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1ヶ月ぶりの当連載、第53回は日産セドリックの3代目モデル(230型系)のカタログをご覧いただくこととしよう。
【画像32枚】ニヤケ面が派手なクラッシュを予感させる230セドリックのカタログを見る!
オーソドックスなスタイルで静かな人気を博した3代目
1971年、日産セドリックはフルモデルチェンジを行って230型系となり、2月23日に発売された。このとき、1966年に旧プリンスを吸収合併して以来引き継いでいたグロリアと基本設計を完全に共用し、兄弟車としている。登場時点でのボディ形式は、4ドア・セダンと2ドア・ハードトップ(発表は同時であったが遅れて4月に発売)、そしてワゴン/バンの3タイプ。なお、グロリアにワゴンの設定はなかった。
スタイリングに関しては、フロントマスクのイメージを先代130後期型から受け継ぎつつも、当時流行のコークボトルラインを控えめながら採用。全体に過度な自己主張のないオーソドックスなものであった。グロリアはボンネットを独自の形状とすることで差別化、フロントグリルやリアガーニッシュ、テールランプなどに違いが見られる。
サスペンションは前ダブルウィッシュボーン/後リーフリジッド。搭載エンジンはほぼ全モデルが2L直6 OHCのL20で、最廉価モデルのスタンダードは2L直4 OHVのH20。トップモデルのGXのみツインキャブ仕様のL20を搭載しており、最高出力はシングルキャブの115psに対して125psであった。
登場から半年以上後の10月には2.6L車を追加、1972年8月には国産車初の4ドア・ハードトップの設定、同年10月には電子制御AT(ニッサンEマチック)の採用などを行いながら、230型セドリック/グロリアは1975年まで生産された。後継となった330型系は1975年6月に登場している。

カタログ表紙にはクルマは写っていない……と思いきや、これはボンネットのアップ。中央部の2本のビード状プレスのクローズアップである。そこに夕方の林の風景が写し込まれて、カタログ全体のイメージを予告するかたちとなっている。
スタイリッシュなイメージカットで構成されたカタログ
さて、ここでお見せしているカタログは、「セドリック’71」のタイトルからも分かる通り、この230型系セドリック初期のものとなる。ただし、コードの類の記載がないので、具体的な発行年月は分からない。また、このカタログは4ドア・セダンとワゴンのみのもので、2ドア・ハードトップの掲載はない。サイズは300×250mm(縦×横)、ページ数は表紙を含めて全24ページ。
230セドリック初期のカタログには、まるで1950年代アメリカ車のそれのような、イラストを使ったバージョンもあるのが知られているが、こちらは基本的に全カット写真で構成されている。また、カタログ自体の作りとしても特に変わったところはない。イメージ写真は全てスタジオ内での撮影と思われ、陰影のコントラストを強調したスタイリッシュなものとなっている。それらのカットでは車両や背景に屋外(自然風景)の写真を写し込むことで、イマジネーションを刺激する工夫がされているのも特徴だ。
いつもは実車について、当時街で見かけた印象のことなどを書き記しているが、このクルマについてはそれで済ますわけにはいかない。筆者は2024年冬まで、230型セドリックの4ドア・セダンを所有していたのである。具体的には1973年式の2000カスタムデラックスLで、購入は2000年のこと。子供の頃からこの型のセドリック(/グロリア)が、好きなクルマNo.1なのである。
とは言え、いっぱしの旧車オーナーとして胸を張れるようなものでもなかった、というのが正直なところ。とりあえずは動く状態で次に繋げられた(売却時にもショップの人には「快調」と言ってもらえた)ので良しとすべきであろうか。カタログを見ても未だに、憧れや愛着、後悔や未練といった様々な感情が去来して、冷静でいられないのである。画像ギャラリーには所有当時のエピソードも交えたキャプションを添えたので、じっくりと楽しんでいただければ幸いだ。