モデルカーズ

まさかのスタンダード化、しかもあのグリーン!フジミ製プラモ「GS131型クラウン」をセダンに改造!!【モデルカーズ】

丸目4灯にメッキバンパー、簡素の極み

トヨタ・クラウンはトヨタ自動車を代表するクルマのひとつであり、日本車を代表する1台でもあり続けてきた。メーカーの最上級モデルという位置にありながら、タクシーや営業車にも使用されるクルマというのが、長らくそのありようであったが、タクシー仕様はJPNタクシーにその地位を譲り、オーナー向けのモデルもガラリと様相を変えたフルチェンジが発表され、そうしたクラウンの生きざま(?)も、もはや昔のものとなっている。

【画像62枚】もはや懐かしすぎるクラウンとその制作工程を見る!

ここで取り上げた8代目、S130型系クラウンは、そうした昔ながらのクラウンの黄金期にあたるモデルと言えるだろう。ちょうどバブル絶頂期に登場し、4ドア・ハードトップがカローラ並みの販売台数を記録した世代である。具体的には、そのデビューは1987年9月のこと。ボディ形式は、その先代にあたるS120型系同様に4ドアのハードトップとセダン、そしてワゴン/バンの3種類であった。

伝統のペリメーターフレームを採用、サスペンションも前ダブルウィッシュボーンに後セミトレ(上級モデルのみ)と、構造的にも先代から多くを受け継ぐが、大きく異なるのは、3ナンバー車専用にワイドボディが導入されたことだ(ハードトップのみ)。これは、基本的なデザインは5ナンバー車と共通のものとしつつ、フェンダーおよびドアなど側面パネルに豊かなボリューム感を持たせた造形であったが、ライバル日産によるセドリック/グロリアの3ナンバー専用ボディ車(シーマ)投入を前に苦戦する結果にもなった。

セダンは従来通り5ナンバー用のボディを基本に、3ナンバー車は前後バンパーを大きくすることで差別化を図っていた。もうひとつ目立つ差別化は、廉価グレードの方に見られた。営業用グレードであるデラックスとスタンダードに、鉄製のメッキバンパーを装着していたのである。これは主に、タクシー用途における損傷時の交換を容易にする目的のものだが、すでに同時期のセドリック/グロリアでは黒い樹脂製バンパーが採用されていただけに、非常に古めかしい佇まいに感じられたものである。

サイドモールがつかないことはデラックスも共通だが、スタンダードではさらにバンパーのコーナーラバーが省略され、ヘッドライトも丸目4灯となり、フロントグリルも簡素なものとなるなど、最廉価モデルらしい外観となっていた。搭載エンジンは2L直6 OHCの1G-E型と、2.4L直4 OHCディーゼルの2L型があり、さらにタクシー用LPGエンジンとして3Y-P型も存在、タクシー用だけに台数としてはこちらがメインであろう。リアサスペンションはトレーリングリンク式だが、これはスタンダードだけでなく、上位グレードであるロイヤルサルーン系を除いて全モデル共通である。

クラウンは1991年にフルモデルチェンジを行い、S140型系へと進化しているが、このときセダンは大規模マイナーチェンジで凌いでいる。このあたりは同世代であるY31型セドリック/グロリア・セダンと同じであるが、そちらとは違い、クラウン・セダンは1995年にモデルチェンジを行って次世代へと進化した。この1991年以降のクラウン・セダンは、リアがハイデッキとなったことが特徴だが、スタンダードはメッキバンパーと丸目4灯という特徴を具え続けていた。

フジミ製2Lハードトップをベースに大胆モディファイ!
さて、そうしたS130型クラウンであるが、プラモデル化の数は多くなく、アオシマとフジミの2社のみ。どちらも4ドア・ハードトップであるが、アオシマが最上級モデルの3L車をキット化したのに対し、フジミは標準ボディの2L車(スーパーチャージャー)を再現している。ユーザーにとってはありがたい分担だが、あるいはメーカー同士で相談して決めたのであろうか? ここでお見せしている作例は、このフジミの5ナンバー車をベースにセダン化を行い、最廉価モデルであるスタンダードを再現したものである。

作者・棚瀬氏曰く「就職した頃は事務所にこの営業車がまだまだ残っており、コラムシフトやMTを運転したくて、わざとそれを選んで外に出て行ったものである」とのこと。そうした思い出が反映されたのか、非常に雰囲気のよい作品に仕上がった。キットそのものは若干ホイールベースが短く、また流用できるスチールホイールが限られることからホイールが4穴であったり、グリルのパターンも若干異なるなど、課題は若干残ったが、営業用クラウンといえばこの色! のミズリナグリーンの調色が巧みなこともあり、往年のクラウン・スタンダードを偲ぶには充分な出来栄えである。

ハードトップからセダンに改造するにあたっては、側面のプラスラインがかなり異なり、ボディをかなり切削することになるので、裏からプラ板を貼っての補強は必須であるとのこと。ルーフ部分を切り離し細いピラーを作り直すだけに、各々の接合部の補強をしっかり行うことも大事であろう。タイヤ、ホイール、前後シート、フェンダーミラーはアオシマのトヨタ・カローラ(旧イマイ金型)から流用した。こうした工作の詳細については、工程写真に付したキャプションをお読み頂きたい。

作例制作=棚瀬和重/フォト=羽田 洋 modelcars vol.224より再構成のうえ転載

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