コラム

【WEC富士2026】グッドイヤー首脳陣が語る決意。「親しみ」から「プレミアム」なサステナブルブランドへ

WEC富士2026で訊く、グッドイヤーの現在と未来

WEC(FIA世界耐久選手権)の富士ラウンドにて、グッドイヤーレーシングのダン・ブラケット氏と日本グッドイヤー社長のラリー・エルサビー氏へインタビューを実施。WECにおけるタイヤ供給の現状や持続可能性への取り組み、そして日本市場における今後の戦略について語っていただいた。
【画像9枚】グッドイヤー首脳陣インタビュー:WEC LMGT3へのタイヤ供給延長と持続可能性66%の次世代レーシングタイヤ

WEC LMGT3クラスへの継続的な供給と高い評価

――WECのLMGT3クラスへのタイヤ単独供給についてですが、これはいつから始まり、現在どのような体制で行われているのでしょうか?
ダン・ブラケット氏(以下、ブラケット):2024年のクラス誕生時から供給を開始しています。現在、ドライ用とウェット用の両方で安定した供給体制が築けており、チームからのフィードバックは非常に良好です。新しい自動車メーカーが参入する中でも、チームと緊密に連携しながら製品の進化を続けています。

――このタイヤ供給の取り組みは、今後も長期的に継続していく予定ですか?
ブラケット:はい。我々は最近、WECへのタイヤ供給契約を2032年まで延長したことを発表しました。これは我々のモータースポーツに対する長期的なコミットメントを示すものです。

次世代レーシングタイヤの開発とサステナビリティの大幅な向上

――昨シーズンから今シーズンにかけて、タイヤにどのような改良が加えられたのでしょうか?
ブラケット:最も大きな変化は、持続可能性(サステナビリティ)の大幅な向上です。今シーズンのタイヤには33%の持続可能素材を使用していますが、来シーズンはこれを66%へと引き上げる予定です。また、サイドウォールに新設計の「イーグル(Eagle)」のブランディングを施すという視覚的な変更も行います。このデザインは、今後の一般消費者向け市販タイヤにも反映されていく予定です。

――今回はあいにくの雨で予選がキャンセルとなってしまいましたが、レインタイヤのアップデートはいかがでしょうか。実戦でのデータが取れなかったのは残念ですね。
ブラケット:おっしゃる通り、今回はデータを獲得する機会を失ってしまい残念でした。しかし、レインタイヤの開発も基本的にはスリックタイヤと同じアプローチで行っています。実際のレースで雨が降る機会は限られているため、ポール・リカール・サーキットなどで人工的に路面を水浸しにするプレシーズンテストを実施し、次期モデルに向けた精緻なデータ収集をしっかりと行っています。

富士6時間とル・マン24時間の規模の違い

――富士は6時間のレースですが、ル・マン24時間レースと比べると、タイヤ供給の側面からどのような違いがありますか?
ブラケット:基本的なセットアップやアプローチは似ているのですが、プロジェクトの規模(スケール)が全く異なります。ル・マンでは持ち込むタイヤの本数やフィッティング施設の規模、そしてガレージでチームと直接連携するエンジニアの人数が大幅に増加します。さらに、昼夜を通じた天候変化や、真夜中のレース進行に伴うスタッフとドライバーの疲労など、24時間レースならではの非常に過酷な環境が大きな違いとして挙げられます。

日本のモータースポーツファンへの高い評価

――日本のモータースポーツファンについての印象はいかがですか?
ブラケット:日本のファンの皆さんの情熱は本当に素晴らしいです。朝早くからサーキットに足を運び、レースの最後まで熱心に観戦し、積極的に参加してくれます。我々のタイヤ技術を披露するWECというグローバルな舞台において、日本のファンの皆さんの存在は非常に重要であり、理想的な環境だと感じています。

日本市場における確固たる地位とプレミアムブランド戦略

――続いてラリー社長に伺います。現在の日本でのセールス状況や今後のブランド戦略について教えてください。
ラリー・エルサビー社長(以下、エルサビー):日本市場においては、過去3年間、単なる販売本数(ボリューム)ではなく「価値(バリュー)」を重視した販売に注力し、価値ベースでのシェアを大きく向上させてきました。現在、グッドイヤーは日本におけるトップ5のタイヤメーカーであり、他の海外メーカーを凌ぐ最大の輸入ブランドとして確固たる地位を築いています。

――昨年導入されたフラッグシップモデル「Eagle F1 Asymmetric 6」の販売も好調ということでしょうか。
エルサビー:はい、純正装着(OE)を含め非常に高い評価を得ています。これまでは主にカーディーラーで販売されていましたが、現在は一般のタイヤ交換(リプレイスメント)市場へも幅広く販売チャネルを展開しています。日本の消費者の皆様からの信頼度は高いのですが、「昔からある馴染みのブランド」というイメージが定着している側面もあります。今後はブランドイメージを継続的に刷新し、より「プレミアムなブランド」としての価値をしっかりと再認識していただくことが、我々の最重要課題だと考えています。

グッドイヤーといえば年配の世代ではかつてのF1ワンメイク供給のイメージが強いが、それを加味したうえで進めているモータースポーツ活動と、日本市場でのプレミアム戦略は、今後も継続していくであろうことが今回のインタビューで確認することができた。
【画像9枚】グッドイヤー首脳陣インタビュー:WEC LMGT3へのタイヤ供給延長と持続可能性66%の次世代レーシングタイヤ

photo=相澤隆之/T.Aizawa

注目の記事
注目の記事

RANKING