スーパーキャパシタのエネルギー密度をさらに高める「金属有機フレームワーク」を開発
11月6日、ランボルギーニはMIT(米マサチューセッツ工科大学)との共同研究によって生み出された新世代の蓄電技術「スーパーキャパシタ」の技術基盤となる合成材料の特許を取得したことを発表した。
同社は2018年に、未来のスーパースポーツカー像を示唆するコンセプトモデル「テルツォ・ミッレニオ(“第3の千年紀”という意)」を発表した。このコンセプトモデルは、「蓄電システム」や「革新素材」、「推進装置」、「先見的なデザイン」、「エモーション」という5つの要素に注力。その内容は、これまでになかったコンセプトやテクノロジーを積極的に採り入れ、スーパースポーツの未来に積極的に取り組む同社の決意が込められたものだった。
このコンセプトモデルに用いられたのがスーパーキャパシタ。従来のバッテリーに代わるエネルギー源として、高出力でありつつ電力の放出と回収の高速化や長寿命を維持するのが特徴の蓄電システムで、従来の同じ質量のバッテリーより出力は3倍で、同じ電力を生成するバッテリーより3倍軽量という特色がある。エネルギー密度でいえば、バッテリーでは300W/kgに過ぎないが、スーパーキャパシタは2400W/kgで、理想的な効率が実現可能だ。さらにバッテリーのように冷却する必要がないため、オーバーヒートが起きない利点もある。
「テルツォ・ミッレニオ」の開発に協力したのが2017年からコラボーレーションしているMITの研究チーム。このたび取得した特許は、MIT化学部のMirceaDincă教授のチームとの共同研究による「金属有機フレームワーク」だ。
この材料の分子構造は、質量と体積に関連して電荷にさらされる表面積の量を最大化するため、将来の高性能スーパーキャパシタ用の電極を製造するための理想的な候補となる。このたび取得した特許は、現在市場に出回っている技術と比べてエネルギー密度を最大で100%増加させるという。今後は、エネルギー密度をさらに改善するのが目標とのこと。
ランボルギーニがスーパーキャパシタを実用化したのはアヴェンタドールから。アヴェンタドールにはアイドリングストップの始動を補助する小さなものを搭載したが、その後、研究開発が進められ、2019年9月開催のフランクフルト・モーターショーで発表された新型ハイブリッド・スーパーカー「シアンFKP37」には、より大きいスーパーキャパシタを搭載するに至っている。
シアンFKP37には、同社がMITとの共同開発プロジェクトによって生み出した48Vのスーパーキャパシタ(34kgのシステム重量で34psを発揮)を搭載。6.5L V型12気筒エンジンとの組み合わせにより、システム総合で819psを発揮し2.8秒以下の0-100km/h加速と350km/h以上の最高速の実現に活かされている。