コラム

連載【桃田健史の突撃! キャンパーライフ〜コンちゃんと一緒】第3回「初の長距離移動、福井への旅 往路編」

自動車ジャーナリスト「桃田健史」氏のキャンピングカーライフをあれこれ紹介していくこのコーナー。第3回は「長距離移動編」です。

高速移動は順調に

コンちゃん、目指すは福井県吉田郡永平寺町だ。首都圏内から約600㎞の道のりである。
なぜ永平寺町なのかは追って触れるとして、まずは西へと向かう。往路は土曜日午前7時出発なので渋滞が気になったが、首都高3号線・三軒茶屋入路は混雑なし。そして難関である、東名高速道路・神奈川県海老名SA手前の大和トンネル/綾瀬バス停付近は自然渋滞8㎞となる。同乗者が「まるでバスみたい」と言うように改めてハイエースの着座位置の高さを実感する。並走するアルファードと比べても「こっちはこんなに上に座っているんだ」とも思う。パワートレインの上部にシートがあるキャブオーバーとは、こういうものだ。乗用車のルーフを上から眺め、進行方向のかなり先前見え、渋滞中でも精神的に落ち着く。
渋滞を抜け最初の休憩は、よく利用する新東名・NEOPASA駿河湾沼津。お勧めは、桜エビをふんだん使ったかき揚げとコシのあるうどんのセット(さかい庵:850円)。また、キンメダイの干物定食も、いつ食べても美味しい。
食後はコンちゃん後席で、エンジンオフでサブバッテリーを使いポットでお湯を沸かし、ドックランを元気に走るご近所のワンたち見ながら、ゆったりコーヒータイム。
本線戻ると、そこは実証試験が終わり2020年12月22日午後2時から社会実装となった、最高速度120㎞/h走行区間(御殿場JCT付近から浜松いなさJCT付近)が続く。
コンちゃんは2.8Lディーゼル・6AT。100㎞/hからの追い越し加速では、ほんの少しだけアクセルを踏み込んでキックダウンなしで2000rpm強でグイグイ加速するので、気持ちが楽だ。

ご挨拶に寄った……

新東名の終点は、愛知県豊田市。ということで、コンちゃんが本家にご挨拶にうかがった。
豊田市トヨタ町(ちょう)1番地、トヨタ自動車株式会社の本社である。むろん、豊田章男社長に広報部や秘書室を通さずアポなしご挨拶も失礼なので、トヨタ本社に隣接するトヨタ会館から記念撮影に控えた。
筆者(桃ちゃん)は仕事柄、トヨタ本社やトヨタ関連企業との様々な会合などで40年ほど前からこの周辺には何度も来ているが、今回はトヨタ会館の最新展示を拝見した。つい先日にトヨタ本社広報部を介して最新情報を得た燃料電池関連の展示が拡充されていた。また、二階のオフィシャルショップで、トヨタ2000GTラベル付のトヨタ会館オリジナル缶入りドロップ(360円)を購入。全国各地で、ご当地ドロップを集めているので。
ランチは豊田市街のマクドナルドのドライブスルーで、フィレオフィッシュ、ヤッキー、ストロベリーマックシェイクなどを買い込み、名神高速へ。
途中、岐阜県を通り、滋賀県へ。米原JCTでは「彦にゃん、またね~」と少し先の彦根城の方向に大きく手を振り、北陸道へ。福井への往復路では、彦にゃんに会いに行くことがよくあるが、今回は先を急ぐ。
米原から50㎞ほどで、敦賀(つるが)に入ると「やれやれ、帰って来たか」という気持ちが福井モードにシフトする。武生(たけふ)、鯖江(さばえ)を通り、福井北インターで降りた。約1ケ月ぶりに永平寺町内の家に到着。コンちゃん、初の長距離ドライブお疲れ様でした。

初張り2つと、出発式

翌朝、懇意にしている近所のお宅の玄関先をお借りして、スポーツオーソリティ実店舗で購入したコールマン「カーサイドテント/3025」の初張り。ネット動画で見ていた印象よりテント中の空間が広く使い勝手良し。小川キャンパルの3ハイ&ローテーブルⅡの上には、ご近所さんの畑から獲ってきたばかりの青菜や、手巻きおにぎりなどが並ぶ。風通しよくして、椅子の間隔空けて、会話はマスクして、楽しいひと時。
昼過ぎにご近所さんと一緒にテント撤収し、夕方に家に戻って確認すると、ルーフ部分のテントポールのひとつに大きく亀裂が入っているのを確認。初張りの後だったので、ちょっと気持ちが凹んだが、コールマンのHPからユーザーの声として写真画像付きでご報告。
(後日、コールマンジャパンから返信あり、実物を確認したいとのことで、当該テントポールを千葉県流山市のカスタマーサービスセンターに福井からヤマト運輸・着払いでの発送。
その1週間後、自宅に新しいポール(同社で正式にはルーフポール)が送られてきた。同封の手紙には、カスタマーサービス部門担当者から「ご指摘いただきました点を参考に更なる管理体制の充実を図ると共に再発の防止に努めていく所存でございます」とある。コールマンジャパンには早急かつ丁重な対応に感謝したい。

さて、永平寺町での最初のテント張りから、中1日。今後は、小高い山の上にある町の施設「四季の森」で、知り合いの施設関係者にこちらの事情を説明して特別に駐車場の一角をお借りし、小川カーサイドリビングDX-Ⅱの初張りしてみた。
本製品を予約した際、Ogawa GRAND lodge新木場で旧製品を使って張り方のデモをして頂いたが、2021年モデルのブラウン系の色味は、コンちゃんにとってもマッチ。

お昼休みに、町役場の関係者らにも声がけして、カーサイドリビングでコーヒータイム。
奥越(おくえつ)の白山国立公園にはまだ雪が残る。1カ月前を思い出せば、福井は記録的な大雪となり、北陸道で長時間の立往生が発生。永平寺町内でも連日除雪作業に追われたが、いまでは町内に桜が咲き始め、すっかり春の装いだ。

国の実証が社会実装に、コンちゃんも活躍の場ある?

その翌日、キャンプ気分を切り替えて、公的な行事に出席した。
経済産業省・国土交通省による、1:3(ひとりが3台同時に監視)遠隔操作によるレベル3自動運転の実用化に対する出発式である。
テープカット後の初走行では、福井県・杉本達治知事と永平寺町・河合永充町長と筆者の3人で乗車して、東京で開催されている関連シンポジウム会場と中継を結んだ。
永平寺町では2017年に国の実証評価地域に選定され、国の研究開発機関である産業技術総合研究所による自動運転実証を、町内にある旧廃線跡の全長6kmの遊歩道を利用して行ってきた。
筆者は霞が関の官僚らと様々な機会に国の自動車産業施策について意見交換するなかで永平寺町の取組みを知り、2018年から自主的に町内で一軒家を借り、町から永平寺町エボルーション大使として正式任命していただき、交通・物流・観光・介護/福祉の関係者による永平寺町MaaS会議の取りまとめ役を務めている。一般的な観光大使のような名誉職ではなく、町の施策に大きく踏み込む実務を行う立場にある。
その中で、コンちゃんは、地域の人々との意見交換の場として、またリモートワーク実証の現場としてなど、様々なミッションの可能性を秘めている。
筆者にとって縁もゆかりもない永平寺町で、暗中模索しながらこれまで進めてきた町との対話も足かけ4年目に突入。コンちゃん登場で、町にとって新たなるステージが切り開けるのだろうか?
さて帰路は、コンちゃん里帰りである。

この記事を書いた人

桃田健史

専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。日本自動車ジャーナリスト協会会員。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。

桃田健史

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