
クルマの死角は前後左右にある
クルマや二輪車など、よく目にする車両には死角があります。しかし、各車両によって異なる死角となる部分や範囲を正しく理解している方は多くないのではないでしょうか。この死角となる部分や範囲を理解していない場合、思い込みによる事故が発生する可能性が高くなります。今回は、クルマと二輪車の死角の解説と、思い込みによる事故の危険性、事故にならないようにする対策を解説します。まず、クルマの死角から解説します。クルマの死角は、前後左右に存在します。
クルマによって異なりますが一般的なコンパクトセダンの場合、前方の死角が約4m、後方の死角が約10m、運転席側の死角が約1m、助手席側の死角が約4mです。また、ピラーの部分も死角となります。
そのため、前方や後方にしゃがんでいる子供や高さの低い障害物などがある場合、運転者は気付かない可能性が高いです。後方の確認をする際に使うミラーにも死角が存在します。ドアミラーで見える範囲は、一般的に車両の側面の延長線上の限られた範囲のみです。そのため、真横(左右)や斜め後方はミラーの死角となります。
このようなことから、進路変更や右左折をするときは、ミラーだけでなく、ミラーの死角となる真横(右または左)から斜め後方までの目視確認も必要となるのです。
二輪車の死角は左右と後方
次に、二輪車の死角について解説します。二輪車の死角は、主に左右と後方です。二輪車を運転しているときは、運転者の左右と後方が視野に入っていません。基本的に前方のみの視界となります。また、ヘルメットの形状によっては、前方視界の範囲が狭くなる可能性もあります。つまり、二輪車の運転者は、限られた前方視界の中で運転しているケースもあるということです。
二輪車もクルマと同様にミラーを使うことで、車両側面の延長線上の限られた範囲を確認することが可能となります。しかし、真横(左右)や斜め後方は、ミラーにも写らない範囲つまり死角です。そのため、二輪車の運転者も進路変更や右左折をするときはミラーの死角となる真横(左右)および斜め後方の目視確認が必要となります。
もしクルマの死角に二輪車が入ってしまうと
ここまで、クルマと二輪車の死角について解説していましたが、共通しているのは、真横(左右)と斜め後方が運転者の視界に入らずミラーにも写っていない死角になるということです。もし、クルマの斜め後方の死角に二輪車が入ってしまうと、二輪車からクルマは見えていますが、クルマから二輪車は見えていないという状況になります。もちろん、逆(二輪車の死角にクルマが入る)の場合も同様です。
車両の死角となる部分にクルマや二輪車などがいることに気づかず、進路変更などをした場合、交通事故になる可能性が高いです。また、進路変更などを始めたときにミラーを含めた視界に、死角にいた車両が突然現れるとヒヤッとします。
それぞれの車両に発生する死角(主に真横や斜め後方)によって交通事故を起こさないようにするためにも、進路変更や右左折などをするときはミラーだけでなく目視による安全確認を確実に行うよう日頃からクセ付けておきましょう。合わせて、クルマの先進的な運転支援システム(ブラインドスポットモニターなど)も有効に活用すると、事故を減少させられる可能性が高くなります。
それぞれの乗り物の死角を理解することが身の安全を守る
クルマと二輪車では、死角となる部分や範囲が異なりますが、真横(左右)および斜め後方が死角になるという共通点があります。もし、それぞれの死角となる部分や範囲の相違点と共通点を理解していない場合、「自分からも見えているということは、相手も見えている(存在に気づいている)だろう」と思い込み、交通事故が発生してしまうことがあります。
このような思い込みによる交通事故をなくすためにも、それぞれの車両の死角となる部分や範囲を正しく理解しておくことが大切です。死角についての理解が深まると、自車の適切な走行位置、進路変更などをする際に確認すべき箇所がわかるようになります。事故なく安全運転で1日を終えるためにも、各車両の死角をしっかりと理解しておきましょう。