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BMWの北米法人は2025年10月10日、2026年モデルの限定車「BMW M2ターボ デザインエディション」を発表した。このモデルは、1974年から1975年にかけて生産された伝説的な「BMW 2002ターボ」にインスパイアされた、手描きのグラフィックを特徴とする極めて希少な特別仕様車である。生産は2026年の第1四半期に開始され、納車は第2四半期の初頭が予定されている。メーカー希望小売価格は82,900ドル(約1260万円)。
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50年の時を超え蘇る、ヨーロッパ初のターボチャージャー搭載車
この限定車のデザインは、50年前にBMWのブランドイメージを確立した02シリーズの高性能モデル、2002ターボへの深いリスペクトを表現したものである。1973年のフランクフルト・モーターショーでデビューした2002ターボは、ヨーロッパで初めてターボチャージャー付きエンジンを搭載した量産車として歴史に名を刻んだ。KKK社製シングルターボチャージャーで過給される2.0L 4気筒エンジンは、ベースモデルの130psから170psへと出力を高め、0-60mph(約96.6km/h)加速を7秒未満でこなす当時としては驚異的な性能を誇った。
そのアグレッシブな性能は、幅広のタイヤを収めるためのフェンダーフレアや、フロントエアダム、リアスポイラーといった専用装備にも表れていた。特に、アウトバーンで追い越し車線の車両に自らの存在を知らせるため、フロントエアダムに鏡文字で「2002 turbo」と描かれたオプションのグラフィックは、今なお語り継がれる象徴的なデザインだ。
手描きのストライプとカーボンパーツで武装したエクステリア
新型M2ターボ デザインエディションは、この初代ターボモデルの意匠を現代のM2に見事に蘇らせている。ボディカラーは鮮やかなアルピンホワイトの専用色で、ボンネットとトランクリッドの周囲には、手描きによるBMWモータースポーツのトリコロールストライプが大胆に施されている。ボンネット中央のパワードームはブラックで仕上げられ、そこにはオリジナルを彷彿とさせる鏡文字の「turbo」スクリプトが描かれる。
標準装備されるMカーボンルーフパネルにもトリコロールストライプが組み込まれており、フロントとリアのグラフィックを視覚的につなぐ役割を果たしている。リアにはBMW Mパフォーマンス製のカーボンファイバー製スポイラーと、専用の「turbo」バッジが装着され、特別なモデルであることを主張する。足元はブラック仕上げのMデュアルスポーク・ホイール(スタイル930M)が標準装備となる。
トランスミッションは「6速MTのみ」という純粋さ
インテリアもまた、ドライバーの情熱を掻き立てる特別な設えとなっている。ドアを開けると「M2 turbo」の文字が刻まれた専用のシルプレートが迎えてくれる。標準装備のMスポーツシートはブラックのヴァーネスカ・レザー張りで、エクステリアのストライプを反映したMカラー・ハイライトが施されている。オプションでMカーボン・バケットシートも選択可能だ。
このモデルの最大の特長は、トランスミッションが6速マニュアルのみに限定されている点である。これはオリジナルの2002ターボがマニュアル車であったことに敬意を表したものであり、シフトレバー前方のカップホルダーカバーには「turbo」と刻まれた専用プレートが備わる。このほか、ヒーター付きMアルカンタラ・ステアリングホイールやカーボンファイバー・インテリアトリム、ヘッドアップ・ディスプレイ付きライブ・コックピット・プロフェッショナルなどが標準で装備される。
心臓部は473馬力の3.0L直列6気筒ターボ
心臓部には、BMW Mが50年以上にわたって培ってきたターボ技術の集大成ともいえる、3.0L Mツインパワー・ターボ直列6気筒エンジンが搭載される。最高出力は473ps、最大トルクは550Nmを発揮し、0-60mph(約96.6km/h)加速はわずか4.1秒で完了する。最高速度は標準で155mph(約250km/h)、オプションのMドライバーズ・パッケージを装着することで177mph(約285km/h)にまで到達可能だ。
BMWのターボチャージャーの歴史に敬意を表し、現代の最新技術とピュアなドライビングの喜びを融合させたM2ターボ デザインエディションは、BMW Mのファンにとって垂涎のコレクターズアイテムとなることは間違いないだろう。北米市場向けに「極めて限られた台数」とアナウンスされていることから、日本市場への正規導入の可能性は低そうだが、その登場を期待せずにはいられない魅力的な一台である。
【画像36枚】これが現代に蘇った伝説の意匠。Mカーボンルーフから専用バッジまで「M2ターボ デザインエディション」の全貌を見る