フィアット

【新型フィアット・グランデパンダ試乗】全長4010mmの現代版「角パン」は走りも活発! 48Vハイブリッドと「アルデンテ」な乗り味を検証

見る人を笑顔にする初代パンダのスピリットを継承

段ボール箱を組み合わせたような小さくてスクエアなフォルム、リアのハンモックシートなど、まさに合理性のカタマリといえた初代パンダの精神が、現代の文法に則って蘇った。見ても乗っても自然と笑顔になれるキャラクターも不変。早くもベストセラーを予感させるアイドルの登場だ。
【画像12枚】メーターの枠に初代パンダが走ってる!? 遊び心満載のインテリアや「角パン」ディテールの全貌を見る
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BセグメントSUVへと成長! 随所に光るジウジアーロへの敬意

長らくイタリア庶民のアシとして活躍してきたパンダが、第4世代で大きく成長した。その名もずばり「グランデパンダ」だ。 パワーユニットはステランティスグループの主軸となる、1.2L直列3気筒ターボの48Vマイルドハイブリッド。6速デュアルクラッチトランスミッションの内部にモーターと制御ユニットをインストールするのはプジョー/シトロエンと同じ機構だが、その味付けは、きちんと差別化が図られている。

パワートレインは、1.2L 3気筒に48Vリチウムイオンバッテリーと6速DCTを組み合わせるマイルドハイブリッド。EVモードで発進可能だ。

BセグメントのクロスオーバーSUVとなったボディは、それでも全長が4010mmとコンパクトだ。そのデザインは、ジョルジェット・ジウジアーロが手がけた初代パンダを彷彿とさせる「角パン」ぶり。FIATロゴを右に置き、LEDのグラデーションで往年のラジエターグリルを表現するなど、随所に初代をオマージュしたセンスはさすがだが、エッジの効いたリアコンビネーションランプやエアコン吹き出し口の仕上げを見れば、それが単なる焼き直しではないことがわかる。ドアパネルにプレスされる「PANDA」のロゴも、実に大胆な表現。インナードアパネルに刻まれる模様はよく見ればFIATのイニシャルで、ハードプラスチック然とした内装に楽しさを加えている。

リンゴットのバンクに竹繊維!? ユーモアと環境意識が息づくインテリア

タスマニアブルーを基調としたインテリアは、10インチのドライブメーターと、10.25インチのセンターディスプレイを囲むイエローのクリアパネルがビビッドだ。オーバル型になっているのはトリノにあるリンゴットのテストコースがモチーフらしく、よく見れば初代パンダがテスト走行中だった。

メーターパネルとセンターディスプレイを囲む楕円のパネルはインゴットのテストコースを模していて、バンクを初代パンダが走っている(笑)

試乗車であるラ・プリマのダッシュボードボックスはその表皮に天然竹繊維を30%含む「BAMBOO X」を使っており、インテリアに温かみを与えている。竹はパンダの大好物なだけに相性もバッチリだ。ちなみに内装のハードプラは、140本分の飲料用紙パックとプラスチック、そしてアルミニウムを回収して作った「ラポレン・エコテック」で、表面がシャイニーなのはアルミ粒子が理由のようだ。センスと意識の高いサステイナブルへのアプローチはフィアットならではで、それだけでもパンダを買う価値がある。

3気筒ターボ+モーターの活発な走りと、絶妙な「アルデンテ」の足まわり

内外装の仕立ては遊び心満載で見る者を笑顔にしてくれるが、走り出しての印象もまた、グランデパンダは元気ハツラツだ。 最高出力101ps/最大トルク205Nmを発揮するエンジンはフィアット600ハイブリッドと同じだが、ひと回り小さなパンダの走りはより活発。アクセルを踏み込めば3気筒ターボが多少唸りはするけれど、若々しいキャラには合っている。優しく踏めばモーターの駆動も感じ取れるし、頻繁にコーストさせたり、EV走行したりと頑張ってくれる。

タイヤサイズはベーシックなICONが16インチ、撮影車のLa Primaは17インチが標準となる。

サスペンションはスプリング剛性が高めで、街中ではタイヤをよく転がし、高速巡航では大きくなったボディをしっかり支える。伸び側減衰力はやや強めで段差を拾うが、タイヤのエアボリュームで上手に衝撃を和らげる。総じて乗り心地はアルデンテだが、悪くないバランスだ。 唯一残念なのは、せっかく高速安定性が高いのにアダプティブクルーズコントロールがないこと。大人が普通に座れるリアシートと412Lのラゲッジスペースがあるだけに、遠出で渋滞支援がないのはもったいない気がする。

BセグメントのクロスオーバーSUVで369万円〜の価格はやや高めだが、これは為替が主たる原因で、グランデパンダ自身は悪くない。国産のライバル勢と較べても個性的で、毎日の生活が愉しくなるのは間違いないだろうから、まずはグランデパンダが街中に溢れてくれることを期待したい。
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【SPECIFICATION】フィアット・グランデパンダ

■車両本体価格(税込)=4,090,000円
■全長×全幅×全高=4010×1765×1630mm
■ホイールベース=2540mm
■車両重量=1270kg
■エンジン種類/排気量=直3 DOHC 12V+ターボ/1199cc
■エンジン最高出力=101ps(74kW)/5500rpm
■エンジン最大トルク=205Nm(20.9kg-m)/1750rpm
■モーター種類=交流同期電動機
■モーター最高出力=20ps(15kW)/4264rpm
■モーター最大トルク=51Nm(5.2kg-m)/750-2499rpm
■燃料消費率(WLTCモード)=20.8km/L
■燃料タンク=44L(プレミアム)
■トランスミッション形式=6速DCT
■サスペンション形式=前:ストラット、後:トーションビーム
■ブレーキ=前:Vディスク、後:ディスク
■タイヤ=前後:205/55R17

【画像12枚】初代の精神が蘇る! フィアット・グランデパンダはみんなを笑顔にする新世代コンパクトSUV
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photo=郡 大二郎/D.Kori
山田弘樹

AUTHOR

自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代からレース活動も始め、ロータスのワンメイクレースやスーパー耐久、フォーミュラスズキ隼やスーパーFJなどに参戦。この経験を活かし、モータージャーナリストとして活動しつつ、ドライビングスクールでの講師も行う。A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

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