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ハイソカー・ブームを下支えした堅実セダン
1968年に、大衆車コロナの上級派生車種としてスタートしたコロナ・マークⅡは、1984年に登場した5代目X70系でついに「コロナ」の名称が外され、正式に「トヨタ・マークⅡ」となった。折しもハイソカー・ブーム真っ直中、鮮烈なスーパーホワイトⅡのGX71ハードトップ・グランデは空前の売れ行きを見せ、新時代の国民車とまで呼ばれた。しかしその陰で、スタイリッシュさと引き換えに居住性に目をつぶったハードトップよりも、ブームに流されず実用的な中型セダンを求めて、堅実な設計の4ドア・セダンを選ぶユーザーは、決して少なくなかった。
【画像54枚】みごと再現されたマークⅡセダンの全貌と制作過程はコチラ!
セダンの6ライトで水平基調の端正なスタイリングは、派手で華美なハードトップとは対照的で、カタログに謳われた「気品と格調を愛する正統派のために」というキャッチフレーズに相応しいものだった。マークⅡセダンは兄弟車クレスタと全長が同一だが、実はボディ外板プレスの一部も共有しており、前後ドアはほぼ同一、前後フェンダーも末端部以外は同じと言ってよい。
ルーフはクレスタよりも30mm高く、6ライト化された分だけCピラーが後退し、視覚的重心が後ろにずれて、FRセダンらしい落ち着いたプロポーションを形作っている。エンスー領域から外れる車種だけに現存車はきわめて少ないようで、今日の旧車イベントでも目撃することはほとんど無いセダンだが、当時の路上を知る筆者にとっては、忘れえぬ1台だ。
実車も共通部分の多いクレスタから6ライト化!
X70系セダンは残念ながらプラモデルが存在しないが、クレスタはフジミとLSが1/24でキット化しており、フジミ製は現在も普通に入手可能だ。今回はフジミ・峠シリーズのクレスタを元に改造し、セダンでは上から2番目であるグランデのシングルカム搭載車を再現した。ボディの改造点はフロントグリル、前後フード上面、グリーンハウス、リアエンドと多岐にわたるが、直線基調のスタイリングのおかげで、ほとんどの工作がプラ板と瞬間接着パテで事足りる。
基本骨格をいじる必要が無く、下半分はほとんどそのまま使えるので、改造の難易度は意外に高くない。フジミのクレスタは板シャシーで、しかも内装はGTツインターボ用なので、これらについてはマイクロエース(旧LS)のマークⅡハードトップ・グランデからそっくり流用した。
マークⅡセダンのホイールは、純正アルミもテッチンキャップも、ハードトップとはデザインが異なる。グランデ・ツインカム24ならアオシマのAE86トレノ・ブラックリミテッドの純正アルミがそのまま使えるが、シングルカムのグランデはテッチンキャップ一択なので、カタログストックを作るなら自作が必要だ。意外にもレベル製1982年型コルベットのホイールがよく似た形をしていて、少し手を加えただけでそれらしく化かすことが出来た。タイヤもハセガワのストラトスから流用が可能だ。セダン好きの読者諸兄にはぜひトライしていただきたい。
- 長く見えるクレスタのノーズだが、寸法的には同一。グリル/ライトが前に出ているのでそう見えるのだ。まずバンパー上パネルを切り取る。0.2mmのBMCタガネで彫り込み、エッチングのこで切断。
- 再利用するので折らないよう注意。
- ノーズ前端を削って1.5mm詰める。テープで上面形状の型紙を貼り、歪まないように作業。
- マーカーの形も異なるので削り込む。
- バンパー上面メッキモールの形も違うのでモールドを落とし、0.5mmプラ板で再生。
- 取っておいたパネルを、左右を切り詰めて再接着。ボンネット前端モールを0.3mmプラ板で増設。中央は一段厚いので2枚重ね。サイドマーカー後ろのモールも0.5mmプラ板で自作した。
- グリルはエバーグリーンのメタルサイディングから自作した。グリルの寸法に切り出し、両面テープで厚紙に貼って、中央に縦溝を1本、Pカッターで彫り込む。
- 中央の溝に合わせて方眼マスキングテープを貼り、2.5mmピッチで溝を左右に5本ずつ彫り込んだ。
- 指でしごいて軽くカーブをつけ、上下に0.5mm厚プラ板の細切りでメッキモールを付け、中央にはオーナメントを0.3mm厚プラ板で自作。
- ボディにグリルを嵌めてみる。裏側にグリルを取り付けるための壁が残してあるので、グリルがボディとツライチになるように部材を追加した。
- ヘッドライトベゼルを0.5mm/0.3mm厚プラ板で自作した。ライトバルブはウェーブのRリベットを使用。
- ノーズ上面の高さはクレスタと同一だが、中央の盛り上がりの幅がマークⅡセダンは狭い。マスキングテープを貼ってガイドにし、Pカッターでスジを入れる。
- モーターツールでスジの外側を削り込み、低くする。
- 180番の面出しヤスリで削った部分の凹凸をならし、外側の低い部分の面に合わせて平らに整える。
- グリルを嵌めて顔つきを確認。もともとフジミのクレスタは顔の天地がちょっと薄めに出来ているので、マークⅡセダンとしても若干薄めだが、一応それらしくはなった。
- ルーフ左右端から1mmほど内側の位置でルーフを切断する。
- 0.3mm厚プラ板をテープで貼って定規替わりにし、直線状にPカッターで溝を彫り込んで、0.2mmのBMCタガネで溝をくっきりと深くしてから、エッチングのこで切り離した。
- リアドアのサッシを残してCピラーも切り取り、根元を180番の面出しヤスリで平らに削り込む。
- 左右のピラーとサッシの角度に注目。向かって左(運転席側)はキットのまま。右(助手席側)は根元を指でグイッと曲げて角度を引き起こしたので、より垂直に近くなった。これでルーフが約1mm高くなる。
- 6ライトのCピラーの型紙を厚紙で作り、仮留め。実車の写真と見比べながらいくつか作り、寸法・形状を割り出した。
- 型紙に合わせ0.5mmプラ板からピラーを切り出し接着。
- ルーフも0.5mmプラ板から。前後方向のカーブは指でしごいて付ける。
- 左右方向のカーブは、曲線状に切り出した桁材を裏側に接着して、反りを付けた。
- ルーフを接着。前後方向はワザと長めにして、ピラー頂部より前後にハミ出させた。
- 下面の縁にMr.SSPパテを盛りつけ。左右側は補強、前後は端部(窓上端部)の造形のため。
- 320番の3Mキュービトロン(立体造形用の布ヤスリ)でルーフ左右の形を整える。
- 前後ピラーからルーフ端にかけては180番の面出しヤスリで整える。
- グリーンハウスの大まかな形状が出来上がった。
- クレスタのリアデッキは中央が一段落ちているが、マークⅡでは逆。そこで、トランクリッドを切り離しハードトップ(マイクロエース製)の同部分と入れ替えることにした。左右のスジ彫りを切断、
- リアデッキ後端に0.2mmのBMCタガネでスジを彫り、
- デッキ前側を押し下げながらナイフで切り込むと……
- 簡単に切り取れた。
- 切り取ったトランクリッドは前後に長いが、幅はほぼ同寸。クレスタのリアエンドの上に被せるようにして取り付ける。リッド前端はすでに切り詰めてある。クレスタは尻下がりなので、そのままトランクリッドを被せるとセダン化に丁度良い。
- フェンダーとの段差をMr.SSPパテで滑らかに埋め、上面を削り込んで辻褄を合わせた。
- マスキングテープを貼ってMr.SSPを盛り付け、フェンダー後端部の肉を補充する。
- 後端部の形状をヤスリで削り出した。
- フェンダーのプレスラインとトランクのショルダーラインの位置関係に注意。リッド上面を削り込んで後端の辻褄を合わせてある。フェンダー後端部を削り込み、リアコンビのレンズが収まる凹みを作った。