参加ドライバーも多種多様な顔ぶれ
ついに、歴史が変わった。
2024年全日本カート選手権EV部門 第3戦が都心で開催されたのだ。EVに限らず都心でレーシングカートのレースが実施されるのも、史上初である。そんな貴重な場面を実際に体験してみた。
場所は、東京お台場にあるシティサーキットTOKYOベイ。2023年12月にグランドオープンした本格的なカート用レーシングコースで、主要コースは屋外にあり、子ども用など低速走行カートは屋内で運用できる施設だ。
今回使用されている全日本選手用のマシンは、一般向けのレンタルカートとは違うハイスペックなもの。トヨタ系レーシングチームやアフターマーケット商品でお馴染みのトムスが車両開発だけではなくコースの運営も行う。
全日本カート選手権のEV部門は2022年から始まっているが、3年目となる今シーズンはそれまでのレース運営フォーマットを改め、1チーム2台体制の12台による競技となっている。
しかも、参戦選手は山下健太選手や佐藤蓮選手などスーパーGTやフォーミュラ日本など国内モータースポーツのトップカテゴリードライバーがいたり、また新人発掘のオーディションを経てドラフト会議で選ばれた女性ドライバーもいるなど、新しい試みが目立つ。
今回は公式練習、タイムトライアル、予選ヒート、そしてA・Bグループに分けた10周の決勝が行われ、最終結果は優勝が山下健太選手、2位が佐藤蓮選手というプロドライバーのワンツーとなった。
レーシングカートといえば、趣味用であると同時に四輪レースへのステップアップボードという位置付けがある。 そうした中で、全日本カート選手権のEV部門は、異種格闘技のようなエンターテインメント性があり、初めてレーシングカートを見る人でも、また長年のモータースポーツファンも十分楽しめるイベントだと感じた。今回の開催地は、2021年12月に閉館したトヨタMEGAウェブの跡地であり、また4月に開催されたフォーミュラE選手権のコースにほど近い場所だ。取材中も、4月のフォーミュラEの記憶が蘇ってきた。
都心でモータースポーツを行う意義とは?必要性とは?
エンターテインメントとしてのモータースポーツのあるべき姿とは?
現地で実物が走る様を見て、またそれに触れているチーム関係者や主催関係者から話を聞いて、そしてイベントを楽しんでいる観客の表情を見て会話を聞いて、モータースポーツの未来についていろいろと考える7月の3連休最終日であった。
この記事を書いた人
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。日本自動車ジャーナリスト協会会員。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。