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ヨーロッパはもうすっかり夏のお天気になり、この時期は22時過ぎまで明るいので、1日の時間は変わりなく24時間なのですが、なんだか1日が長く感じて嬉しい限りです。今年も恒例のル・マン24時間耐久レースの取材のために、フランスへクルマを走らせました。以前からとても気になっていたプジョーのミュージアムに是非立ち寄ってみようと思い立ち、この際1泊早く自宅を出てフランスのソショーという小さな町を目指しました。いつもとは違うルートでのル・マン行きにちょっとワクワクします。
【画像77枚】クルマ好きでなくても楽しめる! プジョーミュージアムの詳細はコチラ
アウトバーンの速度制限は道路事情によって様々
ドイツのフライブルグの先のミュールハイムのアウトバーンの出口手前からフランス国境方面は超大渋滞。アウトバーンでそのままドイツからフランスまで繋がっているのではなく、一旦一般道へ出てフランス国内へ入国するルートです。渋滞にはまっている内に途中からどしゃ降りになりました。川を渡っている橋の真ん中でフランスへ入国。フランスの国道を経て高速道路入り、宿の近くの出口で降りるまで渋滞続きでちょっとうんざりしました。
ドイツのアウトバーンの速度制限は道路事情によって様々で130km/hに制限されたり、120kmや100km、工事現場では80kmや60kmなど、交通事情によって変化します。そして速度制限解除区間、いわゆる速度無制限の区間もありますが、フランスの最高速度は130km/hで都市部に近い場所では100kmや90kmになっている場合もあります。
渋滞や大雨に遭遇しつつ、この日の宿はプジョーのミュージアムから5~6km程離れた小さなかわいらしい町の小さなホテルを予約していたのですが、あいにくここでも雨。自宅から約580kmの長距離をドライブしてきて疲れ切っていたので、町の観光に行く事もなくホテルでゆっくりしました。
オシャレなモザイクタイルがお出迎え
翌日は張り切って開館時間の10時に向けてホテルを出発し、開館前のミュージアムに並びました。チケット(大人1枚12ユーロ)を購入し、いよいよ入館です。入り口からもう楽しそうな雰囲気が溢れています。すぐにクラシカルなモザイクタイルで装飾された展示ブースの入り口に、ステキなクラシックカーのブースが出てきます。このプジョーミュージアムにいくつもこのモザイクタイルが出てくるのですが、温かみがあってとってもオシャレです。全て手作業ですから、製作にはきっととんでもない時間と労力が費やされていると想像できます。
プジョーは1800年代からステキなクルマをいまに至るまでたくさん製造していて、展示ブースには数多くの自動車が歴史ごとに飾られています。クルマにももちろん興味がありますが、やはり生活用品という意味でのプジョーがとても気になっていたのです! いまも人気商品であるペッパーミルやコーヒーミルはもちろんの事、工具類や銃、ミシンに様々な家電製品……見ているだけで楽しくてワクワクしてしまいます。
また、時代によって少しずつ変化しているロゴや昔の広告デザインを見るのもミュージアムの醍醐味かも知れません。パソコンやインターネットもない時代に手書きで起こされたと思われるデザインにほっこりしますね。
シニアのみなさんが釘付けになっておられたのは、ご自身らが子供時代~社会人になりたてくらいの年代のクルマや昔のキッチン家電用品等でした。残念ながら私はフランス語を全く理解できませんが、そのキラキラした表情や話しぶりを拝見していると「ねぇ、覚えてる、このミキサーは昔家にあったわよね」と旦那さんと話しておられるのかな? なんて想像していました。日本では若い方の昭和レトロがブームになっているそうですが、プジョーの家電もいま販売しても売れるのではないかと思うような色やデザインなのです。
私は蚤の市をブラブラするのが好きなのですが、ドイツの蚤の市では大学生くらいの方が、カセットテープのデッキや1970~80年代の洋服や小物を買ってステキに着こなしておられる姿を見掛ける事がありますので、レトロブームは日本だけではないのかも知れませんね。
ミュージアムショップは見ているだけで楽し
プジョーミュージアムにはショップもあり、ペッパーミルやコーヒーミルはもちろんの事、Tシャツやアクセサリー類、書籍にライオンちゃんのぬいぐるみなど、数多くのグッズが販売されています。ル・マンに参戦しているプジョーのハイパーカーの9X8のグッズは殆どなく、サーキットでのショップの方が種類豊富です。中高生くらいの学生さんたちの社会科見学やシニアのグループがいらしていましたが、朝一番やってきたこともあり、かなり空いている中でゆっくりと見学できました。
プジョーミュージアムは1フロアに完結しており、他の自動車メーカーのように大きくはなく、どちらかというとこじんまりしているのですが、2時間以上たっぷり見学してしまいました。ミュージアム内のレストランはおいしくてお安めとのインターネットの情報を得ていたので、ランチをここで頂くのを楽しみにしていましたが、この日はなかなかレストランが開店する様子がなく……。ル・マンへは更に約650kmの道のりがあり、ル・マン24時間レース用のパスの受取をするセンターが閉まる時間を考慮するとかなりギリギリな感じでした。あと1時間くらいはミュージアムに居たかったのですが、後ろ髪を引かれながらル・マンへ向けて出発する事にしました。
駐車場へ向かうとレア車を発見! プジョー205のラコステモデルが停まっているではありませんか。1984~86年にかけて合計2万4千台が製造され、フランスでは1000台限定で販売されていたそうです。車重は僅か780kgで60馬力と、現在の軽自動車並みの性能ですが40年前には一般的だったのかも知れません。白いボディにグリーンの内装がとても洗練されていて、フランスのブランド同士のコラボで洗練されたオシャレなデザインですよね。
都市部以外、バカンスシーズン以外はいつもとても空いていると感じるフランスの高速道路。景色も殆ど変化がなく、ひたすら畑の中を走りますのでかなり退屈なのです。唯一の楽しみはサービスエリアでの休憩。ドイツのサービスエリアはほぼ全てが同じチェーン店化されていて、お店のラインアップも商品もさほど大きな違いはなくもうすっかり私は飽きていますが、外国のサービスエリアに行くととても新鮮で、思わずじっくり見てしまいます。
途中のサービスエリアではトラブルも……
また、ドイツのサービスエリアではトイレの使用に1ユーロが必要なのですが、フランスでは無料というのも大変助かります。ただ、外国あるあるで、自動販売機でコーヒーを買おうとお金を入れても何も出て来ず、お金も戻ってこない……そんな経験を私は何度もしているのですが、この日も休憩の際に自動販売機でコーヒーを買おうとお金を入れたところ、カップが出てきて作動している様子が分かりましたので一安心。しかし、取り出し口からコーヒーを撮り出すと……なんとお湯!(笑)。
ここのサービスエリアでは日本でも人気のパン屋さん『PAUL』が入っており、そこで最初からコーヒーを注文すれば良いのですがちょっとお高い事もあり、自販機で半額以下のコーヒーを飲もうと思ったらまさかのお湯だけが出てきました。ショップのレジに持って行くと慣れた様子で「PAULで返金処理をしてもらってください」との事でした。私以外にも同様のドッキリがあったようですね。お湯の入ったカップを持ってPAULに行くと返金の代わりに「お好きなコーヒーをお入れしますよ」とありがたいご提案でカプチーノを頂きました。
今回はプジョーミュージアムに立ち寄ったので、いつものA4号線経由ではなく、A5号線を通ってル・マンへ向かったのですが、苦手な大渋滞のパリを通らなくてはなりません。また、パリを通り過ぎた後に再び雨が降り出し、ル・マンに到着するまで再び大雨に降られてしまいましたが、何とかプレスパスの受取りセンターには、閉まる20分前に無事到着!
プジョーミュージアムだけを訪れる為に自宅から改めて行く事はちょっと難しいですが、思い切ってル・マン24時間レースの途中に寄り道をして大正解でした。日本からフランス旅行となるとパリが一般的ですが、それ以外の小都市トリップはいかがでしょうか。プジョーオーナーの方もそうでない方も、ぜひともフランスやヨーロッパへご旅行の際にはお立ち寄り頂きたいおススメスポットのひとつです!