モデルSから続く乗用BEVモデルでベストセラーとなっているテスラの第4弾、モデルYの販売がいよいよ始まった。街中でも持て余さないサイズに大容量の荷室など、実用性の高さも魅力ゆえ、すでに大量の受注が入っているとのこと。
老舗のBEVを含めても総合力はトップレベル
リーズナブルなモデル3を発売して以来、成長著しいテスラ。昨年の販売台数は93万台を数え、今年は上半期だけで56万台を超えているので通年100万台は現実的。半導体不足や上海ロックダウンの影響もなんのその、スバルあたりの中堅どころをすでに抜き去り、新工場の稼働が上向けばさらなる躍進もありそうだ。
モデル3にも増して勢いがあるのが、いよいよ日本の路上を走り始めたモデルY。人気のミッドサイズSUVということもあって世界中で引く手数多の状況だ。フロントグリルレスの顔つき、空力性能が高そうなフォルムなどはモデル3と同様で、背高かつ全体的にもひと回り大きくなった。
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日本導入モデルはスタンダードのRWDとパフォーマンスの2種類。前者はスタンダードレンジのバッテリーを搭載して航続距離は507km(WLTCモード)。リアに220kW/350Nmのモーターを搭載して0→100km/h加速は6.7秒となる。後者はロングレンジのバッテリーで航続距離は595km。フロントが158kW/240Nm、リアが240kW/450NmのデュアルモーターによるAWDで0→100km/h加速は3.7秒と驚速だ。
今回試乗したのはRWD。ルックスや装備はパフォーマンスとほとんどかわりなく、ホイールぐらいしか識別点はない。試乗車は標準装備の19インチだった。
ハイパフォーマンスなテスラの強烈な加速を知っているとRWDのモデルYは比較的に穏やかだが、それでも十分に速い。このクラスのガソリン車ならば、そこそこ強力な2Lターボあたりと同等の0→100km/h加速であり、モーターゆえに初速から力強いので体感的にはそれ以上だ。アクセルを踏み込めばドンッと迫力のある加速を開始し、60km/hあたりから勢いが陰ってくる。とはいえ、日常域では頼もしく、よほどのスピード好きでなければこれ以上は望まないぐらいだ。
アクセルを戻したときの回生の効かせ方は各メーカーよって様々だが、モデルYは常に強めの回生でワンペダルドライブを基本としている。モデルSなどでは設定で強さを選択できたが、ユーザーの使い方をデータから調査したところ大半がもっとも強い設定だったため、モデル3とモデルYでは1種類にしたそうだ。回生による減速度は強めだが、唐突感がなく、停止も上手で制御は優れている。
本誌連載のDSTでモデル3が好成績を収めたように、テスラのシャシー性能は超優等生で、モデルYを公道で走らせても同等のポテンシャルを感じた。バッテリーを床下中央に配置するゆえの低重心とヨー慣性モーメントの低さ(曲がりやすさ)によって、エンジン車ではあり得ない運動性能を見せつけるのだ。
コーナーを攻めれば硬派なスポーツカーもびっくりするほど俊敏で正確性の高いハンドリングに嬉しくなるが、乗り心地はやや引き締まっている。試乗車のオドメーターはまだ1190kmに過ぎなかったので、もう少し走り込んでアタリがつけば動きの渋さが取れてくるとは思われるが、フンワリとした快適性重視ではなく、操縦安定性やスポーティさに重きを置いているのは確かなようだ。
高度なレベル2であるオートパイロットは標準装備。今回からミリ波レーダーはなくなり、進化したカメラでのセンシングになったが、性能も向上しているようだ。ユニークなユーザーインターフェース、想像以上に高いシャシー性能や電費性能など、老舗メーカーのBEVと比べてもクラストップレベルにあることは間違いない。ホームページをあれこれ眺めるうちに、思わずポチッと注文を入れてしまう人が続出しそうだ。
【SPECIFICATION】テスラ・モデルY RWD
■全長×全幅×全高=4751×1921×1624mm
■ホイールベース=2890mm
■トレッド(F:R)=1636:1636mm
■車両重量=1930kg
■モーター最高出力=299ps(220kW)
■モーター最大トルク=350Nm(35.7kg-m)
■航続距離(WLTC)=507km
■サスペンション(F:R)=ウイッシュボーン:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=255/45R19:255/45R19
■車両本体価格(税込)=6,438,000円
■問い合わせ先=テスラ・モーターズジャパン ☎0120-982-42