残り20分の超スプリント決着! トヨタ8号車が大逆転で母国勝利を飾る
秋の気配が色濃くなり始めた富士スピードウェイ。世界中のモータースポーツファンが熱視線を送るFIA世界耐久選手権(WEC)の第7戦、「富士6時間耐久レース」が2026年9月27日、波乱のなかで決勝の時を迎えた。
【画像136枚】富士を熱狂させた劇的フィナーレ。WEC富士6時間、アルピーヌの猛追を凌いだトヨタが凱旋優勝!

土曜日の予選が悪天候により中止となる異例の幕開けとなった今年の富士ラウンド。決勝レースが行われた日曜日は、上空に分厚い雲が広がり、ところどころ路面が濡れているトリッキーなコンディションでスタートを迎えた。最高峰のハイパーカークラスを中心に、世界の自動車メーカーが威信をかけて激突するWECにおいて、ここ日本はTOYOTA GAZOO Racingにとって絶対に負けられない母国ラウンド。グランドスタンドを埋め尽くした大観衆が見守る中、6時間の過酷な耐久劇の幕が上がった。
アルピーヌの支配、そして勝負を分けたトヨタの「戦略」
レース序盤から主導権を握ったのは、フロントローからスタートしたアルピーヌ勢(36号車、35号車)だった。一方で、8番手からスタートしたトヨタ8号車(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)も、ブエミの好スタートで一気に順位を上げる。レース中盤にかけては、フェラーリやアストンマーティン、キャデラックも入り乱れ、各所で接触やペナルティ、マシントラブルが頻発。FCY(フルコースイエロー)やVSC(バーチャル・セーフティカー)が幾度となく導入されるサバイバル戦の様相を呈していった。
レースを支配していたアルピーヌの牙城が崩れたのは、残り1時間を切った終盤戦だった。ターン1で発生したLMGT3クラスのビッグクラッシュによりセーフティカー(SC)が導入されると、各車が一斉に最後のピット作業へ向かう。しかもこのタイミングでサーキットには再び雨が降り始め、霧も立ち込めるという難しいコンディションに。
ここで際立ったのが、トヨタ陣営の卓越したピット戦略だった。彼らはレース再開までに時間がかかると冷静に判断し、燃料の給油量をギリギリまで削るという決断を下す。この完璧なピットワークと判断が功を奏し、ピットアウト後のSCラン中に8号車トヨタが総合首位に躍り出たのだ。
富士を沸かせた平川亮の「魂の20分間」
コースの修復が終わり、レースが再開されたのは残りわずか20分。ここから、耐久レースの最後とは思えない緊迫の“超スプリントバトル”が勃発する。トップを逃げる平川亮(トヨタ8号車)に対し、後方から猛烈な勢いで迫ってきたのは、レースの大半をリードしていたアルピーヌ36号車(ヴィクトー・マルタンス)だった。残り10分の時点で2番手に浮上した36号車は、圧倒的なペースで平川の真後ろにピタリと張り付く。
しかし、平川は徹底抗戦の構えを見せた。一切の隙を見せない極限のディフェンスでアルピーヌの猛追を封じ込め、見事な大逆転でのトップチェッカー! その瞬間、富士スピードウェイのグランドスタンドは割れんばかりの大歓声に包まれた。
2位には最後のSCに泣いた36号車アルピーヌ、3位には堅実な走りを見せた15号車BMWが入り、トヨタ、アルピーヌ、BMWという異なる3メーカーが表彰台を分け合う結果となった。
激戦のLMGT3クラスはBMWが制す
一方、市販スーパーカーをベースとし、より読者にとって身近な存在である「LMGT3クラス」も、ハイパーカーに勝るとも劣らない白熱の展開を見せた。
スタート直後のターン1での多重クラッシュや、終盤のガードレールを破損する大事故など、荒れに荒れた今年のLMGT3クラス。アストンマーティン、マクラーレン、フェラーリ、ポルシェなど多彩なブランドが入り乱れる中、生き残り戦を制してクラス優勝を飾ったのは、チームWRTの32号車BMWだった。2位にはハート・オブ・レーシングの27号車アストンマーティン、3位にはレーシング・チーム・ターキー by TFの34号車コルベットが続き、こちらも激しいバトルで観客を大いに魅了した。
WEC富士の楽しみはコース上のバトルだけにとどまらない。グランドスタンド裏のイベント広場では、世界のスポーツカーブランドが一堂に会するWECならではの豪勢なブースが立ち並び、終日大きな賑わいを見せていた。

母国グランプリとなるTOYOTA GAZOO Racing(TGR)ブースでは、GR各モデルの展示に加え、モータースポーツ技術を惜しみなく投入したコンセプトカーに人山ができていた。また、ル・マン優勝マシンも展示され、熱心なファンがカメラを向けていた。
そして毎回WECの名物なのが、フランスフェア。こちらはル・マン24時間レースの開催国である「フランス」にちなみ、大々的に開催! 絶品のフランスグルメやワイン、スイーツが味わえるキッチンカーやブースが多数出店し、美味しい食事が楽しめるほか、アクセサリーなども販売されており大盛況だった。
さらに日本をはじめ、イタリア、ドイツ、イギリス、アメリカなど、世界中から集う参戦自動車メーカーの母国にちなんだ絶品グルメを味わえる多国籍フードエリアが登場! 観戦者らはレースの熱狂と共に世界各国の味覚を堪能していた。また自衛隊の戦車や装甲車は、子供だけでなく大人にも人気を集めていた。
さらに、トークショーが行われたステージでは、超豪華な顔ぶれが登場するたびに歓声が上がるなどレース観戦の合間を彩る充実のエンターテインメント空間が作り上げられていた。
自動車メーカーの最先端技術と、極限状態で戦うドライバーとチームの意地が交錯するWEC。ハイパーカー時代を迎え、ますますの盛り上がりを見せるこの世界最高峰の耐久レースの結末から、最後まで目が離せない。












































































































































