ロールス・ロイスが史上最も緻密なウッドクラフトを公開
自動車の歴史において、常にラグジュアリーの頂点に君臨し続けてきたロールス・ロイス「ファントム」。その誕生から100年という輝かしい節目を祝うため、英国グッドウッドのロールス・ロイス本社は、間もなく発表される特別な限定車「プライベート・コレクション」に採用される、ブランド史上最も複雑かつ芸術的なウッドワークを先行公開した。そこには、伝統的な職人技と最先端技術が融合した、3つのロールス・ロイス史上初の試みが含まれている。
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ファントムの伝説を刻む、ドアという名のキャンバス

今回公開されたのは、来るべき記念モデルのインテリアドアパネルだ。このドアパネルは単なる装飾ではなく、ファントムが駆け抜けてきた100年の壮大な物語を表現するキャンバスとして制作されている。その開発だけに丸1年が費やされ、デザインには地理的な地図や曲がりくねった道、広大な風景、さらには花のモチーフや過去の実験的なモデルの姿までが、ひとつの壮大な構図の中に織り込まれている。
素材として選ばれたのは、独特な木目が特徴のブラックウッドだ。デザイナーは、光が当たる角度によって木目がどのように表情を変えるかを綿密に計算し、見るたびに新たな発見があるような視覚効果を生み出している。さらに、この芸術的な構図を妨げる要素を一切なくすため、通常は金属製であるスピーカーグリルさえも、木製パネルに直接微細な穴を開けることで一体化させているのだ。
初公開する3つの超絶技巧

この息をのむようなウッドパネルを実現するために、ロールス・ロイスのビスポーク部門は、3つの画期的な技術を開発・導入した。
ひとつ目は「3Dマーケトリー」だ。 これは、伝統的な寄木細工(マーケトリー)を立体的に進化させた技法で、ベースとなるウッドパネルの上に、彫刻や後述の3Dインクで装飾されたモチーフを重ねることで、視覚だけでなく触覚にも訴えかける深みと質感を生み出している。
ふたつ目は「3Dインクレイヤリング」という、インクを何層にも重ねて印刷する技術だ。 これにより、木材の表面に直接、驚くほど精密で微細な模様や質感を加えることが可能となり、物語の細部を繊細なストロークで描き出している。
そして3つ目が、何世紀にもわたる伝統的な家具作りの技法に由来する「金箔加工(ギルディング)」だ。 専門の職人チームが、ウェスト・サセックスの名高い工芸学校で特別な訓練を受けてこの技術を習得。 デザインの中で地図上の道を表現するために、厚さわずか0.1マイクロメートル(100ナノメートル)の24カラットの金箔が、ひとつひとつ手作業で埋め込まれている。 これは、ファントムの輝かしい旅路を金の糸で紡ぐかのような、見事な表現となっている。
クラフトマンシップの新たな地平へ
レーザーによって3段階の深さで彫刻されたモチーフ、そして今回新たに導入された3つの革新的な技術。これらが一体となることで、ロールス・ロイスのウッドパネルは、もはや単なる内装部品ではなく、現代工芸における全く新しい立体的な彫刻芸術へと昇華された。
ビスポーク責任者であるフィル・ファーブル・ド・ラ・グランジ氏が「ビスポークの驚くべき新たな可能性を切り開いた」と語るように、このウッドワークは、ロールス・ロイスのクラフトマンシップが新たな地平に到達したことを証明しているだろう。
ラグジュアリーの頂点であるファントムの100周年を祝うにふさわしい、この究極のウッドワークを纏った「プライベート・コレクション」の全貌が明らかになる日が、今から待ち遠しい。
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※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。