議を醸したことも。

クルマの性能以上に“音”の世界も熱かった

ヤングタイマー世代のクルマに欠かせないもののひとつにカーオーディオがあるのではないだろうか? クルマ技術の発展とともに日進月歩の進化を遂げた、なつかしのカーオーディオを振り返ってみたいと思う。

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移動のための娯楽が、栄華を極めたひとつの時代

移動のための手段として開発された自動車だが、単なる「手段」として以上に、いかに移動中の長い時間を快適に過ごすか、という点でも進化を遂げてきた。クーラーは言うに及ばず、運転中の情報収集のためラジオを装備してみたり……そしてヤングタイマー車の世代になって、一気に進化が加速したのが、カーオーディオに代表されるAV機器たちだ。

かつてはラジオに始まり、8トラックといった機器もあったが、一般向けとして広く受け入れられたのはカセットテープだ。メディアとして安価だったこと、そして録音環境の容易さが普及のきっかけとなった。

日本初の車載カセットデッキは1968年にクラリオンから発売された。そこから日本のAVメーカー各社が追随。続々と車載カセットデッキが販売され、1970年代半ばくらいには一般に広く普及することとなる。

1968年にクラリオンが発売した日本初のカセットカーステレオデッキ。それまでの車内の娯楽といえばラジオで、このカセットデッキの誕生が、運転中に好きな音楽を聴くという新たな娯楽を生んだ。

1968年にクラリオンが発売した日本初のカセットカーステレオデッキ。それまでの車内の娯楽といえばラジオで、このカセットデッキの誕生が、運転中に好きな音楽を聴くという新たな娯楽を生んだ。

なお当時の純正車載オーディオといえばラジオが関の山で、自分で好みのブランドのカセットデッキや後付けのスピーカーを買ってカスタムする、というのが一般的だった。パイオニアの「ロンサムカーボーイ」や、クラリオンの「シティ・コネクション」といった当時の人気ブランドを覚えている人は少なくないだろう。

そしてカセットテープに遅れて登場したのがCD(コンパクト・ディスク)だ。それまでのカセットやレコードとは違い、音声をデジタル信号で記録し、音質に優れる利点があった。発表当初こそメディアそのものの値段が高く、普及に苦戦したが、ポータブルプレーヤーなどの普及もあって、1980年代後半くらいから、カセットと同程度の市民権を得るに至った。

カーオーディオにおいてもCDはいち早く取り入れられ、1984年にはパイオニアが世界初の車載CDプレーヤーをリリース。さらに複数枚のCDを自動で入れ替えて再生できる「CDチェンジャー」の登場により、車載オーディオメディアはカセットテープとCDの2大体制となった。

複数枚のCDを自動的に入れ替えて再生できるCDチェンジャー。お気に入りのアルバムCDを何枚もセットして、気分に合わせて曲を再生した。

複数枚のCDを自動的に入れ替えて再生できるCDチェンジャー。お気に入りのアルバムCDを何枚もセットして、気分に合わせて曲を再生できた。

そして1980~1990年代にかけては、日本の経済成長と呼応するようにカーオーディオのシステム化・多機能化が進み、家庭用オーディオ顔負けの音響性能や、派手な演出やイルミネーションによるデラックス化が進んだ。まさに車載カーオーディオの全盛期といえる時代だろう。

現在ではカーナビゲーションシステムの登場や、専用のメディアを必要としないデジタルオーディオの登場などによって、以前のような多機能・独自機能は必要なくなっている。極論を言ってしまえばスマートフォンひとつあれば事足りてしまうのだ。

だがヤングタイマー車オーナーであるなら、ぜひとも車内のオーディオも「当時仕様」にこだわってカスタムしてみるのも一興というもの。なつかしのオーディオで、懐かしの曲を流しながらドライブすれば、このクルマが走っていた当時の匂いがふわりと漂ってくることだろう。

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