ランチアが新型フラッグシップ「ガンマ」を世界初公開
ステランティス傘下のランチアは2026年10月9日、新型ファストバック・クロスオーバー「ランチア・ガンマ」を世界初公開した。1976年に発表された同名のフラッグシップモデルの誕生から50年、そしてブランド創立120周年という節目に登場したこの新型車は、イタリアのメルフィ工場で設計から生産まで行われる。伝統あるランチア・ブランドの再生を牽引する重要なマイルストーンとして、大きな注目を集めている。
【画像20枚】光る「カリス」と車内のコーヒーテーブル。イタリアンデザインが息づく新型「ランチア・ガンマ」の全貌を見る
イタリアンデザインの真髄と卓越したエアロダイナミクス
新型ガンマのエクステリアは、ランチアの最新デザイン言語をさらに進化させたものである。フロントマスクには、光の演出によって浮かび上がるカリス(聖杯)シグネチャーと、歴史的なモデルから着想を得た六角形のエアインテークが配置されている。

リアセクションには特徴的なT字型のライトシグネチャーに加え、スプリットスポイラーを形成するフローティング・エアロダイナミック・フィンが採用された。さらに、かつてのランチア・ベータHPEへのオマージュとしてサンシェード構造も取り入れられている。

この造形は単なる美しさだけでなく、エアロダイナミクスを極限まで追求した結果でもある。クラス最高となる0.25の空気抵抗係数(Cd値)と、転がり抵抗わずか4.7kg毎トンを実現した。アクティブフロントグリルやエアロホイールの採用と相まって、極めて優れた空力性能を誇っている。
持続可能性と快適性を両立するリビングルームのような室内
室内空間は、現代的なイタリアの家具デザインから着想を得たイタリアン・ホーム・フィーリングというコンセプトで仕立てられている。キャビンの中央には、スマートフォンなどを置くことができるアルカンターラ仕上げのコーヒーテーブルが配置され、エレガントなリビングルームを思わせるリラックスした空間を作り出している。

後席のレッグルームは従来モデルに比べて大幅に拡大されており、ラゲッジルームもクラス最大級となる560Lの容量を確保した。インテリアの表面の60%以上には持続可能な素材が採用されている点も重要である。最大で100%の再生繊維を使用したファブリックや、ハイ・バイオベース・ポリウレタン、鉱物由来の成分を用いたゼオライトなめし加工によるレザーなど、合計で600kg以上の環境配慮素材が使用されている。また、微小粒子状物質やカビなどを高効率で捕集するクリーン・キャビンシステムにより、激しい渋滞時でも車内の空気は常に清浄に保たれる。
多彩なパワートレインと伝説の「インテグラーレ」復活
新型ガンマはマルチエネルギープラットフォームを採用しており、多彩なパワートレインが用意されている。ハイブリッドモデルは48Vのハイブリッドシステムと6速デュアルクラッチトランスミッションを組み合わせ、最高出力145psを発揮する。このモデルの航続距離は1000kmを超え、長距離移動にも十分に対応する。電気自動車モデルには、スタンダードレンジとロングレンジの2種類のバッテリーが設定されている。最高出力は最大で245psに達し、ロングレンジ仕様では最大741kmの航続距離を実現した。

そして、ファンにとって最大のトピックは、30年の時を経て復活した「HFインテグラーレ」である。前後にモーターを搭載するデュアルモーターの四輪駆動システムを採用し、最高出力375ps、最大トルク509Nmという圧倒的なスペックを誇る。静止状態から100km/hまでわずか5.1秒で加速するパフォーマンスと、最大676kmの航続距離を見事に両立させている。
先進の安全装備と最新のインフォテインメント
インフォテインメントシステムには、サウンド、空気、光を統合制御するSALAと呼ばれる仮想インターフェースが導入されている。16インチのセンターディスプレイと10.25インチのデジタルインストルメントクラスター、そして21インチの拡張ヘッドアップディスプレイを組み合わせることで、直感的な操作が可能だ。
対話型の音声アシスタントも搭載されており、自然な言語で車内の機能をコントロールできる。安全面では、多数のセンサーやカメラを活用したレベル2の自動運転システムがサポートされている。これにはストップアンドゴー機能付きのアダプティブクルーズコントロールや、半自動車線変更システム、予測的アダプティブクルーズコントロールが含まれており、快適で安全なドライビング体験を提供する。新型ガンマは、デザインから性能、環境への配慮に至るまで、ランチアの未来を切り拓く革新的なフラッグシップモデルに仕上がっている。
【ル・ボラン編集部より】
1970年代の異端児「ガンマ」の名と、伝説の「HFインテグラーレ」の称号。この二つを最新のEVクロスオーバーに同居させた点に、新生ランチアのしたたかさを感じる。かつてWRCを席巻した硬派な四輪駆動の記憶は、デュアルモーターの強大なトラクションへと姿を変えた。一方で室内にはコーヒーテーブルを設えるなど、イタリア的なくつろぎ空間を提示している。リビングのような静粛性と、胸のすく加速。相反する要素を高度に成立させた本作は、単なる懐古主義を超え、電動化時代の新たなグランドツアラー像を描き出している。
【画像20枚】光る「カリス」と車内のコーヒーテーブル。イタリアンデザインが息づく新型「ランチア・ガンマ」の全貌を見る



















